The Tholian Web / 異次元空間に入ったカーク船長の危機

STAFF
脚 本 ジュディ・バーンズ
チェット・リチャーズ
監 督 ラルフ・セネンスキー
GUEST
オニール中尉 ショーン・モーガン
(嶋 俊介)
ソリア人の声 バーバラ・バブコック
(石森達幸)
STORY
 エンタープライズは消息を絶ったデファイアント号の捜索のため にまったく未知の宙域に入っていた。そこでは宇宙そのものが分解 しており、発見されたデファイアントはなぜか感知装置にはキャッ チされず、応答もない。調査に乗り込んだカークたちは乗員が殺し合って 死んでいるのを発見した。調査中にデファイアントが異次元に流されて行こう としているのを知ったカークたちはあわてて 帰船しようとするが、転送装置の周波も狂ってしまい、先発の3人 はかろうじて収容したものの、カークを残したままデファイアント は消えていった!
 再び次元が重なればカータが戻ると考えたスポックは位相転換 の周期を計算してエンタープライズを待機させるが、チェコフが突 然錯乱した。デファイアントの乗員を死に至らしめた伝染性の病気 を持ち帰ったらしい。しかもこの宙域を領有するソリア人の戦 艦の出現で空間の位相が乱され、カークの回収も難しくなった。退 去を迫るソリア戦艦。マッコイは治療薬の開発に努力するが、患者 は確実に増えつつあった。
 ソリア戦艦は攻撃を開始し、エンタープライズを拘束しようとエ ネルギー・フィールドを形成し始めた。予測していた位相転換が起こるが、 デファイアント号は姿を現さず、すでにカークの生還は絶望 的と思われた。乗員の志気が落ちはじめ、最初に数人の乗員がカークの 幽霊が漂うのを目撃する。しかしブリッジに現れたカークの幻影を見て スポックは、それがカーク本人であることに気づき生存を確信した。 マッコイもついに治療薬を完成し、スポックは最後のチャンスにかけて エネルギー・フィールドを突破、ついに亜空間からカークの収容に成功した。
NOTE
 このエピソードはカークにとって今までで最大の冒険だったと言えよう。 なにしろ「誰も行ったことのない場所(where no man has gone before...)」に旅し、無事帰還できたのだから。
物語のほとんでの場面でカークは、エンタープライズから姿を消しているので、 乗員が船長をどれだけ頼りにしていたかを理解することができる。 「The Paradise Syndrome / 小惑星衝突コース接近中」でもカークはエンタープライズを離れていたが、この時は死では なく失踪したと思われていた。
 スポックとマッコイの衝突もいつも通りに行われるが、このエピソードでは カークの遺言を見て仲直りし、スポックがマッコイを「ボーンズ」と呼ぶシーンが ある。これは愉快であると同時に、感動的な場面である。
 初めて登場する環境順応服や、ミニチュアとアニメーション合成 を多用した画面作りで、スタートレックの世界観のビジュアル・イメージを感じ させる1本。ソリア船が作り出すエネルギー・フィールドは理解し やすいネット状で鮮烈な印象を残す。このエネルギー・フィールド のイメージはその後TNGのパイロット版である「ファーポイント での遭遇」(日本未放映、ClC版「スター・トレック88/新宇宙大作 戦」の1巻に収録)で、超生命体"Q"が造り出す、エネルギー・フ ィールドの原型になったものと思われる。また、ソリア連合軍ロス ケーニ司令官のビジュアルも、異星生命体らしく雰囲気満点である。
 このエピソードでエミー賞を受賞したが、特殊効果のいくつかは アーティストのマイク・マイナーが手掛けており、彼は映画「スター・トレック」 にも参加している。