ランドナー
ランドナーと言う言葉をご存知だろうか。昔からある、小旅行用自転車を意味するフランス語で、Randonneurと書く。ツーリング専用車と言うほうが、わかり易いかもしれない。そして、この自転車の一番の特徴は、どこの自転車屋にも、まず置いていないという代物である。 特注車かセミオーダー車が普通であり、普通の自転車屋では、扱っていない。特別に取り寄せをお願いしても、断られるくらいである(現実に2軒で断られた)。従って、扱ってくれる自転車屋をあちこち探さなくてはならないか、自分でパーツを取り寄せ、組み立てしないといけないのである。しかも、そのパーツがなかなか入手できないのである。メーカーが限られ、製造中止のものも多い。これは、結構厄介であった。やはり、商売としては時代遅れの製品となっている。 一方、この自転車ほど根強い人気のあるものも少ない。インターネットや掲示板などで、必ず、このランドナーをテーマとしたものがあり、活況を呈している。マニアの世界となっているのかもしれない。多摩川や鶴見川のサイクリング道路を走っていると、必ず、何人かのランドナー乗りに出会う。互いに笑顔で自然に会釈を交わしてしまう。 一度、これに乗り、長距離や長時間乗ると、その快適性に、他の自転車は乗れなくなるぐらいである。そして、ロードレーサーやMTBと違い、疲れ方が全然違うのである。外見は古臭いが、内容で勝負と言う感じの自転車なのである。 今風に言えば、クロスバイクと呼ばれているものが、ジャンルとしては該当するのかもわからない。スポーツ車と言えば、ロードレーサー(ドロップハンドルで細い700Cのタイヤ)、MTB(マンティンバイク、26吋タイヤ、太いブロックタイヤ)、そしてクロスバイク(ロードレーサーとMTBの中間、フラットハンドル、太目の700Cのタイヤ)が、一般的な自転車専門店においてある自転車である。 所謂ママチャリ(普通車)や実用車、コンフォトバイクと呼ばれるものは対象外である。これらは、基本的には街乗り用に設計されており、性能も限定され、値段も安い。また最近流行の小径車(タイヤサイズの小さな折りたたみ式)やルック車(外観のみがMTBやクロスバイクに似ているもの)も基本的には街乗り用であるので今回の話題の対象外となる。 さて、約30〜40年前、一世を風靡した「サイクリング車」を覚えているであろうか。私達(少年の頃)の憧れの的であった、このサイクリング車が商業ベースに乗らず、消えていったのは時代の趨勢なのであろうか。このサイクリング専用車が、ランドナーなのである。そういう意味では、古い自転車なのである。 私自身が、大学のときオートバイに乗り、卒業してからはもっぱら4輪車であるから当然、自転車など見向きもしなくなった。そして、歳を取り、健康志向で再び、目をとめたのが自転車であった。そして、昔のサイクリング車が欲しいと思ったとき、すでのその自転車は希少価値の高いものとなっていた。そんな感じである。 しかし、使用目的を絞り込んでいくと、このランドナーが、今でも非常に魅力的な自転車となってくるのである。形(格好良さ)ではなく、実用的な自転車なのである。歴史があり、多くの人に乗り継がれてきただけに、合理的で究極的な自転車ともいえるのである。 以下、主な特徴について纏めてみると、 1、ドロップハンドル(正確にはランドナーハンドル) 長距離、長時間を走るとき、腕が疲れない。道路状況や、疲れ具 合でいろいろなポジション(普通で5箇所)でハンドルが握れる形状となっている。 2、タイヤ 以前は650A、今は26吋(これをランドナーと呼ばない人もいるが、部品の供給という面を考えると、これからの主流となろう)が多い。太さはロードレーサーの様に細くなく、またダートでもパンクしにくい。マウンティンバイクの様にごつごつしていないので、乗り心地が良い。 3、ペダル トークリップ、ストラップ式で、足の先端部を半固定するため、漕ぐ動作が回転運動になり効率的で、長距離、長時間、坂道走行が楽になる。運動に無駄が無くなる。 4、車体が軽く、また材質もダブルパテッド(2段中空式)のクロモリ 鋼がメインで、道路の衝撃を吸収してくれる上、ペダルを漕ぐエネルギーを車体が吸収せず、効率よい。剛性が長距離、長時間走行に向いている。 5、フロントキャリアが標準装備。 旅行用の道具、着替え等を背中に背負うことなく持参できる。キャンプ道具一式も積める構造となっており、タフ。 6.泥除けが標準装備 ツーリング用ですから、雨天時も走る場合がある。 スポルティーフと呼ばれるツーリング車がある。これは、ランドナーと略同じ仕様であるが、タイヤがよりロードレーサーに近い700C(直径70cm)のものを採用して、より高速志向となっている。これもやはりツーリング車である。 実は、今回ランドナーを購入(発注)する際、大分迷った。スポルティーフの軽快さが魅力であった。しかし、自分の使用分野を考えると、いつも舗装道路ばかりではないので、砂利道でも走れるランドナーとした。 この自転車にしてから、MTBのときより行動範囲が広がり、また輪行(自転車を畳んで、電車や車で移動)が簡単になり、さらに行動範囲が拡大し、この「日本写真紀行」作成にも、非常に役に立っている。 最近では、一人でも多くの方が、このランドナーを試していただいて、ファンになって欲しいと思っている。本当に乗り心地の良い自転車であるから。 なお、最後に現在入手できるランドナーを、下記に記しておく (1)、東叡(とうえい)社 ランドナー、スポルーティーフ 特注品(15万円位〜) (2)、パナソニック POS(セミオーダー車)ツーリング車 26吋タイヤ採用(10万円〜)、デモンタタイプのスポルティーフ(700Cのタイヤ採用、11万円〜)もある (3)、丸石 エンペラー (標準品) 昔からの650Aタイプのタイヤ使用、比較的安価(8.7万円)で販売されている。 (4)、アルプス スポルティーフ、ランドナー、ロードレーサー ツーリング車専門を標榜。(15万〜) 以上の4社である。後は、個々の自転車屋のオーダーメードか自作となる。なお、下に私所有のMTBとランドナーの写真を参考として載せてみたので参考にして頂ければ幸いです。 |
MTB仕様 フレーム 430cm タイヤ 26吋 タイヤ幅 4.95cm フラットバーハンドル シフト 3×7段変速 変速レバー ハンドル部 フラットペダル 泥除け、ライト オプション キャリア なし |
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ランドナー仕様 フレーム 550cm タイヤ 26吋 タイヤ幅 1.5吋 ドロップハンドル シフト 3×8段変速 変速レバー フレーム部Wレバー ペダル トウークリップ、ストラップ式 泥除け、ライト 標準装着 フロントキャリア 標準装備 |
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