水 道

  水道と言うタイトルを変に思った方も多いと思う。でも、ちゃんとあるのである。浦賀水道など有名である。その他思いつくままに書いてみると、壱岐水道、石浜水道、野付水道、利尻水道、菅島水道、友ヶ島水道、深谷水道、豊後水道等がある。水道とは、普通は、海または湖などの、接近した陸地によって挟まれた狭い部分を一般的には水道と呼んでいる。船舶の航路、ふなみちとも言う。多くの場合、良く衝突しないと思うくらい、多数の船が行き来している。

 三浦半島の尖端の
観音崎で、目の前に房総半島が見えるところがある。その狭い空間をそれこそ、ひっきりなしに船が通過している様は壮観でさえある。つい、見とれてしまうと同時に、8mmビデオなんかを、時間の立つのも忘れてしまうぐらい回したい気持ちになる。それほど、飽きのこない光景である。

 この「道と写真」の1ページとして、浦賀水道は、一般のヨットは通行禁止と言うことであったので、その付近と、相模湾を
クルーザー(キャビン付きのヨット)で行ったことがあるので、いずれまとめてみたいと思っている。まだ、学生の頃であるから、大分昔の事であるが、始めての経験であるので良く覚えている。

 卒業研究の仲間と、C教授を誘い大学のヨットを借り出し、航海したときの写真が残っている。操舵したのは、卒研の仲間K氏とヨット部の後輩である。我々は、K氏の指図のまま、動いただけであったが、楽しい夏のひとときをすごさせてもらった。

 艇は三浦半島の
油壷に停泊してあり、そこより相模湾に出帆した。幸い、風も波も穏やかであったため、スリルは感じられなかったが、楽しい一日であった。船の速度を計る方法や、帆の扱い方を教わった。順風の時の快感や、逆風を受けて進むときの帆捌き(ターン)も経験した。

 写真仲間のI氏は、自分のヨット(クルーザー)を持っている。日本民家園での撮影会の時、いろいろ話を伺ったが、そのヨットの名前を、パソコン通信上のハンドルにしているくらいであるから、その入れ込みの程はいうまでもない。私の勤める会社でも、自分のヨットを持っている若い人がいる。多くの場合、維持費が大変であるから、数人の仲間と共同管理しているが、それでもマイカーどころではない。それ程までしても、ヨットの魅力は素晴らしいものではないかと思う。

 さて、大分脱線したが、陸上だけでなく、海にも道と呼ばれるところがあるのである。その一つ一つを、船で実際に行ってみたいとも思うが、多分無理であろう。時間も金もないし、行ってみても、この「道と写真」で紹介出来るほどの成果が得られるか自信が無い。せめて、岬の突端等から見た、水道は多く写真に収めているので、順次紹介していきたいと思っている。 

 いずれも、陸の道路と同じく、船の往来が激しいところである。双眼鏡で見ると船と船が重なって見え、良く衝突しないものだと思うくらいである。日本の活力は、働き続ける国民によって、生み出されている。そのエネルギーがひしひしと伝わってくる水道は、同じ仕事を持つ日本人として誇らしくさえ思う。高速道路の混み具合とはまた違う感慨がつきまとうと感じるのは私だけであろうか。

  写真家の
緑川洋一氏の写真集に「瀬戸内旅情」と言うのがある。瀬戸内海を走る船の光芒を、スローシャッターで撮った写真が、見事なまでたくさん納められている。まさしく、航跡、光の筋である。夜の岬に立って、沖行く船を眺めている心境は、もうポエムの世界である。幸せのひとときかも知れない。

  水道には、陸の道以上に、ロマンを感じる。しかし、多くの場合それは、眺めるだけである。

 
 


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Hitosh

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