愛犬と狩猟 初の頂点 下妻の高橋さん 茨城

 優れた猟犬を決める「全日本チャンピオン戦」(昨年12月3、4日・山梨県)で、下妻市の高橋薫さん(71)が、イングリッシュセッターの愛犬トルー・キング(オス8歳)と初の頂点に立った。(長谷部駿)

 富士山麓で行われたチャンピオン戦には、ブロック大会などで上位に入った3歳以上の猟犬37頭が出場。制限時間30分でコース内に潜んだキジの捜索や、飼い主の合図でキジをけしかけて飛び立たせるまでの一連の行動を競い合った。

 審査員がふさわしくないと判断した時は、「チャンピオンの該当なし」という年もある厳しい大会だが、高橋さんとキングの息のあった行動が評価され、4年ぶりのチャンピオン誕生となった。

 高橋さんが狩猟を始めたのは30歳代の頃。近所の猟師から勧められたことがきっかけだった。小さい頃から野良犬を拾って飼うなど犬が好きで、飼い主の声や笛に反応して獲物を狙う「人犬一体」の姿に魅了された。「思った通りに犬が動いて、獲物がとれた時が一番の満足感がある」と語る。

 週に1回、茨城や栃木県内の河川敷などで訓練を行うが、始めた当初は犬が合図に従うどころか行方知れずになってしまい、日が暮れることもしばしば。先輩猟師の訓練や大会に同行しては、技を盗んで訓練に取り入れた。

 モットーは「なるべく犬の自由にさせて、うまくいったら褒め抜くこと」。犬にストレスがかからないように向き合えば、犬も次第に飼い主に心を開いてくれる。その姿勢を続けると、全国大会出場など次第に成績もついてきた。

 キングとの出会いは約8年前。先輩猟師から子犬だった頃に譲り受けた。キングの血統は数ある大会で優勝経験を持っていた。

 隠れた獲物を見つけ出す感性を受け継ぎ、子犬ながら果敢に茂みに飛び込んでは獲物のかすかな匂いをかぎつけて瞬く間に探し出した。「20頭近くの犬を育ててきたが、明らかに他の犬とは違った部分はあった」と高橋さん。キングも、高橋さんの愛情に応えるかのように懐くようになった。

 こうして培った強固な信頼関係で勝ち取ったチャンピオンの称号。高橋さんは「犬と楽しく運動するような感覚で猟をしていただけで、結果が付いてきた」と謙虚に振り返るが、「周りから祝福されてようやく実感できるようになった」と喜びをかみしめている。

 昨春には、キングの子供が生まれた。スーパー・エリー2と名付けたメスは、早くもキジを2羽捕まえるなど頭角を現しているという。高橋さんは「楽しみながら訓練して、今度はエリーとチャンピオン戦に出られればうれしい」と目標を語った。
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2023/1/20 読売新聞

2023年01月21日