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週刊冨樫帝国No.37・38合併号

週刊少年ジャンプ(集英社)の『HUNTER×HUNTER』連載中に原作者自ら関与して
執筆した同人誌。
1999年8月13日日曜日、夏のコミックマーケット58・東京都、有明・東京ビッグサイト会場
午前10時開始にて、サークル番号A-53bで価格100円にて販売。(開催期間3日間、3日目)

事前にコミックマーケット用のカタログあり。

[サークル名]
冨樫帝国

[作者]
冨樫義博(『HUNTER×HUNTER』原作者)
武内直子(『美少女戦士セーラームーン』原作者)

[装丁]
A5版・全20ページ・オフセット印刷・スミ印刷
表紙:ゴン・キルア・クラピカ・ヒソカ・サトツ・たけし・王子・姫(冨樫義博)
扉:月野うさぎ・タキシード仮面・王子(冨樫義博)
裏表紙:ゾンビ(冨樫義博)
※()内は作者の名前


●月野うさぎと地場衛(冨樫義博)P3

イラスト。1ページ。

[内容]
↓ネタばれなのでマウスをずらして読んでください。
(ここから)

 リアル画でバラを手に思いをはせる乙女的な月野うさぎと遠くを見つめる地場衛。
武内直子氏の『美少女戦士セーラームーン』のふたり。


(ここまで)
●姫と王子のイラスト(武内直子)P4

イラスト。1ページ。

[内容]
↓ネタばれなのでマウスをずらして読んでください。
(ここから)

 下着姿の姫の肩を舐める王子(犬姿)

(ここまで)

●【祝!!TVアニメ化記念ぱ〜んち】(武内直子)P5〜10

 1ページ漫画。6ページ。

↓ネタばれなのでマウスをずらして読んでください。
(ここから)

P5  アニメ化が決まったのでマンションを買いに行く姫(うさぎ姿)と王子(犬姿)。あまりの高額さに
不動産屋に切れる姫。ところが王子は不動産屋の一言に気を良くして「まけなくてもいいよ」と
言ってしまい姫のかかとおとしぱ〜んちを頂戴する。姫はB’zの稲葉浩志(※1)氏と同じマンションが良かったらしい。徒歩87歩。当時、吉田拓郎(※2)が近々引越してくる予定だったらしい。

(※1) B’zの稲葉浩志…1964年9月23日生、岡山県出身。
グループ『B’z』のヴォーカル・作詞担当。松本孝弘と一緒に活動中。

(※2) 吉田拓郎…1946年4月5日生、鹿児島県出身。
ちなみに1978年、石野真子(1961年1月31日生、兵庫県出身)の
デビュー曲『狼なんか怖くない』を作曲。

P6  アニメ化が決まったのでアップル社のMacintosh G3(※3)で絵を描く姫。王子はひそかに
『HUNTER×HUNTER』6巻(表紙:キルア)と1999年40号(1999年8月31日火曜日発売)のイラスト(単行本7巻P27を指す)の読者人気投票のカラー(雑誌掲載時)はを自分で塗った事を告白。G3で作業中の姫は『美少女戦士セーラームーン』の火野レイを製作し、王子に保存を頼み外出。王子、見事に姫の1週間かかった作品をすてる。

ちなみに1990年40号の作品の冨樫義博先生御自らによる製作風景が週刊少年ジャンプ&Vジャンプ共同編集『eジャンプ』2000.1.18増刊の付録のプレーステーション専用のCD−ROMに収録されている。

(※3) アップルコンピューター社、Macintosh G3…『パーソナルコンピュータとして業界最高水準の処理スピードを達成した、プロフェッショナル向けの製品』(1998年当時)

P7  アニメ化が決まったのでパソコンにタブレット(周辺機器・作画用ペン型マウス)をつなげる
王子と姫。ところがつながらず王子はズボンをぬいで…!!!凝固する姫。
…何が起こったかは管理人に質問禁止。管理人には答えられません。

P8  アニメ化が決まったのでサンライズに打ち合わせに行く。このとき姫が持っている鞄は
おそらくエルメスのケリー(※4)と管理人は推測する。
王子はデュエルモンスターズ(※5)世界大会に向けて一人遊ぶ。姫は途中で財布に2000円しかないことに気付き王子にお金を貰う。王子はその後、駅まで自転車で向かい歯医者へ行くが、タクシーで帰ってくる。治療代を払ったら140円しか残らず電車に乗れなかったそう。1999年7月の出来事。

(※4) エルメスのケリー…HERMES社の高価な鞄。
エルメスへのオーダーであれば自から素材を選ぶ事ができるが、注文を依頼すると、手元に届くまでに3年〜5年も待たなければならない。
1954年映画『喝采』でアカデミー主演女優賞を受賞したモナコ王国のレーニエ国王と結婚した
故グレース・ケリー(女優)王妃が咄嗟に妊娠したお腹をを隠した際に持っていたのが
HERMES社製の鞄であり、その瞬間を『ライフ』紙に取り上げられ、以後王妃の持ったタイプの鞄を王妃のファーストネーム『ケリー』で親しまれるようになる。60万円〜。高額なものでは200万円以上するものもある。クロコが人気であるが、武内先生も『YOUNG YOU1999年別冊結婚物語』で所持が確認。ハリーウィンストン(時計なんか1千万クラスありーの超高くてゴジャスなお店)に婚約指輪を見に行かれる際にご使用。その後、2003年4月掲載のセーラームーンのホームページ、『Sailormoon. Channel.』の直子姫の部屋でバーキンを購入したことも確認された。(そして姫はYOUNG YOUでもアンティークバーキンの購入を報告)
HERMES社製のお品は香淳皇后や雅子さまもをご愛用された由緒正しく、気品のあるお鞄。エルメスはもと馬具のお店で、鞄は日中しか作られない、なぜならば鞄を持ち歩くのは外であり、自然光で一番美しく見える状態で作り上げられるから。また鞄は永久保障がつく。親子3代で持つ人も稀ではない。この有名な話はこれまたOL向けの高級雑誌(25ans、予備軍のヴァンテーンとか)でエルメス紹介の際にはよく紹介される話題。25ansでは姫が2000年7月号で紹介されている。

(※5)デュエルモンスターズ…高橋和希の人気作品『遊戯王』のカードゲーム大会のこと。
カードで社会問題にまで発展した。『レッドアイズ』という超希少カードは高額取引されていたが、
最近はブームも下火に。ただし海外では根強い人気。(2003年9月現在)

P9  クラピカの衣装のモデル。『SHANGHAI TANG』ニューヨーク店のサイズ40、
20万円のもの。このページのみ王子のクラピカのイラスト。王子が衣装を着用している。

P10 アニメ化が決まったので姫は王子に制作会社を訊く。姫問題発言をして王子のパンチを
顔面に頂戴する。FAXされてきたキャラクターデザインに関してまたもや姫問題発言をして、今度は
足蹴りを頂戴する。王子上の2コマを見て自己弁護する。殴ったり蹴ったりした事はないそう。

(ここまで)

●HUNTER×HUNTER原作設定資料集(冨樫義博)P11

イルミ・サトツ・ポンズ・ハンゾー・ウイング・クラピカ・カルト・シルバ・カナリア・カイトのモデルが
明かされている。

↓ネタばれなのでマウスをずらして読んでください。
(ここから)
・イルミ→『ねこぢる』(ねこぢる)の猫
・サトツ→特になし
・ポンズ→特になし
・ハンゾー→幽白にも登場
・ウイング→将棋の羽生善治。ちなみに王将、王位、王座、棋王、竜王の5冠。(2002年1月現在)
・クラピカ→TMレボリューション(正確には西川貴教)
・カルト→『美少女戦士セーラームーン』のセーラーサタン(土星を司る)の土萌ほたる。
・シルバ→刃牙のオヤジ(正確には『グラップラー刃牙(バキ)』の主人公の父親、範馬勇次郎。)
・カナリア→スピード(1999年3月解散の女性歌手4人組)の新垣仁絵。
・カイト→『ムーミン』(トーベヤンソン)のスナフキン

(ここまで)

●キルア(冨樫義博)P12、13

見開き2ページに渡って6カットのアニメ風キルア。

●ヒソカ(冨樫義博)P14〜15

見開き2ページに渡って『HUNTER×HUNTER』7巻P24、25の下書き。

●月野うさぎ(武内直子)P16
月野うさぎの水着姿と『美少女戦士セーラームーン』の宣伝。

●【ごあいさつぱ〜んち】(冨樫義博/武内直子)P17

『HUNTER×HUNTER』6巻と姫の新刊(発売されなかった)の宣伝。

●奥付(武内直子)P18

連絡先が記載。


【解説】

冨樫帝国はヨシりんでポン!ほどの市場価値も冨樫先生の関与度も低い本であり、(それでもお手軽に手を出せる値段ではけっしてナイ)、原作チェックファンがどれほど喜べるかというとその人のマニアック度しだいといったところです。

原作設定資料集と冨樫先生の下書き原稿、冨樫義博画伯のセーラームーン画が見られることがどれほどファンが喜べるかどうかは別として、冨樫義博、武内直子という名の冠がついたので市場価値が非常についてしまいました、という典型的な本です。

ただ、この同人誌はキャラクター設定集や、長年発売すると言われ続けてきた、武内直子先生のぱんちシリーズの単行本でもだしてくれたら間に合ってしまう内容であり、商業誌レベルで発表している作画としてペンを入れた原稿というのがほとんどなきに等しく、冨樫義博先生が『週刊朝日1999年9月3日号』(朝日新聞社)で叩かれるほど手をいれたようすが見えませんでした。

週刊朝日1999年9月3日号P150 の記事について

記事に上げられている同人誌を3冊(画集を含む)は、正しくはノート3冊(セーラームーン、HUNTER×HUNTER、なおこ姫とよしひろ王子)と同人誌(冨樫帝国)1冊です。

ノートのイラストは表紙と裏表紙と表紙内側に描かれていますが、ペン入れし、構図を取り、パソコンにより着色されたイラストが描かれているのは表紙のみです。
HUNTER×HUNTERの絵は美少女戦士セーラームーンの公式ページ『Sailormoon.Channel.』にあったシークレットページのイラストと同じです。

また、武内直子先生の画集は、1997年に発行されたセーラームーン終了記念画集(美少女戦士セーラームーン原画集vol.∞)の在庫です。新刊ではありません。

そして、冨樫先生が手を入れたのは全18ページ中9ページで、表紙・中表紙・裏表紙にミリペン・鉛筆描きによる下絵が該当するのですが、商業誌『週刊少年ジャンプ1999年39号(集英社)』1999年8月24日火曜日発売の掲載分の『HUNTER×HUNTER』7巻P24、25の下書きが含まれるので実質は7ページの執筆になります。

また、表紙・中表紙をのぞくと、残りのページはストーリや関連性をもつ絵ではなく、自作品の登場人物を単発的に描いたよく単行本のあまったページに描かれる挿絵に近い絵でした。

本題に戻ります。私LUNE管理人は週刊朝日1999年9月3日号の記事は、「休載を繰り返したあげくの少年ジャンプ32号がスゴかった」から1999年32号掲載の『HUNTER×HUNTER』(6巻P159〜177に相当)を「まるで下書きか落書きのような」と批評しています。そしてその上で8月に開催されたコミックマーケットに二人が参加したことをあげています。

この筆者はこの期間の休載中に同人誌を書いたのではないかと、疑問に結び付けています。

冨樫先生がこの同人誌を描いたのは確かに商業連載を持っているときには違いありませんが、それが休載の理由となったかのような書き方はとても気になりました。

まず、特に記者のこの32号への批評から、1999年25〜31号までの休載を特に指摘していることがわかりますが、この時期は5月末〜6月末までに相当し、少なくとも同人誌の締め切りとは関係のない時期です。

なぜならば、この同人誌の執筆時期は7月以降だからです。

P8の姫の発言に『7月』という明らかな時期が記録されていています。

そして、P6の王子による「40号とかんのボクちゃんの絵見てくれワン」でこの発言から既に1999年40号の執筆を終えたことを(入稿した)表している事がはっきりとわかるのですが、この1999年40号の少年ジャンプは1999年8月31日に発売されています。

マンガは雑誌に掲載することを考えるとたいてい印刷2週間前に仕上げるとうかがいましたのですが、さらに少年ジャンプの全国配送時間と印刷時間が1週間かかるそうです。つまり2〜3週間の猶予が必要となります。そしてこの3週間前と言うのがお盆前で、合併号が発売されるにあわせての進行で通常より締め切りは早くなるので、この号は最低でも8月2〜9日までに仕上げなければ掲載されなかったと推測されます。

ちょうどコミックマーケットの印刷の締め切りとかぶる7月7日〜28日の少年ジャンプは確かに冨樫先生は掲載されていませんでした。しかしこの記者が指摘する32号までの休載はコミックマーケット参加が理由とはならないはずです。

同人誌も印刷屋さんが提示した発行するのにギリギリの締め切りがあります。それはたいてい7月末までです。(でもこれは早めの提出の割引を使った場合で、最終締め切りは8月上旬まで延ばすことも可能です。締め切りは確かにかぶっていますが、少なくともこの時点では冨樫先生は仕事をちゃんとやった上で仕事の合間に書いていたはずです。

そして、これよりずっと後に発売される週刊少年ジャンプ&Vジャンプ共同編集『eジャンプ』2000.1.18増刊の付録のプレーステーション専用のCD−ROMから1999年40号の製作風景が見ることができますが、おそらくこの収録は7月末〜8月でしょう。40号の下書きを書いているのですから。冨樫先生は。ちなみに、このときの冨樫先生、半そでを着ています。

この同人誌を書いている時点で40号は仕上がっています。同人誌を書いていたときは、このCD−ROMに収録されていた映像に出演し、この同人誌を執筆しているころの冨樫先生は人気投票のカラーページや少年ジャンプと単行本の表紙を描いたり、アニメ化も決まり、さらに毎週20ページの締め切りがありました。そして先のページの修正もあったから、コミックマーケットの印刷の締め切りとかぶる7月7日〜28日の少年ジャンプはそのために休載されていたことでしょう。

この本が発行された時期は休載が非常に相次いだことは確かですが、妻の武内直子先生のぱんちシリーズを読み返すと武内直子先生のお体のお具合や精神状態にも大きく影響を及ぼしかねない事情もあり、夫の冨樫先生としては苦しい時期だったように思われます。(詳細はオール読み切りYOUNGYOUの2001年2月号を読まれると、原稿を書かれるよりも私個人の心情としては武内直子先生の傍についていてほしいと思いました。)


発売された同人誌の表紙だけはまだ若干心の余裕があったときに、こういう本をつくろうとか考えていた段階に書いたと思うのですが、それ以外はしりきれとんぼで同人誌に書けるネタも十分ではなかったようで、武内直子先生もぱんちシリーズの番外編のような作画、この場でしか書けない、これを書きたいという同人誌には一番大切な目的である主張がはっきりと見えませんでした。

(近況発表なら内容がペーパーでも、商業誌に載せてもとりわけ問題でもある内容ではないので、商業誌という主張できる場がありながらどうして同人誌で発表したかという意図も見えない)

おそらくスペースを申し込んだころ(確か当落は5月末に分かるはずで、5月以前は新婚旅行や結婚式などの特別な時期を省いてはほぼ毎週掲載されていました)には、あれもしたい、これもしたい、色々あそんでみようっていう希望はあったんだろうなとLUNE管理人は推測します。

実際の同人誌の最終ページ付近はギリギリページを間に合わせるためになんとか本らしくするために、そしてなるべく同人誌としての主題というべきページを作るために寄せ集めた原稿であったような私個人としてはそういう気がしてなりません。価格も100円だから全部売れても大赤字で、このレベルで100円なら適正価格より安いです。(最低でも紙代にさえならない)

新作に力を込めた同人誌というよりは本当に息抜きか、過去の原稿や設定を集めたような同人誌でした。

だから冨樫先生がこのイラストを描くために、仕事を手抜きしたとは言って欲しくないのです。

商業誌を捨てて、同人活動に精をだしたといような今回の記事はとても残念に思いました。


冨樫先生が同人誌を発行したことについて


私は手に取れた幸運な人間なのでなんとでも言えますが、ずばり言ってしまえば休載、コミックスと連載されている絵が違うと叩かれている時期には、もう出してほしくありません。

同人誌の醍醐味は無期限で自分のためだけに書きたいことがまとまってからゆっくり好きなように書いてほしいのです。今回はそれができたのでしょうか。

何より書きたいことを、商業誌ではなくどうして同人誌という媒体で表現するのか、明確な意図や目的がないように思いました。

私はファンとして冨樫義博という名が冠した本はどうしても読みたいです。事実探し出して読むのですが、探すのがとても大変です。

それ以外でも世間に出回っていないインタビュー記事や手記や解説があるので、毎回まさかね?と思いながら原本を入手し、確認しています。

だから、皮肉なことに手に入らないような場では本を作らないでと思ってしまうのです。
冨樫義博の作品がひとつでも多く読みたいというファンでありながら、自分が手に入りづらい本なら作らないで、そういう矛盾をかかえているのです。

そして好きな作品が、作品の面白さ云々ではなく、休載問題や本人の姿勢から評価されるのは残念でなりません。

このころの少年ジャンプからは物語を生み出すものにしかわからない苦しみというのが、当時発売されていたジャンプからひしひしと伝わってきていたので、正直この本は多少手を入れているものの心の余裕をもって楽しんで書きましたという雰囲気は見えません。一番大切な本を発行するという目的を達成するためになんとか間に合わせたというのが見えてしかたがありませんでした。