てんで性悪キューピッド
●(第1話)ハダカの悪魔!の巻
No | 掲載号 | 総頁数 | 発売日 | WJ(※1) | コミックス(※2) | 席次(※3) | J(※4) | 5 10 15 20 |
001 | 1989年32号 | 31 | '89/7/11 | 13〜15 21〜48 |
5〜36 (5〜36) |
1 | 20 | ******************** |
※1 WJ(週刊少年ジャンプ)に掲載されたページです。
※2 コミックス(単行本)、ワイド版()に収録されているページです。
※3 ジャンプ本誌でのの作品掲載順位です。
※4 ジャンプ本誌での総作品掲載数です。
◆西日の厳しい四畳半で,大汗かきながら原稿かいています。ファンレターまってるよ〜っ<義博> |
※5 ジャンプ本誌の巻末(単行本未収録)での冨樫先生のコメントです。
■巻頭柱(※6)・あおり(※7)・巻末柱(※8)文句・扉絵(※9)
コメント | 扉絵 | 備考 |
優しい悪魔に魅せられて水晶きらめく夢の中…!! ときめきCLOSE UP! カラフル・サマー新連載第1弾 ●初の連載!はりきって行くぞ〜〜〜〜っ!! 冨樫義博 ◆悪魔のまりあに、魅入られた!? 竜次の先ゆき、波瀾の予感…!! |
聖まりあ 鯉昇竜次 |
・表紙 ・カラー(3) ・多色刷(28) ・懸賞・下敷 |
注:上の図の見方は上側が巻頭柱(※6)、中があおり(※7)、下側が巻末柱(※8)文句です。
※6 柱文句とは作品のタイトルやあおり文句とは別にマンガのコマの端っこに書かれた文句です。
※7 あおりとは作品の最初のページに作品のタイトルとは別の文句です。
※8 (※6)同様に巻末に書かれた文句です。
※9 作品のタイトルが書かれているページの登場人物です。
■次号予告(※10)一覧
第33号、『親父の女! 』の巻。 |
・かわいい悪魔に魅入られて危険な恋のSeason in! キュートに妖しく新連載31P! てんで性悪キューピッド 冨樫義博(表紙) ----- ・少女まりあの真の目的とは〜〜!? 『てんで性悪キューピッド』(P125左端柱) ----- ・新連載第2回21P ときめきの兆し!てんで性悪キューピッド 冨樫義博 オヤジの愛人(オンナ)とばかり思っていたまりあが実は…! 不思議美少女に振り回される竜次のうれしハズカシ生活だ! (P50/まりあ・竜次) ----- ・新連載第2週目!! 人気沸騰ラブ・コメディ!! てんで性悪キューピッド 冨樫義博 突如現われた謎の美少女まりあ。彼女の目的とは一体!? (P418/まりあ) |
注:上の図の見方は上側が作品巻末予告、下側がジャンプの柱及び次号案内の文句です。
※10 次号予告とは作品の最後のページにかかれている次号の予告のことです。
[あらすじ] 極道一家の長男に生まれた鯉昇竜次は家庭のイメージとは裏腹に妖精好きの夢見がちな中学3年生。 ある日、入浴中を家族に覗かれ17回目の家出の途中で林に入り、悪魔の水浴びを見てしまう。 あまりの恐ろしさに帰宅し、家族には笑われてしまい、そのご学校でそれを友人たちに話すと、ナンパでもして気分を紛らわせようと誘われていった場所で… [解説] 冨樫義博先生の初連載作。『てんで性悪キューピッド』第1話。この作品が週刊少年ジャンプに掲載されたのは1989年7月11日火曜日発売の週刊少年ジャンプ1989年32号。カラフル・サマー新連載シリーズの第1弾としてでした。 読切4本を出身山形県で執筆され、大学4年生の終わりにマンガ家に進路を決めて、1989年20号で読切『狼なんて怖くない!!』を本誌で発表した後の、漫画家としてのスタートを切り、注目浴びての新初連載作品でした。このときの少年ジャンプの価格は消費税法導入後の1989年20号から据え置き定価、180円。 ジャンプが大型連載陣をかかえ、その連載が次々にヒットして雑誌作りに力を入れているまさに黄金期。 約500万部以上の発行部数を伸ばし続けたその時期に表紙を飾って連載がはじまりました。 ところで、冨樫先生が少年ンジャンプに書下ろされた第1回の表紙のイラストはカラーで巻頭を飾ったにもかかわらず市販された単行本・愛蔵版、文庫版には未収録。 また、現在は絶版の単行本に収録された表紙・背表紙イラスト・作者コメント、連載の予告カットは全て書き下ろしでした。 1989年7月4日火曜日発売のジャンプでは予告4ページ、特報柱1本、予告柱1本と豪華な紹介のされ方です。 ジャンプは新人を生み出し育てることに他に類をみない才能を持っていました。 NEW FACE、新戦力等の冨樫先生にむけた大きな賛辞が並んでいました。 ▼1989年31号の予告紹介文(『てんで性悪キューピッド』の予告号)
______________週刊少年ジャンプ読者アンケート ▼週刊少年ジャンプ第32号愛読者アンケート
_____週刊少年ジャンプ1989年32号、愛読者アンケート 一部引用 (かよーの独り言) ______読者アンケートの考察 どんな展開を望みますか?という質問。後の代表作、幽遊白書でも同じ項目がありましたが、今回の質問は 読者に今後の展開の傾向についてお伺いをたてています。 ジャンプでは新人作家が新連載を発表する際にある程度読者の好みを予測して展開を決めていることがわかります。 設問[4]は個人的にとても興味深いと思うのですが、この〜の読者の選択によって展開を決めているような重大な質問に思われます。 例えば、話の筋を決めてしまいかねない選択肢、この設問はラブコメやSFなどの作品のおおまかなジャンルを指定するのではなく、具体的に主人公のこれからの行動を示す『旅』と言う言葉が出てきています。 ただ、この選択肢の展開では、個人的に解釈すると、竜次が家出して旅をすることになると、せっかくだしたあの個性の4姉妹を登場させる頻度が減るのではないか、せっかくの登場人物の魅力がもったいないと思いました。(あの家族から離れるために家出を繰り返してきた竜次だから、旅にでたら極力逃避するでしょう) また、旅に出たとしても、家族から離れるという目的を達成できたら、旅を続ける理由が必要になるとこれも予想されます。おそらく母親探しになって、母親が見つかっても、(いる場所は竜次も知っている気がします)それから個性の4姉妹と父親が絡んできて、泥沼化することでしょう。 そして、まりあは主要人物のヒロインの役割であるかのような大きな扱いであり、秘密を知られ、普通中学生の竜次では一人旅はおそらくムリでもあり、悪魔のまりあをつれて旅をすると思われるのですが、それならばラブコメより、まりあの魔力を重視したSFもしくはファンタジー的展開になるでしょう。 こんな展開が用意されているかどうかはすでに連載が終わった今は編集部と冨樫先生のみぞしることですが『旅』という展開を選ぶと、第1話の性格設定が細かく表されていた登場人物(=竜次の家族)たちから離れていこうとする竜次が予測されるので、また新しい登場人物を探さねばならず、非常にまわりくどく、もったいない展開になったと思います。 そして選択肢は読者に冨樫先生にラブコメ作家としての作風を期待しますかと暗に読者に求めているかのような質問です。冨樫先生にこれからずっとラブコメ作家として定着して欲しいですが?と質問しているようでした。 ______主人公のキャラクターについて 設問[1]でキャラクター、主人公が読者にどのように写っているかを具現化しようと試みています。読者のイメージを知りたかったのでしょう。 しかし、設問を多数、示されているものの、個人的には竜次のキャラクターについてはその他を選びます。1話だけだと以上の項目からは選べませんでした。 1話だけ読む限りには、まりあの性格は、色っぽく、誘惑的?と選びます。それ以外にも竜次と比較してまりあの方がわかりやすくかかれていると感じました。どの選択肢もまりあにあてはめても説得力のあるエピソードが第1話から読み取ることができるからです。 それにしても主人公はまりあではなくて竜次くんだったのですね!今更驚きました。 私いつかまりあが主人公ってどこかに書いた覚えあります。←ダメ管理人ですね。すいません。 _____まりあの髪の色について 第1話で竜次の友人がまりあの髪の毛を栗色と指摘していますが、栗色はこげ茶系の色。単行本の表紙の彼女はあきらかに金髪(黄色)です。金髪は和名で亜麻色といいます。 しかしながら、この発言は連載時には多色刷(赤・黒・墨の三色)ページであり、雑誌掲載時にはこの箇所だけ見た目には栗色(こげ茶系の色)に見えました。まりあの髪の毛の色は本当は何色なのでしょう? ______幻の単行本と冨樫先生のメッセージについて てんで性悪キューピッドの愛蔵版を手にされたことはありますか? 愛蔵版と単行本は実は大幅にカットされた個所があります。作者コメントです。愛蔵版226ページの挿絵のあるページ、空白が気になりませんか?単行本の同イラストがあるページにはメッセージがあります。 単行本が90年代に発売されたにもかかわらず現在、単行本だけ再販されていないのは、私見ですがこのコメントが大きく由来しているからではないかと思います。他のコメントも一緒に綺麗になくなっています。 ※ このコメントは単行本の初版だけではなく別に管理人が所有している第6刷にも、載っています。 掲載された当時には探す価値があるだけのことは書かれていました。 でも今の冨樫先生ではムリでしょうね。悲しいような、嬉しいような。 冨樫先生が描かれたことはムリになってしまいましたが、一作品でも完成度の高いものを読めることが結局は多くのファンの願いだと思っていますのでいつまでもいつまでもいい作品を描いて欲しいです。 (古いファン投稿誌ファンロードにも指摘されたあるシークレットエピソードは絶版の単行本第2巻に掲載されています) ______てんで性悪キューピッドという作品について 初めて読んだ時は私もきわどい表現にひとつひとつに驚き、表紙を見て買うかどうかさえ迷うこともありました。(まりあの挑発的なイラストが表紙だったので、一瞬成人向けの本ではないか?と躊躇いました、愛蔵版はさらにその傾向が強いです)そして、第1話の内容も全部この調子でしかもエスカレートしたらどうしようと、今まで読んだ作品のギャップに激しく驚きました。 それでもそんな第一印象とは別に話が進んでいくほど、登場人物たちの魅力が出て来て、今でも本を何度か読んでも、第一印象でえた気持ちは残っているものの、作品の暖かさとか、見えて好きになりました。 一般的にもエッチな作品といわれていますがセクシュアルな描写は非常にめだっても、行間に含まれる暖かなお話は心がほっとしたものでした。 それにしても竜次パパ竜蔵43歳。若いですね。長女竜子さんは24歳!です。 最後に、1989年20号の『狼なんて怖くない!!』のジャンプの巻末コメントで ◆初めまして。本誌初掲載で感激しています。今度はもっとうまく描きますので感想下さい(義博) と書かれた冨樫先生。みなさんはいかがでしたか? |
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参考文献:ジャンプ・コミックス『てんで性悪キューピッド』
冨樫義博(集英社)
『週刊少年ジャンプ』(集英社)
1989年20・31・32・51号