クセの強さや生臭さで経営されたジビエ(野生鳥獣肉)が、濃厚かつ滋味深い健康食材として美食家たちの舌を唸らせるようになって久しい。かつてはひと握りのグルメたちにしか届かなかった垂涎の味覚は、今では狩猟ビジネスの進化によって多くの人々の元へと届くようになっている。その進化のひとつが移動式解体処理車「ジビエカー」の登場だ。
全国で初めて「ジビエカー」を導入したのは、町面積の91%を森林が占め、「ジビエの町づくり」に取り組んでいる高知県梼原(ゆすはら)町だ。捕獲地にジビエカーが出向き、すぐに洗浄や殺菌、解体処理が可能なため、新鮮な状態の高品質な肉を確保できる。
野生鳥獣を食肉にする場合、捕獲後に鳥獣を絶命させる「止めさし」から2時間以内に処理施設に運んで解体処理することが求められる。処理施設から遠く離れた山奥などで狩猟・捕獲すると、時間内での運搬が困難だったり、特に高齢者には体力的な負担も大きく、廃棄するケースが多いことが全国的な課題になっている。
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2022/2/13 週刊ポスト