〜紀元三千年。幾多の苦難を克服した人類は、ついに銀河系を征服し、ここに巨大な銀河連盟を結成した。
我が宇宙パトロール船エンタープライズ号は、銀河連盟の平和と安全を守るため、今日もはてしない宇宙を進んでいくのである。〜
STAFF |
エグゼクティブ・コンサルタント |
ジーン・ロッデンベリー |
製 作 |
ルー・シェイマー、 ノーム・プレスコット |
アソシエイト・プロデューサー |
D.C.フォンタナ |
CAST OF THE MAIN CHARACTERS |
キャラクター |
声 |
日本語版声 |
カーク船長 |
ウィリアム・シャトナー |
佐々木 功 |
ミスター・スポック |
レナード・ニモイ |
阪 侑 |
ドクター・マッコイ |
デフォレスト・ケリー |
村越伊知郎 |
スコット |
ジェイムス・ドゥーハン |
石丸博也 |
カトー |
ジョージ・タケイ |
村山 明 |
ウーラ |
ニシェル・ニコルス |
高島雅羅 |
スタートレックの最初のTVシリーズ(邦題「宇宙大作戦」)が69年6月に放映終了し、その4年後に製作・放映されたのが、このアニメ作品である。
スタートレックはNBCのみの独占放映権であったが、放映終了後、それがなくなり、パラマウントテレビジョンの管理下に置かれることになり、多数ある独立系のTV局への提供が容易になった。
このことにより放映回数が増え、より多くのファンを獲得することになったのである。スタートレックの人気は放映中よりも、放映終了後の再放映によってさらに高まったのだ。
パラマウントではこの事実に注目し、同スタッフ、同キャストによる新シリーズを検討したが、終了後数年を経ており、かつてのレギュラーメンバー全員の出演は実現度が低いこと、更に再び作るには大きな予算が必要だったこと、その他さまざまな問題によりこの計画は実現には至らなかった。
そこで実写でのオリジナルキャストによる続編のかわりに検討されたのが、アニメーション化であった。
事実、パラマウント社のもとには、多数のアニメーションプロダクションから企画が持ち込まれていた。
しかし、それらの企画の大多数はスタートレックを単なるSFアクションとしか捉えておらず、明らかに幼児対象であったため見送られていた。その中で、西海岸のアニメ製作会社フィルメーションアソシエイツ社は、唯一、オリジナルシリーズを尊重した上で作品を作るという明確なビジョンを持ち、スタートレックの創始者でありプロデューサーであったジーン・ロッデンベリーをアニメシリーズのスタッフに迎え入れることで、オリジナルシリーズの持ち味を導入しようと試みていたのである。
こうして73年初頭より、アニメシリーズの製作が開始された。
スタッフはエグゼクティブ・コンサルタントとしてジーンロッデン・ベリー、
アソシエイト・プロデューサー(プロデューサー補兼ストーリー・エディター)として旧シリーズのストーリー・コンサルタンツであったD.C.フォンタナ、
製作はルー・シェイマー、ノーム・プレスコットで製作された。
最初のアフレコは73年6月に行なわれており、この時は仕事のため全米中に散らぱってしまった旧シリーズのキャストを3カ所に分散して集め、別々にレコーディングを行なっている。もちろん、登場キャラクターのキャラクター表(設定画)も、実際のキャラタターに極力似せて描かれていた。
脚本にも「リング・ワールド」などで知られるSF作家ラリー・ニヴンや、TV作品「ナポレオン・ソロ」「インベーダー」で知られる監督ジョセフ・サージェント、そして旧シリーズのレギュラーであったチェコフ役のウォルター・ケーニックなど、そうそうたるメンパーが参加している。
また、USSエンタープライズの外観やその内部などは、旧シリーズとの違和感を極力押さえるため、一種のロトスコープ(実写のフィルムをトレースしてアニメの絵を起こす作業)なども行なわれた。
番組構成の多少の変化に関して、ロッデンベリーは次のように述べている。
「わたしたちはほとんど視聴者の意見を入れて船を新しくした。例えば、エンタープライズの司令室のドアをふたつにし、そのうちのひとつはエレベーターには通じていないようにした。投書でこんな質問を受けたことがある。「もしドアが故障したならどうするのか?」この質問に答えることはできなかった。わたしたちはスポックだけでなく、たくさんの異星人の乗員に登場してもらうこちになるだろう。わたしたちはずっともっと異星人を登場させようと思ってきたのだが、映画俳優組合にこの役を引き受けてくれる人はわずかしかいなかった。」
放映時間がオリジナルシリーズと比ペて半分の30分という枠である事と、土曜朝の子供向けの時間帯であった為、あまり深いテーマ性のあるものは製作できなかったという難点があったが、このアニメシリーズは73年9月から74年10月までに全22エピソードが放映され、さらに75年にはNBCで再放送、そして各独立局でも繰り返し放映されるほどの人気を博した。尚、同シリーズの質の高さは74年〜75年にかけてのエミー賞で、子供番組部門の賞をとっていることからも判る。
ちなみに日本では74年4月から9月にかけて東京12チャンネル系(現テレピ東京〕にて放映された。日本語版の制作は東北新社であった。
このアニメシリーズは、多くのスタートレックファンにとって、パラレルワールド的外伝であり、正史として扱われていないようだが、スポックの幼年時代が語られたり、エンタープライズの初代艦長が登場したりと、話題性は充分なシリーズであるといえよう。
エピソード自体もエンタープライズの乗員を現実的に描いていたし、締め切りや予算の制限があったにもかかわらず、エキゾチックなヒューマノイドや人間以外の登場人物、背景、効果シーンなどが実にうまく織り込まれていた。
更に特筆すべきは、異星人や「ゲスト出演者」の多くの声を俳優ジェームス・ドゥーハン(スコット)とメイジェル・バレット(チャペル)が担当していたことと、全エピソードをハル・サザーランドが監督したことであろう。