Charlie X / セイサス星から来た少年

STAFF
脚 本 D.C. フォンタナ 監 督 ラリー・ドブキン
GUEST
ピーター ロバート・ウォーカーJr.
(前川功人)
レイマート チャールズ・J・スチュワート
(高城淳一)
ネリス グラス・ミッチェル
(家弓家正)
   
STORY
 宇宙空間で、科学調査船アンタレスと合流するエンタープライズ。この予定外の行動は、アンタレスがセイサス星で保護した、ひとりの少年を引き取るためであった。彼の名前は、ピーター・エバンス。航宙艦遭難事故でただひとり生き残り、アンタレスの乗員によって発見されるまでの14年間、荒れ果てたセ イサス星で生き延びてきた奇跡の少年である。
 しかしスポックは、ピーターのたったひとりでセイサス星の過酷な環境を生き抜いてきた、という言葉に疑いを抱いていた。異星の環境に熟達した大人でさえ不可能なことなのに、事故当時まだ3歳だった彼が、どうしてひとりで食料を得ることができようか、と。だが、かれは身体的には完全に普通の人間であった。初めて見る女性に心をときめかせ、ジェニーに淡い恋心を抱くほどに……。
 彼が生き延びることのできた理由は、伝説のセイサス星人から与えられた、自由に物質を変質させたり消失させる能力のためであった。艦内でこの能力を使い始めるが、最初はいたずら程度のもので、父と慕い始めたカークに叱られると力の使用は止めてしまった。しかし、慕っていたジェニーに自分の気持ちを打ち明け、鼻であしらわれるとジェニーを消し、その後次々と乗組員を消していってしまう。
 その力を解放してアルファー5植民地へ行こうとし、エンタープライズをも掌握しようとするピーター。しかしカークは船内の内部システムを最大限にし、ピーターが操縦できないようにしてしまう。その時、彼の暴力的な行動を知ったセイサス星人が、彼を自分たちの世界に連れ戻すために現れた。生きるためにセイサス星人がピーターに与えた力は、もはや彼を人間世界では共存できない存在にしてしまっていたのだ。
 感情のないセイサス人の世界に帰りたくない、という声を残し、ピーターの姿は徐々に消えていった……。
NOTE
 人間以上の能力を持ってしまった者は、人間として生きることは不可能なのか?本作はプロデューサーであるロッデンベリー自らが原案を書き、彼の良きパートナーであったストーリ−・コンサルタント、D.C.フォンタナが脚本を書いた名エピソード。
 ピーターは一度も自分の力を控えるよう教えられたことはなく、、破壊の衝動を押さえる訓練もされていなかった。セイサス人には肉体がないので、こんな衝動を持っていても別に害を与える心配はなかったからだ。セイサス人はピーター以外の人間に会うことを慎重に避けていたので、ピーターは一度も人間とどう接すれば良いのかを教えられていなかった。セイサス人もピーターが自分の惑星で生きて行けるよう、この力を与えたに過ぎないのだから、両者ともに罪はないと言える。
 チャーリー(日本語版ではピーター)を演じたロバート・ウォーカーJr.は、俳優ロバート・ウォーカーと女優ジェニファー・ジョーンズとの間に生まれた息子だ。
 このエピソードでのミスは、マッコイがピーターを診断しているシーンにある。カメラはピーターが寝ている姿を写しているが、ベッドの上のモニターにピーターが立っている姿がはっきりと写っている。
 ところで、ロッデンベリーは、このように人間が人間以上の力を持つとどうなるか……というテーマが好きなようで、ニュートレックでも似たようなシチュエーションのエピソードがいくつか製作されている。