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February 09, 2005
偉大なピアニストを亡くしました
ロシアのピアニスト、ラザール・ベルマン氏が亡くなった。享年74歳。
といってもココに集う人のほとんどは知らないと思うし、あまり興味もないと思うが、彼の演奏はまさに“マシーン”だった。
私が彼の演奏を耳にしたのは高校生の頃。その頃いろいろとピアノ曲を漁っていて、特にショパンをよく図書館で借りては聴いていたのだが、自分に合う演奏家としてヴラディーミル・アシュケナージを見つけ出し、のちに彼の演奏のCDを買いまくった。
そのとき、ショパンのライバル、リストの曲も聴きたくなり、ショパンの『ピアノ練習曲』に対抗(?)した『超絶技巧練習曲(Douze Etudes d'exécution transcendante)』に興味を抱き、図書館で借りた。もちろん、アシュケナージも弾いているのだが全曲ではなく、ぜひとも全曲聴きたいと思いいろいろと調べた。当時、この曲を弾いている人はかなり少なく(今でもそうだが……)、そのなかでピカ一だったのがラザール・ベルマンであった。

何しろ、彼の演奏はダイナミックでテンポも速く、まさに“超絶”の名にふさわしい弾きっぷりだった。この演奏を聴いたあと、実際に楽譜を購入したのだが、「え゛っ、こんな楽譜だったの?」と目を疑う音符の羅列と指使い(一応練習曲ですから指使いの指定もしてある)で、あの“音”が生み出されたのかと、驚嘆したことを今でも覚えている。
リストの技量はズバ抜けていて、また当時のピアノ自体の性能も現在と遜色ないレベルになり、表現力も豊かになったことと相まって、のちのピアニストを泣かせるような曲を次々と生み出していった。もちろん、当時は自作自演だったので、リストはちゃんと弾きこなしていたわけで、1800年代の人物に現代人でも四苦八苦するというのも、リストのスゴさを伺わせる。
リストは、何でも指が長く、10度(8度=1オクターブ)もラクラク届いたという。技量だけでなく、身体的な面でも恵まれていたわけだが、この超絶技巧練習曲を上回るといわれる『6つのパガニーニによる超絶技巧練習曲(Six Etudes d'exécution transcendante d'après Paganini)』は、さらに弾く人が少なく、ラザール・ベルマンも残念ながら弾いてはいない。実はパガニーニとはバイオリニストで、これまた超絶技巧な持ち主。このパガニーニの演奏に刺激された作曲家は数知れず、リストもそのひとりだった。こうして作られたこの曲集は、リスト自身は弾けたのだろうが、あまりにも難しすぎて、のちにやさしくした改訂版を出したほど。まぁ、それでも難しいわけなのだが、現在この曲集を弾けるピアニストは5本の指に納まるだろう。
話はラザール・ベルマンからちょっとそれてしまったが、彼の『超絶技巧練習曲』を絶賛している人は音楽評論家を含めて数多い。ただ、残念なのは1963年の録音なので、音質的にはかなり悪いということ。ただ、それを差し引いても、スピーカーから伝わる彼の演奏は、すばらしいものだった。演奏している姿を見てみたかったと思う。まぁ、リストは若いうちしか弾けないから、私が目にすることは無理な話だったのかもしれないが……。
合掌
投稿者 WipeOut : February 9, 2005 06:23 PM