アロマセラピー
この言葉、聞いたことがある方が多いと思う。しかし、日本では、この言葉は少なくとも厚生省より認められていないのである。不思議に思う方が多いと思うが、これが日本の現実である。イギリスや、フランスでは、アロマセラピストが、国の機関に認められた立派な資格なのである。資格といえば、カイロプラクティック(脊柱矯正療法)もそうである。米国では、立派な資格であるが、日本では認められていないのが現実である。 日本の厚生省といえば、今ヒット中の赤外線を利用した耳温計(鼓膜温計)の時もそうである。日本では前例が無いからと、米国の文献のコピーとその翻訳文の提出を求められたことがある。もう一つ、日本の厚生省のこだわりとして、ツボの概念が有る。これも、頑なに拒否している。言葉を換え、皮膚インピーダンスや良導点なんて言う分には、問題無いという。さらに滑稽なのは、ツボをTSUBOと表記する分にはかまわないと言う。英文字は、法律の解釈上、日本語で無いため、絵やデザインと同じとみなすとのことである。しかし、反論しても性がない。弁護士の見解としても、国が許認可権を持っている以上、逆らえないのが現実である。 さて、本題に話を戻そう。香りの世界の話をしてみたい。日本で香料のメーカーというと、やはり代表的なメーカーは、外資系のH&R社である。日本の大手の化粧品会社の殆どが、ここから香料を仕入れている。不思議に思う方が多いと思うが、これもまた現実である。そして、日本の市場では、香りものはビジネスとして成功しないと言うジンクスまである。どうも、日本人は外人に比べ、この世界は弱いようである。これも信じられないのであるが事実である。古来、日本には香道なるものが存在しているにも関わらず、日本では馴染まないのである。 私自身も、日本の化粧品大手のS社より発売されている、電気式芳香器と、香料を手に入れ試したことがある。気分に応じて、目的に応じて香りのエッセンスを変えることが出来るように用意されている。フレッシ・アロマエッセンス、ピースタイム・アロマエッセンス、そしてナイト・アロマエッセンスである。良い香りは心に響く。すばらしい音楽や絵画に心動かされるように、ここち良い香りとの出会いが、きっとあなたの幸福感を高めてくれるはずである、と説明書に書かれている。 しかし、この芳香器と香りの精油は、ほこりにまみれたまま放置されている。最初は使用したが、その後使うことが無くなったのである。その気が起きないのである。むしろ、無臭の状態の方が心地よいと感ずるのである。自然のエッセンスを配合したと言っても、結果として人工的な香りは、いくら素晴らしいものであっても、一過性で馴染まないのである。 どうも日本人は、香りを日常的に利用することは少ないようである。しかし、こと色事になると別のようである。遊郭の臭い、化粧と違うおんなのにおい。そして、麝香(じゃこう)として有名な、グリーンノート(=青葉アルコール、青葉のかおり、異性を呼ぶ性フェロモン)がある。一方、マリーンノート(海の香り、海草のにおい、海辺のにおい、オゾンのにおい)、フィトンチッド(木が放出する小さな虫を殺す物質の意)などは、別の意味でまた有名である。 ここで、「山道」を愛する我々は、やはり自然界での香りの効用について、気になるところである。植物は有害な微生物から自分をまもるために、前述のフィットンチッドの様ないろんな物質を出している。少し整理してみると、 フィトンチッド・・・・殺細菌、殺原生動物、殺真菌の効果あり。ナナカ マド、青酸 フィトアレキシン・・細菌、原生動物、真菌の成長を阻む。ジャガイモ 、テルノイド アレロパシー・・・・他の植物の成長を抑制する。セルビア、シネオー ル ウーンドガス・・・・細菌、昆虫等の攻撃に対し防御を行う。クリ、スチ レン他 動物の攻撃に対する防御物質・・・・・サクラソウ、ペンゾキノン誘導 体 昆虫の攻撃に対する防御物質・・・・・パルサムモミ、ジェパピアン などがある。動けない自分の身を守るこれらの物質の殺菌効果や、人間に対する好ましい生理効果を期待するのが、最近人気の出てきた森林浴である。我々が、山へ行き、樹林帯を歩くときのあの気持ち(夏などは、登りの樹林帯は暑くて閉口することがあるが、それは別な問題)は、特に平坦な所や、下り道では良く体験するところである。古来、日本では各地の森に対して、不思議な伝承があった。曰く、「森林に住む人は長生きする」、「森に入ると二日酔いが直る」、そして「神々の住む森」等々・・・ 初夏の、山道は、うるさいほどの小鳥のさえずりが聞こえる。山は新緑のまっさかりっだ。そして、爽やかで新鮮な香りを感じ、気持ちの良い雰囲気に包まれるのであるから、山道歩きは最高のひとときである。生涯、機会を作り、トレッキングは続けたいと思っている。 ご承知の方が多いと思うが、少し香りと心の関連に付いて述べてみたい。消毒作用(ジャスミン、ブラックペパー)、鎮静作用(ローズ、ラベンダー)、抗抑鬱作用(乳香、樟脳)、強壮作用(ウイキョウ、ネロリ)、解熱作用(カミツレ、ヒソップ)、鎮痛作用(ペパーミント、ユーカリ)等、いろいろな研究結果が発表されている。ここで、述べたことは解っていることのほんの一握りである。実際には、多くの研究者によって、様々な効果が証明されている。アロマセラピーはこれらの精油を組み合わせて、最適な効果を出す香りによる治療法である。詳細はいろんな本が出版されているので、参照していただきたい。 いずれにしろ、ここで一度、この稿を終えたい。今回はアロマセラピーのプロローグで終えたい。また、機会を改めて、この稿の続きを記してみたいと思っている。今回は、自然の持つ力の一つを紹介してみた。そして、山道を歩くことの素晴らしさの一つの理由を述べてみた。参考にしていただければ幸いである。 |
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Hitosh
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