ホームフェルメール作品を観る巡礼の旅プラド美術館のフェルメール展の作品の感想(1)

フェルメール展の作品の感想(1)

 プラド美術館の『フェルメールとインテリア展』の感想は、さすがの一言でした。ただ、私は、『フェルメール展』は、始めてなので、他の展示の時と、比較はできません。


 ただ、あの9作品を最初に見た3月5日は、本当に、観すぎて、気分が悪くなり、めまいがしました。幸か不幸か、昨年の年末に、アメリカで、3作品を観ていたことが、少し安心して観れることに、つながりました。もし、観ていなかったら、その衝撃に、耐え切れず、その場に倒れていたかも、しれません。


 あっという間に、2時間半がすぎてましたが、まだ十分に自分の中で消化できたとは、思えませんでした。ただ、日頃立ち仕事でない自分は、それ以上立っていられなかったし、どうして良いのかも、わからなくなりました。それ程、内容は濃いものでした。


 また、フェルメールだけでなく、今まで、フェルメールの本でしか観れなかった画家の作品も沢山集まってました。さすが、スペインが世界に誇るプラド美術館です。ただ、名前は『フェルメールとインテリア展』という名より、『フェルメールとその時代の画家たち』とか、に替えた方が良い気がしました。インテリアは、ほとんど関係なかった気がします。


 仲良くさせて頂いているKenさん(⇒Kenの我楽多館)からアドバイス頂きました。それによると、インテリアというのは、『室内画』を指すということでした。おっしゃる通りと思いました。納得しました。お詫びして、訂正します(2003年3月18日加筆)。


 個々の作品について、感想を述べていきたいと思います。まずは、第一室です。


真珠の耳飾りの女


今回観た作品のなかで、一番驚いたのは、この作品です。


いままで、思ったより、ずっと良かったです。


1.窓から光が入ってくる描写が、とても奇麗です。『天秤を持つ女』と同じ部屋というのは、2作品を、注意してみると、よくわかります。

2.この壁が何もなく白いのが、空間的に、素晴らしい。

3.赤いリボンが可愛らしく、奇麗です。

4.この手が奇麗で、ネックレスを引く、リボンが、手の中に落ち着いているのが、よくわかります。

5.このイスには、いつものライオンの飾りは、ありません。でも、模様が丁寧に描かれていました。

6.身なりを整えるためのハケのようなものと、宝石箱が描かれてました。

7.手紙だと思います。連絡を受けて、身なりを整えて出ていくのです。相手は、だれでしょうか?

8.手前のイスは、茶色で目立ちませんが、あることにより、奥行きを形成して見事です。

9.青色の大きな中国壷が描かれ、後ろとのカーテンの微妙な光の描写が、なんとも言えません。

10.机の脚に、ここだけ光が中ってます。

他にも、口を少し開けて、女性が笑っているような顔です。その目線が、鏡を捕らえ、誰もが好感を抱きます。


 私は、この作品(真珠の耳飾りの女)を観て、ようやく、フェルメールがなぜ、光の画家と言われるのかが、わかるようになって来ました。彼は、光が入って来るところと、入って来ないところの描写が、際立って素晴らしいのです。その色彩感覚の素晴らしさもさることながら、このことに関しては、その右に出る人は、いないのかもしれません。

 彼が、室内風俗画をライフ・ワークに選んだことは、彼の力量を存分に発揮できるという意味で、正解だったと思います。

 このことは、ルーブルで、『天文学者』を観て、一層そのことを認識できるようになりました。


赤い帽子の女


第一室から2室に向かう、左の壁に、作品はありました。

中途半端な、位置で、見逃す人も結構いたと思います。

他のフェルメール作品に沢山人が集まるのに比べ、少なかったです。

1.この背景がどうしても幻滅してしまいます。筆先も乱れ、とても丁寧に描いているように思えませんでした。

2.この帽子は、実に奇麗です。ただ、後に触れますが、この赤色は、フェルメールが多用する赤ではありません。

3.開いた口元は、光の当り方が、見事に描かれてます。

4.このあたりの衣服にあたる光も、奇麗です。

5.向かって右のライオンの描写は、ソフトフォーカスで、奇麗です。

真作か、贋作か、意見が別れている作品です。

一つだけ、言えることがあります。
描いた人は、相当の力量です。


 このコメントは、その時観て、メモを取ったことを中心にまとめたものです。この調子で観ているため、沢山の時間を必要とし、悩むのが、判ってくれると思います。次のページでは、第二室について、述べたいと思います。

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