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    週刊「よりよい生き方」     NO.140       04.02.08
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○今週のことば○

「こんにちは」のあいさつだけでも、こころは通じあうものです。

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こんにちは、発行者の礒ひろしです。

「人のため」を理念として、「よりよい生き方」を企画しました。
人間学をベースに学んだことをご紹介しながら、皆様と共に「人間として」
前進できればと願っています。

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               戦わずして勝つ
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仕事の客先から取り付けた書類に銀行の印鑑を押してもらうため、ある銀行を
訪れました。たまたまその書類には、複数の印鑑が必要なため、その銀行に押
印していただく部分に小さくしるしを付けて「この欄に捺印願います」と女子
行員さんにお願いしました。

その行員さんが彼女の上司に説明して、押印された書類を僕のところに持って
いらっしゃいました。上司の人が接客中でなければ、僕はその人に直接ご説明
したのですが・・・、押された印鑑の場所が違っていました。

単純に考えれば相手側のミスかもしれませんが、僕の説明にも不十分なところ
があったのだろうと思い、小さな怒りの感情を抑えながら、「訂正印が使えま
せんので、明日、再度取り付けに伺います」とお話しして、銀行を出ました。

翌日、再度書類を準備して、その銀行に行きました。今回はマーカーでわかり
やすくしるしを付けて、「お手数ですが、よろしくお願いします」と、同じ女
子行員さんに書類を手渡しました。

正しく押印された書類をいただいた後、僕は「昨日は私の説明が悪かったため
に、ご迷惑をおかけして、申し訳ありません」と、詫びを入れました。

すると女子行員さんも「私の上司への説明が至らなかったために、お手間をお
取りいただき、申し訳ありませんでした」と、詫びてくださいました。

双方が自分の過失を認めて謝り合えたので、気持ちよく銀行を出ることができ
ました。



人と人との間に起こるトラブルには「どちらかが100%悪い」ということは
少なく、交通事故の過失のように、お互いに過失※があると思います。

自分の過失に関して詫びを入れれば、相手も相手の過失に基づいてすなおに詫
びを入れてくれます。こうしたやりとりをすれば、感情論に発展することも少
なく、お互い、気持ちよく和解※できます。

(※ことばの意味   過失=あやまち   和解=なかなおりすること)

「あなたのここがいけないから、私は腹を立てている」とこちらが言えば、相
手も「そちらこそ・・・」と、怒りを大きくします。人と人が論争することに
は、それなりのメリットもありますが、相手を論破すれば相手からの恨みを買
い、こちらが論破されれば自分が恨みの感情を持つことになります。

いちど作った溝を埋めることは、溝を作らない努力に対して、数十倍のエネル
ギーを必要とします。そのエネルギーを費やしても、溝が埋まらないこともあ
ります。

「私は、あなたのこういうところに対して腹を立てています」と冷静に、あな
た言葉ではなく、わたし言葉で話をすれば、感情の論争を避けられます。感情
論には出口がなく、みずかけ論の末、お互いに疲れ果てて関係も悪くなります。
これでは、なにひとつ問題は解決しません。

溝を作らないために、先人は大きな知恵を残してくれました。
孫子の『兵法』にあるように、「戦わずして勝つ」ことが最も理想的です。

お互いに争うことなく、それぞれの利害を一致させれば、両者の損失を最低限
に抑えられます。それどころか、お互いに大きな収穫を得られます。この知恵
は戦いだけでなく、すべての人間関係にも応用できることです。

自分に意思や感情があるように、相手にも意思や感情があります。
自分が何かを望むように、相手も何かを望んでいます。
それぞれにとって、大切なものは違うこともあります。

顔が違うように、価値観や信条も違うことでしょう。目に見える違いはわかり
やすいのですが、目に見えない違いにこそ、大事な何かが存在するのです。

人との違いを認めるところから、相手への信頼や尊重の気持ちが芽生えます。
相手を肯定するところから、自己肯定の気持ちが強くなるのです。

客観的に冷静に考えてみると、「わたしは正しい。でも、あなたも正しい」と
いう事柄で、意見が食い違うことはたくさんあります。双方の正しさを尊重し
つつ歩み寄ることができれば、人生はもっと豊かなものに変わるのです。

相手を尊重する気持ちを持ちながら「わたし言葉」を使えば、人間関係がもっ
と良くなるのです。人と人との関係は、お互いに高め合っていくものなのです。

戦わずに勝つ方法を、いつでも意識していたいものです。
こちらが納得してゆずることで、戦わないという方法もあります。長い目で捉
えれば、ゆずったおかげで自分にゆとりが生まれることもあるのです。

出会いには何らかの意味があります。
その意味を生かすためにも、人との争い事は避けたいものです。

戦わない方法を考えよう。


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ご購読ありがとうございました。
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<あとがき>

先週に続いて今号も長文になりましたので、「心のままに」をお休みします。
次号はもう少し短い文章にしたいと考えていますが、テーマによって長くなる
こともありますので、ご了承願います。全体のボリュームを考慮しながらこれ
からも配信いたしますので、今後ともどうかよろしくお願い致します。

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