宇宙のステルヴィア


アニメの話です。

 カラー放送が始まった直後のアニメ黎明期に子供だった私には、少なくとも1〜2度ほど目にしたアニメが良作かどうかわかると自負していたが、ここ最近は深夜のアニメが(数は減ってきたらしいがそれでもなおかなり)多いので簡単に言うと、目が届かないし、もともと届かせる気もない。
 うちの子供は、深夜に放送の「友人帳」や「八雲」を喜んで見ていた。現代の自動録画は便利だ。子供にとっても敷居を低くしてくれる。私もいっしょに見てはいるが、ではこれらのアニメの同じ回を2度見たいかといえば、その気はない。見逃したら悔しいかといえば、何とも思わない。

 ここ10年で、それほど多くのアニメを見ているわけではないが、何度も見返すに足る作品(*1)は、たった2作しかなかった。ひとつは「電脳コイル」(2007)で、今回は語らない。

*1 毎週放映な番組に限る。

 もうひとつは、「宇宙のステルヴィア」(2003)だ。
 2003年といえばその頃、世に言うデスマというわけではないが、そこはかとなくブラックに近いような場所で仕事をしていたので、一時期、深夜アニメを見て気を紛らわした。初めて見たときには思わず引き込まれた。最初の3回ほどは見逃したし、その後も見逃した週があって悔しかった。この歳でこんなものに出会おうとは思わなかった。とにかく子供に戻ったような気分だ。
 しかし内容はハードSF+学園モノ(比率は半々)で、ハードSFはツボにはまった。20世紀末の最新の宇宙論や素粒子論が真正面から採り上げられているが、それらを小説やアニメにするには相当難しいものだと思う。しかし作品ではアニメ特有の学園モノを主軸にする(*2)ことや、作中の時間軸を太陽系的スケール(*3)にすること、さらには危機を解決に導く技術の確立のために作中では約190年(*4)という長い時間をあらかじめ用意しておくことで、物語の難しい側面をかなり退けることに成功している。

 2011年には、ベテルギウスが近々、といっても天文学的な時間感覚で超新星爆発をしそうな話題があったが、もうアニメでは話が作られていたんだな。

*2 超科学技術を披露して悦に入る天才科学者などは一切出てこない。
*3 一話で数十日も時間が過ぎたりする。
*4 したがって「こんなこともあろうかと…」とは誰も言わない。

 さて、なぜこんなことを書いたのかというと、2011年末にDVD全巻を格安中古980円で入手したんだな。見つけたときは、我が目を疑ったな。
 ということで、子供といっしょに喜んで見ていました。

(2012/3/21)



トップに戻る メニューに戻る