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住み続けられるまちづくり まちづくり研究所所長 黒崎 羊二 |
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『住み続けるための新まちづくり手法』 |
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11.仲町愛宕地区のまちづくり 1) 中心市街地整備計画 2) 住民の意向〜基礎調査 3) 総論の確認 4) 建替えを阻害するもの 5) 個別の動機 6) 共同建替え──計画の実現性 |
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12.新まちづくりの思想 1) 「共同化はいや」 2) まちづくりは私的な個別要求から 3) 地区整備の視点 4) 事業化の障害 |
都心部での人口の空洞化は、地域社会のバランスを崩壊させ、住み続けられない事情をいっそう拡大する。都心で新たに住居を求めることが絶望視される一方、古くからある住宅地の人口は減り続けるという矛盾した状況が進行する。この人口減少は後継者である若年層の流出によるもので、より急速な高齢化をもたらしている。 表通りの商店街は廃業した店もあって活気がなく、人通りも少ない。裏通りの住宅地は建て詰まり、老朽住宅が軒を重ねている。区画道路の幅員は4mに満たず、路地の奥には接道不良の宅地が多い。木造アパートが集中する街区では老朽化と空室が目立つ。なかでも子どもたちの遊ぶ姿が見られないことは小学校の統廃合問題を裏付け、まちの衰えを象徴するものとなっている。 戦災あるいは震災も免れた地域では、長期にわたる借地・借家が多く、それが住宅の老朽化と人口の高齢化を助長する。地価の高騰が地代・家賃や契約更新をめぐる調整をますます困難にし、その争いや負担が住宅の更新を阻む。成長した子どもたちは居住スペースを確保できないので親離れを早める。残された高齢者だけではローンの返済は難しく、住宅事情の改善はさらに遠いものとなる。 区画道路が整備され、緑とゆとりのある環境を誇っていた住宅街では、相続の発生とともに敷地の分割を余儀なくされる。敷地分割は後継者の住居を奪い、高齢化が進行する。 高度成長期に都市化した市街地でも老朽化と高齢化が進行する。これらの住宅地はミニ開発が連担して形成され、共通した欠陥をもっている。行き止まり道路が多く、狭小宅地や接道不良宅地が是正されないままにまちの衰退化がはじまった。 |
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上述のように人口の減少と高齢化が進行する地域では、住宅の老朽化と低下した住環境が相互に影響して悪循環をおこし、状況の改善 |
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まちづくりは、そこに住む人々の都市生活を安全で快適なものとすることを本来の目的としている。しかし都市計画事業やまちづくりの現状は、住民の不安をかきたてる形となるものが多い。計画や事業がまちを改変し、人々の生活やコミュニティに大きな変動をもたらすにもかかわらず、それについての配慮が欠けている。そこに住む人々の生活実態を反映しない計画や手垢のついたコンセプトの羅列では住民の賛同は得られない。規定の計画に合意を求めることであったり、制度や補償の仕組みの説明だけでは、住民の納得が得られるものではない。 生活者の視点から見るならば、事業による補償の金額が問題ではなく、生活・住居の再建や環境の改善・保全が問われるのである。住民の関心事は従来の住宅事情の保全・改善であり、事業によって変動する住宅の再建が具体的に補償されることである。従前の権利を金額に換えて補償することはあくまでも手続きの問題であり、補償の公平性を確保する手段でしかない。 生活者にとって住居や宅地は生活の基盤であって、売買によってその向上・改善を図ることはできず、その余裕もない。この視点に確信が持てず、住宅・宅地を商品としか考えられないところには、住民が同意するまちづくりの可能性はない。 土地取得や住宅更新が困難な時代に、個人の才覚と補償費だけでは住宅事情の改善は望めない。したがって計画や事業の枠組みを前提とするのではなく、住宅事情の改善をはじめとする個別の問題と身近な環境問題の解決が先決の課題となる。個別問題を積みあげた結果が住民が求めるまちづくりであり、まちづくり本来の目的と整合するのである。 |
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ヒトは人と人とのふれあいのなかで人として生きていく。地域社会・コミュニティは人として生存し続けるための絶対条件である。都市・まちは地域社会のまとまりとして存在する。したがって「住民主体のまち」とは本来のまちのあるべき姿であり、運動の形態とか運動の目標といった類のものではない。住民を主体としない「まち」はまちとは言えない。 まちの主体が住民であるならば、まちを構成する物的な基本要素は主体者の生活の基盤となる住宅である。つまり、まちづくりの基本は住宅づくりということになる。ところがこれがしばしば忘れられ、軽視される。まちづくり問題は、道路や公園の整備問題であったり、環境問題や大規模再開発問題となる。それぞれが誤りというのではないが、いづれの場合も住宅づくり、とくに既存住宅の改善を基本的なものとして位置づけ、その関連のもとに道路・大規模開発問題等をとらえる視点が弱いのである。 住宅の取得・維持改善を私的な問題と考え、個人の甲斐性の問題にするこだわりが、まちづくりからまちの基本的な構成要素を除外することになる。「参加型まちづくり」「まちづくりの住民運動」が限られた範囲にとどまり、大きく発展しないのはこのためである。 生活者のすべてが快適で安心して生活できる住宅を求めている。そこに公共の福祉、まちづくりや環境問題などに関わる原点がある。身近な足もとの要求を汲みあげることによってまちづくりをすべての人々の問題とし、まちをよりよく変換する展望が生まれる。 |
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ある地域の大規模再開発問題からはじまった住民によるまちづくり協議会が、再開発事業者との工事協定やまちづくり憲章の策定など多くの成果をあげた。しかし、総論の合意形成から各論の論議に移ったところで住民間の意見の食い違いが目立つようになり、協議会の活動は中断してしまった。 |
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住み続けることを願う人々にとって基本的なことは、安心して暮らせる住居を保全し改善することである。しかし住宅事情の深刻さからその問題解決をあきらめるような事態が進行している。また住宅事情の改善は個人の甲斐性とする偏見も根強い。「住居は人権」の意義は抽象化され、その声はまだ弱い。 |
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まちづくりの目的に関して最も重要なことは、「安心して住み続ける」という住人の要求を基本に据えることである。これをさらに具体化すると、「住居水準の向上」「住環境・商業環境の改善」等となり、いずれも行政の重要施策にかかわっていることがわかる。 |
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まちづくりのルールは都市計画法と建築基準法の二つの法律を骨組とするが、全国一律の規定であるため地域の実体に合わないという問題がある。これを補うものとして自治体が定める宅地開発指導要項や各種の条令があり、乱開発や建築公害等の防止を目的としている。また、地区特性にあわせて地区別のルールを定めることができる地区計画制度等の規定もある。 |
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まちづくりの仕組みには住民の自主的主体的な組織、行政の推進体制および民間事業を支援する第三セクター等が考えられる。これらはルールや制度を有効に活かし、まちづくりの事業に結びつけるために欠かせないものであるが、その重要性が十分に理解されているとはいえない。 |
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まちづくりの事業は安心して住み続けるための方策である。したがって住民の基本的な要求に基づくまちづくり計画が事業の前提となり、次のような計画優先の指針を基本として事業化を図ることになる。 (1) 住民の合意に基づいた計画をまちづくりの目標とする。 (2) 計画を先行させ、計画を実現する各種の事業手法をあてはめる。 (3) 事業制度の限界を理由にして計画(地域住民の利益)を切り捨てない。 しかし、まちづくりの事業のなかで地域住民の不安や不満を引き起こす事例が数多く見受けられる。それは計画が事業制度に従属して規定され、住民の意向が事業の枠組みの範囲外では切り捨てられるところに発生する。つまり、事業制度を優先する逆立ち現象がおこっているのである。この現象は次のような特徴をもっている。 これらはトップダウン「手法」の特性と言えるもので、改善型まちづくりを阻む最大の障害となっている。しかし、これを克服するためには特段の努力や能力を必要としない。地域の課題を住民の生活実態から注意深く引き出すことが第1の関門で、これに応答する施策について行政内部の合意が得られるならば、その後の展開は一般の事業手法に比べてさほど大きな変化はない。 |
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改善型まちづくりの理念とプロセスについて一般的な問題点を述べてきた。これは主に上尾市仲町愛宕地区での経験からまとめたものであるが、改めてこの事例のプロセスを振り返り、まちづくりを促進するポイントについて概括する。 1)
中心市街地整備計画 2)
住民の意向〜基礎調査 3)
総論の確認 4)
建替えを阻害するもの 5)
個別の動機 6)
共同建替え──計画の実現性 |
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1)
「共同化はいや」 2)
まちづくりは私的な個別要求から 3)
地区整備の視点 4)
事業化の障害 |
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