書籍:「江戸の動物画 近世美術と文化の考古学」 今橋理子

書名:書籍:江戸の動物画 近世美術と文化の考古学
著者名: 今橋理子
発行所:東京大学出版会
定価:6600円(税込)
http://www.utp.or.jp/book/b303091.html

江戸時代の人びとは,動物に何を語らせようとしてさまざまな動物画を描いたのか.象徴・擬人化・地口(ことば遊び)の三つの視点から,主に兎,猪,子犬,昆虫が描かれた作品を分析し,江戸文化の深層を探る.博物学の成果を核に,民俗学・国文学・歴史学をふまえた画期的労作.

江戸絵画から手塚漫画まで、日本人は動物をどう描いてきたか
 人間は動物をどのように描いてきただろうか。ラスコーの洞窟に描かれた鹿や野牛を見ればわかるように、それは芸術の発生と本質的に関わっている。
 欧米では、17-18世紀にイギリスやオランダで描かれた狩猟画や獲物画から発展して、犬や馬の肖像画が人間並みにさかんに制作されるようになった。今日の野生動物を捕らえた写真集や環境保護を訴えるヴィデオアートは、動物とともに自然の風景を描こうとするこうした眼差しの延長にある。それに比べて東アジアでは動物画はまず、花鳥風月という美学的枠組みのなかで発展した。これは約束ごとの世界である。日本では半ば空想上の動物は、たとえば白象は普賢菩薩であり、白鹿は春日明神を示しているといったぐあいに、単純に宗教的教義と結びつけられて描かれてきた。
 今橋理子の『江戸の動物画』は、18世紀にいたってこの花鳥風月図に大きな変化が生じ、画家たちが従来の狭い約束ごとの表現を越えて、より自由で遊戯的な眼差しを採用するにいたったことを興味深く語っている。
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2021年11月11日