これは、久々にはまった。 話に夢中になったとかいう事ではなく、 アーティスティックな要素が、つぼにはまった。 作品の持つ雰囲気は然り、キャラクター、風景、映像。 でも、なんといっても最高の要素は、音楽。 話に合ってるとかのレベルではない。 音楽がなくては、話にならない。 主人公たちは言葉よりも音で会話する。 「あなたの音楽が理解できない。」といったシャンドライが、 掃除機をかけているのを見て、即興でピアノを弾く。 彼の音楽で始めて、シャンドライが笑顔を見せるシーンだ。 アイロンのスチームの音までもが、主人公の気持ちを代弁する。 この物語の映像で、一役かっているのは 螺旋階段だ。シャンドライが掃除中に落とした 白い布が舞い降り、キンスキーの頭上に落ちる。 かけおりるシャンドライ。 だけど、螺旋階段はまっすぐ降りることはできない。 見えているのにぐるぐると回らなければならないもどかしさ。 まるで、主人公の二人のよう。 ベルの音にふたりはどうするのか。 選ばなくてはならないのだ。 京都朝日シネマにて