ライブスチームの運転


11.スチームアップと火床作り  (H27.11.12掲載)

 ライブスチームを走らせる時、はじめに機関車の各部を点検し、マシンオイル、スチームオイルをさし、 ボイラーに注水した後、火をいれることとなります。火入れからスチームアップし、安全弁が吹き、スタートするまでの間、 静態から動態に変わります。この過程は、慣れて上手になると大変楽しく、ワクワクします。
 しかし、ライブスチームをはじめた時、まず最初につまずくのがこの過程だと思います。石炭は着火性が悪く、 マッチやライターでは火はつきません。今は便利な着火剤が売られていますが、30数年前、 古くなって使わなくなった金網を母から貰いうけ、その上に消し炭を置き、ガスコンロに載せて火をつけ、十分燃えてきたら、 金網ごと機関車まで運ぶ。そして、焚口から入れようと・・・。しかし、消し炭が大きくて焚口から入らない!!。 小さくして、もう一度やり直し。また、ガスコンロ上では、よく燃えていた、いや、そう見えたのですが、外に持ち出すと、 日光で燃え具合いが見えにくい。焚口から投入し、電動ブロワーを回し、燃料店で購入した、「家庭用石炭」を入れる。 (今は石炭を販売している燃料店はまず無いと思いますが当時は販売していました)

 5分、10分、15分経過、その間、石炭投炭。ようやく圧力が上がってくる。でも、 水面計を見ると真ん中まで注水していたものが、今は下降し、まもなく水面計から見えなくなりそうで。 空焚きになってはまずいと、ハンドポンプで給水する。すると、せっかく上がった蒸気圧が下がってしまう。そこで、 再度、スチームアップ。そして、ようやく蒸気圧が上がった。しかし、またしても、ボイラーの水位が低下している。 こんなことの繰り返しで、30分、1時間経っても発車できない。最後には乗車運転を諦めて、圧力が上がったところで、 機関車単体の状態で加減弁を開き、僅か数メートル走らせたところで、圧力が0Kg/cmに落ちてしまい。そして運転終了。 このあと、後片付けをすることになるが、こんなことではちっとも楽しくない!!。

 そして、今は、

 着火剤(オガ屑を固めたもの)を数片用意し、1片に着火し、火室内へ入れ、電動ブロワーのスイッチをオンし、 更に残りの数片全部を入れ、続いて、太平洋炭の大きめ(焚口に入るぎりぎりの大きさ)を続々と入れ、 火室内の7〜8割ぐらいまで投入し、焚口戸を閉める。煙突から煙が出てくる。太平洋炭は燃えつきるのがはやいので、 次々と投入する。常に火室内の7〜8割ぐらいの状態まで投炭する。投炭量が少ないとスチームアップはうまくいきませんので。

着火剤
便利な着火剤

 圧力計の針はなかなか動きません。壊れているのではないかと指ではじいても動きません。そして、やっと動きはじめる。 一旦動きはじめると徐々に上がっていきます。OSコッペルの場合、 3Kg/cmを超えたら電動ブロワーから自車の蒸気ブロワーに切り替えます。この間も太平洋炭をくべます。

 そして、安全弁が吹きます。(OSコッペルでは約5Kg/cm。所要時間は火を入れてから15分程度) 私は安全弁が吹いたら、太平洋炭からウェールズ炭に切り替えます。 そして、ウェールズ炭をしっかり投炭します。火床が真っ黒になるほどに。
 そして、すぐに発車します。この ”すぐに” がポイントだと思っています。
 その理由は、

  蒸気圧が安全弁が吹くほど上がっている良い状態のうちに、着火性の悪いウェールズ炭を多く投入し、 しっかりとした火床作りを開始すると共に、ボイラーの水が減ってくるので、高圧の状態時に走行開始して 軸動ポンプを作動させ、ボイラーに給水したい。

 のです。
 蒸気には勢いがあるときや、停滞しているときがあるように感じます。それを見極め、 的確に対処できるようになりたいと思っています。 スチームアップし安全弁が吹いたときはまさに蒸気が勢いづいている時です。 蒸機を馬にたとえて「くろがねの馬」ということもありますが、競馬のまさに出走する直前の馬のようにも思えます。 でも、その時間は長くは続きません。このままでは、やがて、石炭が燃え尽き、勢いはしぼんでいってしまいます。 そうならないうちにしっかりとウェールズ炭をくべ、発車するのです。
 発車直後はまだ火床はできあがっていません。先にくべた太平洋炭が火床の下の方にあり、まもなく燃え尽きていくので、 その前にウェールズ炭をしっかり多めに投入するのがコツだと思います。 この時点では火床は薄いので、たくさんくべるのです。 その後も火床の厚さを注視し、投炭量を加減します。火床は厚くても薄くてもよくありません。薄いと火力が不足し、 厚いと活発に燃焼しないし、煙管を塞ぐことにもなります。

  ”刻々と石炭が燃焼していくなか、いかにして火床の厚さをを適切に維持し続けられるか?”

これがなかなか難しいです。私はこの課題に取り組んでいます。


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