劇「ふしぎなメールがやってきた」(25分高学年)
 ìì ì í íí
●あらすじ
 ある夏の日の朝、けんはふしぎなメールを受け取る。そのメールには、「学校の体育館の舞台の下には、ふしぎなおかしなとびらがある。そのとびらを開けるとおかしが食べほうだいだ。」と書いてあった。けんは、なかよしのもー、たけ、のぶ、ちーといっしょに体育館の舞台の下に行く。と、そこにはふしぎなメールのとおりに「ふしぎなとびら」があった。中に入っていくと、そこは地下のやさしい人たちの国で、5人はおかしをいっぱいもらって、食べほうだいで、ねむってしまう。と、目が覚めると、5人はしばられていて、地下の国の住人に血をとられそうになる。地下の国は、地上からの毒がおりてきて、みな死にそうになり、はんげきに出て地上の人たちをみなごろしにしようという計画をたてていたのだ。5人のまわりで、いかりとにくしみの火とつるぎがおどりくるう。さあ、5人の運命は……。
 
●劇に出てくる歌のリスト
 ìì ì í íí
●はじまりの歌(ある夏の昼下がり)
●くらがりの歌
●かんげいの歌
●たのしくてやさしい歌
●とらわれのうた
●火のリズム(にくしみのほのお)
●つるぎのリズム(にくしみのつるぎ)
●ひとつぶのやさしさが
●フィナーレ・未来にむかって
 
●出る人
 ìì ì í íí
子どもグループ
1( もー)、2(けん)、3(たけ)、4(のぶ)、5(ちー)
 名前は本当の名前でいいだろう。人数も名前もてきとうに。
おかしなメールグループ
大王様、大臣、けらいグループ
おいしいおかしグループ
かっこいいおどりグループ
かっこいいパフォーマンスグループ
こわいほのおのグループ
こわいつるぎのグループ
はかせグループ
 
コンピューターの機械音、キーボードをたたく音などがいっぱい聞こえてくる。
 
はじまりの歌(ある夏の昼下がり)
 ìì ì í íí
ある夏の昼下がり、
ぼくの 使い古した パソコンに
不思議なメールが やってきた
おかしなメールが やってきた
 
暑い暑い夏のひざしの中で
ぼくは、胸のときめきをおぼえた。
みどりいろした大きな文字が
ひとつ ひとつ ぼくの目の中に とびこんでは 消えていく。
 
ぼくの小さな頭の中は
みどりいろの物語でいっぱいになる
ぼくは、ぼうけんの予感の中で
未来の光を夢見ていた
未来のとびらをたたいていた
 
メール1 (できたらギャラリーの上などそれぞれ違うところから)こちらメー1号、こちらメール1号。聞こえますか。聞こえますか。2号さ      ん、応答願います。
メール2 はい、こちらメール2号、こちらメール2号。よーく聞こえます。3号さんはどうですか。
メール3 はい、こちらはメール3号です。感度良好、感度良好。大丈夫です。そろそろ「おかしなメールの おかしなおかしの大作戦」を実行にうつします。
メールグループ、舞台に登場する。
メール4 用意はいいか。
メール5 用意はいいぞ。
メール全 用意はいいか。用意はいいぞ。
メール6 おかしなメールの
メール7 おかしな おかしの大作戦だ。
メール8 おかしなメールの おかしな おかしの大作戦だ。
メール10 さあ、はじめるぞ。はじめるぞ。
メール全 おかしなメールの おかしなおかしの大作戦を、さあ、はじめるぞ。はじめるぞ。それー!
と、メールグループ、風のように、電波のように、消え去る。
こどもグループ、登場する。
子1もー あーっ、おなかすいたなーっ。けんちゃん、そのメールには、ほんとうに、おかしがはらいっぱい食べられるって、書いてあったのかい。
子2けん そうだよ。もーちゃん。ふしぎなメールなんだ。「学校の、体育館の、舞台の下に、ふしぎなおかしなとびらがある。そのとびらをひらくと、おかしがたべほうだい、はらいっぱいだ。」って、かいてあったんだ。だから、一番にもーちゃんに声をかけたんだ。
子3たけ もーちゃん、いつも「おなかすいたぁー、なにか食べたいーっ」だもんね。
子1もー そういうたけちゃんだって、「あっ、おもしろそう、ぼくもいきたいな」って、いってたじゃないか。
子3たけ まあ、ぼくの場合は、ぼうけんするこころ、勇気ある少年といったところかな。ぼうけんするところにたけちゃんあり。
子4のぶ たけちゃんの ぼうけんずきはいいけど、いつもしっぱいばかり。だから、しんぱいだから、わたしがついてきたんでしょう。
子3たけ まあ、ちょっとうるさいけど、しっかりものののぶちゃんがいれば、あんしんかな。はっはっはっ。
子5ちー わたし、やっぱり、いくの、やめようかな。
子4のぶ ちーちゃん、そんなこと、言わないで。いっしょに行こうよ。
子5ちー でも、やっぱり、こわそうだし。
子2けん あっ、あった。ほんとうにとびらがあるぞ。
子3たけ ようし、とびらをあけて、ぼうけんの旅に出発だ。
子1もー はらいっぱい、たべられるかなぁ。
子5ちー わたし、こわいわぁ。
子2けん さあ、あけるぞ。えいっ!
と、開けたとたんに、あたりはまっくら。
 
くらがりの歌 
 ìì ì í íí
くらい くらい くらい
何も 何も 見えない
くらがりは くらくらくら
あたまを くらく くらくする
やみよに からす かあかあかあ
つきよに ガラス がっちゃんこ
くらい くらい くらい くらい
何も 何も 見えない
 
子5ちー こわいわーぁ
子4のぶ ちーちゃん、がんばってっ。
と、とつぜん、あかるくなる。
子2けん あっ、とつぜん、あかるくなったぞ。
 
かんげいの歌
 ìì ì í íí
みなさん、ようこそ
いらっしゃいませ
ここは 地下の夢の国
楽しい楽しい夢の国
 
みなさん、ようこそ
いらっしゃいませ
ここは、地下のなぞの国
不思議な不思議ななぞの国
 
大臣1 おーい、おかしづくりの名人たち、おいしい、おいしい、おいしいおかしを、どっさり、持ってきたまえ。
おかし名人たち、それぞれ好き勝手なおかしを持って登場する。持ってくるおかしは、まあ、何でもいいだろう。
おかし1 はーい、おまたせしました。
おかし2 大きな大きなカボチャのぷるぷるプリンでございまーす。
おかし3 大きな大きなチョコレートのシフォンケーキでございまーす。
おかし4 大きな大きなアップルパイのブルーベリーぞえでございまーす。
おかし5 大きな大きな大きなおだんごです。
おかし6 大きな大きな大きなどらやきです。
おかし7 目玉焼きです。
おかし8 小さなうめぼしです。(この辺、おかしはそれぞれすきなおかしを勝手に考えてもいいだろう)
おかし9 わたしたちが、腕によりをかけて作ったおかしです。
おかし10 どうぞ、いっぱいおめしあがりください。
おかし全 どうぞ、いっぱいおめしあがりください。
子1もー わあーっ、食べ物だらけだ。すごいなあ。ちょっと、しっけい。
と、ちかくのおかしをひとなめする。
子4のぶ もーちゃん、止めなさいよ。もー、行儀が悪いんだから。
大臣2 さあ、さあ、さあ、地の上の子どもたち、よくここまで来てくれた。
大臣3 さあ、さあ、さあ、えんりょしないで、はらいっぱい食べてくれたまえ。
子3たけ ここは、いったい、どこなんですか。
子2けん あなたたちは、いったい、だれですか。
家来1 ここは地下の夢の国。楽しい楽しい夢の国です。
家来2 わたしたちは、この夢の国に住んでいる、やさしいやさしい人間です。
家来3 そうです。夢の国には、やさしいやさしい人間しか住んでいません。だから、私たちは、やさしいやさしい人間です。
家来4 パンパカパーン、王様のお出ましーっ!
家来全 パンパカパーン、王様のお出ましーっ! やさしい国のやさしい王様のおでましーっ!
王様1 みなさん、私は、やさしい国のやさしい王様です。この国は、やさしい心でいっぱいです。さあ、子どもたち、やさしい心で作った、おいしいおかしを、いっぱい食べて下さい。
子もー さあーっ、たべるぞーっ。
と、子どもたち、食べ始める。時間があったら、いろいろ言いながら食べるのもいいだろう。
王様2 これこれ、大臣。子どもたちに、歌とか踊りとか、たのしくて、やさしいものを、いっぱい見せてあげよう。
大臣4 はっ、かしこまりました。
これ、うたとかおどりとか、たのしくて、やさしいものを、いっぱいつれてまいれ。
家来5 はい、さっそく、つれてまいります。
と、でていく。と、歌とか踊りグループを連れて、もどってくる。
歌踊り1 こどものみなさん、
歌踊り2 ようこそいらっしゃいました。
歌踊り3 わたしたちは、
歌踊り4 やさしい国の
歌踊り5 やさしいやさしいダンサーです。
歌踊り6 やさしい国の
歌踊り7 やさしいうたとおどりを、
歌踊り8 さいごまで、
歌踊り9 たのしんでください。
歌踊り10 「たのしくてやさしいうた」、スタート!
 
たのしくてやさしい歌
 ìì ì í íí
ここは、たのしい夢の国
ある日、ヘンゼルとグレーテルは
森の中に迷い込んで、おかしな家を見つけた。
おかしな家はおかしでできたおかしの家。
ヘンゼルとグレーテルは、おかしの家を食べた。
そこに、とつぜん、おばあさんが出てきた。
わっ、
むかしばなしのおばあさん
ほんとはやさしいおばあさんで
ヘンゼルとグレーテルは、おかしをいっぱい食べた。
おもちゃもいっぱいもらった。
みどりの森をぬけて、
お父さんとお母さんの待ってる
家に帰ったとさ。
これで、
たのしくて、やさしいおばあさんの話は、
おしまい。
 
と、踊りグループ、退場する。かわって、かっこいいパフォーマンスグループが登場する。
パフォ1 われら、
パフォ2 地下の国の
パフォ3 勇者たち。
パフォ4 勇者の力を
パフォ5 見せてあげよう。
パフォ全 勇者の力を見せてあげよう。
パフォ6 われら、
パフォ7 地下の国の
パフォ8 勇者たち。
パフォ9 勇者の技を
パフォ10 見せてあげよう。
パフォ全 勇者の技を見せてあげよう。
パフォ1 それっ、いくぞーっ!
と、まず、全員で側転をやる。それから、バック転など、やれる人がいたらやる。なわとびの「はやぶさ」などを入れてもいいかもしれない。とにかく、見ている人が「ほうっ」と思うようなことができたら成功だ。
パフォーマンスグループ、退場する。
子5ちー わたし、なんだか、ねむくなってきたわ。
子4のぶ わたしも、ねむいわ。
子2もー あーっ、(と、あくびをして)みんな、おやすみなさい。どたっ。
子3たけ あっ、もうちゃん、ねないでよう、うー、ねむい、ばたっ
子4けん あーっ、いったい、これは、どうしたんだ。ばたっ。
家来6 大臣、子どもたちが、ねむったようです。
大臣5 王様、どうやら、ねむりぐすりがきいてきたようです。
王様3 そうか。どうやら「おかしなメールの、おかしなおかしの大作戦」の第一段階は成功したようだな。みんな、いよいよ「おかしなメールの、おかしなおかしの大作戦」の第二段階にとりかかるぞ。
大臣6 はっはーっ、かしこまりました。
    子どもたちには、かわいそうだが、しかたがない。
    それーっ、みんな、用意だ。つるぎの用意だ。炎の用意だ。
みんな全 おーっ、用意だ。用意だ。つるぎの用意だ。炎の用意だ。
     用意だ。用意だ。つるぎの用意だ。炎の用意だ。
     子どもたちを、しばりあげろ。はかせたちをよんでこい。
と、暗転になる。明るくなると、子どもたち舞台中央に、かためられ、しばられている。
 
とらわれのうた
 ìì ì í íí
昼でも暗い 地の底に
冷たい風が 吹き抜ける
見上げても 黒いかべ
ふりむいても だれもいない
ぼくらの心は こおりつく
るるるるるる
るるるるるる
るるる るるる
るるる るる
 
昼でも暗い 地の底に
冷たい風が 吹き抜ける    
見つめても 黒いやみ
ふりはらっても 死がせまる
ぼくらの体は こおりつく
るるるるるる
るるるるるる
るるる るるる
るるる るる
 
王様4 子どもたち、やっと気がついたようだな。
子4のぶ わたしたちを、どうするつもりですか。
王様5 そうだな。かわいそうだが、ここで死んでもらうことになる。
子1もー えーっ、ぼく、まだ、死にたくないよう。もっと、いろんなものを食べてから、死にたいよう。オムレツ、牛どん、カレーライス、キャビアにフォアグラにイカスミのスパゲッティーも食べたいよう。
子4のぶ もーちゃん、やめなさい。食べ物の名前なんかを言っている場合じゃないでしょ。
子2けん ぼくたちは、なぜ死ななければならないのですか。
王様6 そうだな。くわしい話は、博士に聞いてくれ。おーい、博士たち、出てまいれ。
博士1 はい、はい、わたしたちが博士です。
博士2 私たちは、研究をしました。
博士3 何の研究かというと、地上の人間たちをみんなやっつけてしまう研究です。
博士4 はじめに、私たちは、地上をぜーんぶ破壊できるぐらいに大きな爆弾を    作りました。
博士全 大きな爆弾を作りました。
博士5 でも、その爆弾は使いませんでした。地上だけでなく、地下の世界もこわしてしまうからです。
博士6 私たちは、考えました。
博士全 考えました。
博士7 私たちは、研究しました。
博士全 研究しました。
博士8 私たちは、とうとう発明しました。地上の人間たちをみんなやっつけてしまうことのできる薬を。
博士9 薬はもうすぐ完成です。あとひとつだけ、生きている元気な地上の子どもたちの血を入れれば、薬は完成するのです。
博士10 あなたたちは、薬を完成させるために、わたしたちが呼んだのです。これで説明を終わります。では、さようなら。
博士全 これで説明を終わります。では、さようなら。
と、博士は退場し、かわりに、ほのおグループ、前に出てくる。
ほのお1 わたしたちは、いかりのほのお。
ほのお2 いま、わたしたちの心の中は、地上の人間たちへのいかりのほのおで、メラメラともえている。
ほのお3 むかし、地下の世界は、やさしく、しあわせだった。
ほのお4 ところが、ある日、地上から、よごれた水が一滴、ぽたんと落ちてきた。
ほのお5 その水は、農薬とゴミとヘドロと洗剤のあわでよごされていた。
ほのお6 次の日も、次の日も、よごれた水は落ちてきた。
ほのお7 その次の日も、次の日も、よごれた水は落ちてきた。
ほのお8 私たちは、病気になった。
ほのお9 そして、父も母も死んでいった。
ほのお10 わたしは、地上の人間たちがにくい。
ほのお全 わたしたちは、地上の人間たちがにくい。
 
火のリズム(にくしみのほのお)
 ìì ì í íí
もえろ もえろ もえろ もえろ 火よ
もえろ もえろ もえろ もえろ 火よ
明るく 高く はげしく 強く
火よ もえろ
めらめらめらめら めらめらめらめら
火よ もえろ
 
心の底から 燃え上がる
このあついものは何だ。
このにえたぎるものは何だ。
それは、いかり
愛するものをうしなったいかり
それは、にくしみ
愛するものをうばわれたにくしみ
 
もえろ もえろ もえろ もえろ 火よ
もえろ もえろ もえろ もえろ 火よ
明るく 高く はげしく 強く
火よ もえろ
めらめらめらめら めらめらめらめら
火よ もえろ
 
つるぎ1 わたしたちは、にくしみのつるぎ。
つるぎ2 いま、わたしたちの手の中には、地上の人間たちへのにくしみのつるぎがにぎられている。
つるぎ3 むかし、地下の世界は、やさしく、しあわせだった。
つるぎ4 ところが、ある日、地上から、毒の薬が、ぽたんと落ちてきた。
つるぎ5 その薬の名前は、ダイオキシン、六価クロム、有機水銀。
つるぎ6 次の日も、次の日も、毒の薬は落ちてきた。
つるぎ7 その次の日も、次の日も、毒の薬は落ちてきた。
つるぎ8 私たちは、病気になった。
つるぎ9 そして、動物も植物も死んでいった。
つるぎ10 わたしは、地上の人間たちがにくい。
つるぎ全 わたしたちは、地上の人間たちがにくい。
 
つるぎのリズム(にくしみのつるぎ)
 ìì ì í íí
たかく かかげよ
いかりの つるぎ
にくしみ こめて
ふりおろせ
ふりおろせ
このかけがえのない命をうばうものはだれだ。だれだ。
うばうものはだれだ。
たかく かかげよ
いかりの つるぎ
にくしみ こめて
ふりおろせ
ふりおろせ
 
ほのおとつるぎグループ、子どもたちをかこむように、うたいおどる。
子1もー たすけてーっ。もっと、食べたいようーっ。
子2けん もうちょっとで、なわがほどけそうなんだけど。たけちゃん、そっちは、どうだい。
子3たけ ぼくも、がんばってはいるんだけど。なかなか、ほどけないよ。これは、とんでもないぼうけんになっちゃったね。
子4のぶ あんたたち、はやくなわをほどいて、私たちを助けるんだからね。
と、とつぜん、ほのおグループのほのおが一つ、自分の足元に落ちる。同じように、とつぜん、つるぎグループのつるぎが一本、まちがって自分の手を切ってしまう。
ほのお11 うわーっ、あつい、あつい、足があついよう。
と、ころがる。
つるぎ11 うわーっ、いたい、いたい、手がいたいよう。
ほのお12 うわっ、たいへんだ。
ほのつる全 うわっ、たいへんだ。たいへんだ。どうしよう。こうしよう。ああでもない。こうでもない。とんでもない。たいへんだ。
子5ちー 私、薬を持っているわ。たけちゃん、はやく、なわをほどいて。わた     し、たすけてくる。
子3たけ たすけるだって!? それより、はやくにげようよ。
子1もー そうだよ。はやくにげようよ。ぼく、にくまんをいっぱい食べたいよ。
子2けん もーちゃん、食べることより、自分が食べられないように心配した方がいいよ。
子4のぶ それより、ちーちゃん、なんで薬なんか持っているんだい。
子5ちー 私、おくびょうで、こわがりで、心配しょうだから……。だから、薬を用意しておいたんだ。
子3たけ そうだったのか。よいしょ、よいしょ。なわが、やっと、ほどけたぞ。にげようか。たすけようか。ちーちゃん、どうする。
子どもたち、けがをしたほのおとつるぎを見る。と、けがほのおとけがつるぎ、もだえくるしむ。
ほのお・つるぎ11 たすけてくれーっ!
子5ちー わたし、……やっぱり、けがをしている人をそのままにしてにげるわけにはいかないわ。
子4のぶ しかたがない。ちーちゃんがそういうんじゃ、わたしも、つきあうわ。さあ、たすけにいこう。(こどもたち、みなうなずきあう)
子どもたち、たおれているほのおとつるぎのところへかけよる。
子5ちー やけどは水が一番よ。だれか、水をいっぱい持ってきて。
それから、切ったところは、しっかりおさえておけば、ちゃんとくっつくよ。
私、薬を持っているから、薬をつけておけば、ばいきんがはいらないから、だいじょうぶだよ。
ほのお11 ほんとうだ。だんだん、いたみがひいてきた。
つるぎ11 おれも、切ったところがついてきたぞ。
ほのお・つるぎ全 よかった。よかった。(と、よろこびあう)
と、ちょっと間があって、大臣、子どもたちがなわをほどいてしまっているのに、あらためて気がついて、びっくりする。
大臣7 あー、あー、あーっ、子どもたちがなわをほどいてしまった。
家来7 たいへんだ。早く子どもたちをつかまえろ。
家来8 それーっ、つかまえろ。つかまえろ。
みんな つかまえろ、つかまえろ。
と、どたばたしながら、子どもたち、また、追いつめられていく。
子1もー わあっ、また、つかまっちゃうよー。やだよー、もっと、にくまん、食べたいよ。
子2けん みんな、ばらばらになるなよ。
子3たけ すぐには、つかまらないぞ。
子4のぶ みんな、まとまって、がんばるのよ。
子5ちー みんな、もう、やめてーっ。おねがい。
 
●それから
 ìì ì í íí
 こどもたちは、また、地下の人々につかまりそうになります。でも、こどもたちと地下に人々たちのあいだに、さっきのけがをしたほのおとつるぎが、わって入ります。「こどもたちはわたしの命を助けてくれた。今度はわたしがこどもたちの命を助ける番だ」と。地底の人々は悩みますが、最後には反省して、王様は「ひとつぶのやさしさが」を歌って、こどもたちにあやまります。最後は、「フィナーレ・未来にむかって」を歌って、大団円です。
ひとつぶのやさしさが
 ìì ì í íí
ゆるしてください
こどもたち
わたしのこころは つめたかった
 
鬼のようにもえたぎる
いかりのほのおで
燃えていた
にくしみのつるぎで
切り裂かれ 切り裂かれてた
 
愛するものを失ったいかり
愛するものをうばわれたにくしみ
 
でも、でも、でも でも
にくしみの中から未来は生まれない
にくしみの中から明日は生まれない
 
ひとつぶのやさしさが心をつなげる
ひとつぶのやさしさが明日をつなげる 
 
ゆるしてください
 
フィナーレ・未来にむかって
 ìì ì í íí
ある夏の昼下がり
ぼくたちは不思議なメールをもらう。
目もくらむ 青空と
みどりの木々の下で
ぼくたちは不思議なぼうけんをする。
ぼくたちは未来に向かって進むんだ。
ぼくらの町の下には
もう一つの国がある
ムー大陸に アトランティス
よもつひらさか エルドラド
ぼくたちの不思議なぼうけんは続く
ぼくたちのすてきなぼうけんは続く。
 
ある夏の昼下がり
ぼくたちは不思議なメールをもらう。
まっくらな ほらあなと
はてしない 地下の国で
ぼくたちは不思議なぼうけんをする。
ぼくたちは未来に向かって進むんだ。
ぼくらの町の下には
もう一つの国がある
ネバーランドの ピーターパン
ファンタージェンの アトレーユ
ぼくたちの不思議なぼうけんは続く
ぼくたちのすてきなぼうけんは続く。
ìì ì