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漫画賞講評記録



冨樫先生は月間で漫画賞の講評をされています。以下は初めて審査に参加された
第80回・10月期H☆S(ホップ・ステップ)賞から最近の審査までを取り上げています。

冨樫先生の審査は丁寧かつ細かい考察入りなので必見です。(特に昔のものほど)
作家になるまでの道のりや漫画家や漫画のジャンルの区分などが事細かに描かれています。

また冨樫先生ご自身もH☆S賞に投稿歴があり、それ以前はヤングジャンプに投稿されていました。
第20回H☆S賞では初投稿にして最終候補、その後、第24回H☆S賞佳作入賞、第34回手塚賞(ストーリー部門)入賞、週刊少年ジャンプ増刊にて読切4本掲載後、週刊少年ジャンプで読切1本、連載4作目の現在の輝かしい地位を得られました。

冨樫先生が審査されたH☆S賞の回には現在週刊少年ジャンプで活躍される『ONE PIECE』の尾田栄一郎先生の名前もあります。(作品は『一鬼夜行』で第回H☆S賞入選作品)

以上からなかなか注目深い記録なので、冨樫先生が審査員として参加された漫画賞の講評を以下に取り上げました。

週刊少年ジャンプは1969年の創刊号から新人漫画賞を募集し、連載も新人への待遇が他雑誌と比較にならないほどの待遇があります。創刊が多少年誌に比べ2年ほど遅れ、有名人気作家のほとんどがすでに他誌に押さえられ、月刊誌からの出発。それ以外にも定価が20円ほど他誌よりも高くもあり、不利といえば不利な状態でした。

だからこそジャンプは新人作家発掘と育成とシステム作りに力を入れて、賛否両論はありますが専属契約制度などを設け、努力を惜しまなかったんでしょう。

ジャンプからは現在も第一線で大活躍している作家が多くいます。そのジャンプの新人育成の礎となった賞の二つです。

※ 新人マンガ家の登竜門といわれる手塚賞と赤塚賞は年2回の審査であり、個人的にはどちらかというと練習として作品を投稿するよりも、努力を積み重ね、日々こつこつと描きためてきた作品の総まとめとした集大成をぶつけてくる賞という観があるのでなのでここでは省略させていただきました。


H☆S(ホップ・ステップ)賞

第80回・10月期 
第92回・10月期
第104回・10月期 
第136回・6月期 

※ H☆S賞(ホップ・ステップ賞)とは…1985年に創設された週刊少年ジャンプ主催の月例新人漫画賞のことです。週刊少年ジャンプ1985年22号の誌上で初めて結果発表されて以来、1997年7月期まで第120回もの審査が行われ、毎月逸材が世に輩出されました。

審査の特長は毎回編集部と連載作家が漫画の審査をし、講評が行われました。一度リニューアルされた後には、作品が佳作以上に入賞すると無条件で週刊少年ジャンプ増刊と『週刊少年ジャンプ新人漫画賞ホップ★ステップ賞SELECTION』に掲載されました。特別賞には審査作家愛用の品もいただけることが大変な魅力でした。

冨樫先生はそのリニューアル後のH☆S賞で佳作入選したさきがけ的存在であり、『週刊少年ジャンプ新人漫画賞ホップ★ステップ賞SELECTION』の第1巻で『ジュラのミヅキ』が掲載されています。

但し、その月の最高得点を獲得すれば入賞しなくても『週刊少年ジャンプ新人漫画賞ホップ★ステップ賞SELECTION』には掲載されました。最終審査にまで残ると『原画見本帳』、『特製漫画スケール』、漫画TEXTBOOK2・3・4が頂けたようでした。現在はこの賞は廃止されています。

この当時の『原画見本帳』は毎月最終審査を通った15人程度しかいただけない上に、その『原画見本帳』の内容も変更されるので、非常に希少性が高いものです。

※ 『週刊少年ジャンプ新人漫画賞ホップ★ステップ賞SELECTION』は全19巻で完結しています。

『ホップ★ステップ賞SELECTION』の冨樫先生のコメント【8】【10】【13】

天下一漫画賞

第27回・10月期
第41回・12月期
第72回・7月期

※ H☆S賞に引き続いてできた賞です。月間単位で投稿作品が募集されています。
H☆S賞と同様に佳作以上の作品は増刊号でデビュー、その中でも特別評価の高い作品は本誌デビューもあります。また、H☆S賞とは違い最終審査に残らなくても、投稿作品に所定のキマリを守って、定額の切手を同封したら『原画見本帳』は投稿者には頂けるそうです。最終審査にまで残った場合は『原画見本帳』、『特製漫画スケール』、『特製チェックリスト』が頂けるそうです。

H☆S賞以上に、入賞作家の待遇が格段に良くなりました。賞金の大幅増し、特典、佳作以上はデビュー。とても豪華です。投稿して応募のキマリを守れば『原画見本帳』はいただける時代になりました。

『原画見本帳』とは作家の原画とともに手法やコマの見せ方、見開きやマンガの技が集結した豪華な見本帳です。内容は定期的に変更されていきます。


参考文献:週刊少年ジャンプ(集英社)
1987年18号
1988年1・2(合併)号
1989年20号
1989年32号〜現在号まで