ホームフェルメールの研究フェルメール作品の将来贋作が制作される可能性?

贋作が制作される可能性?

 フェルメールの贋作が制作されても、これだけ科学技術が発達されると、その細かい分析を行えば、まず見破ることができるものと思います。また、今まで作製された贋作も、ほとんどは、その技術で、判明できるのではないでしょうか?しかし、同年代に似たような作品が描かれた場合は、どうでしょうか?


 「フェルメール作品」を語る時には、どうしても、ファン・メーヘレンの贋作事件(⇒フェルメールの世界・第7章 ファン・メーヘレン贋作事件・205〜237ページ)のことは、避けて通れませんので、ここで述べておきたいと思います。


 上写真は、フェルメール お勧め本お勧め度No.7の27ページより、下写真は同じくフェルメール お勧め本お勧め度No.1の22・23ページより抜粋したものです。これらの作品をどう思いますか?

@机の前に座り手紙を読む青衣の女 Aヴァージナルを弾く女と紳士のいる風景
アムステルダム国立美術館所蔵 オランダ政府所蔵
Bエオマの家でのキリスト Cキリストと姦淫の女
ボイマンス美術館所蔵 オランダ政府所蔵

 すぐに、フェルメールの贋作であると見抜ける人は、相当鋭い人だと思います。私には、到底わかりません。@などは、良い作品だと思います。私は、これらの贋作を作製したファン・メーヘレン(1889〜1947)は、天賦の才能を持った人物だったと思います。彼が、その才能をフェルメールと同じように、純粋に使うことが出来たなら、素晴らしい絵を、我々に残してくれたと思います。キューレーター 2巻は、ファン・メーヘレンのモデルの人物がナチスに脅されて贋作をしたというような話(実際は金儲けで違う)ですが、結構楽しめました。戦争の時代ですので、難しい問題が沢山あったのでしょう。


 また、ファン・メーヘレンもナチスに加担したと言われるより、贋作者と言われる道を選んで公表したわけです(⇒フェルメールの世界・第7章 ファン・メーヘレン贋作事件・213ページ)。もし、そのことがなかったら、今頃世紀の大発見になっていたかもしれません。


 彼の贋作の凄さは、本人が贋作を描いたと言っているのに、誰も信じてくれなくて、法廷で実際に贋作を描いて、それでやっと皆が納得した、というほどのものでした。上の有名なファン・メーヘンの贋作も、「これは、フェルメールの真作のような気品がない。」とか言うのは簡単ですが、それはテストの答を知って、試験に臨むようなもので、実際は難しいものです。


 やはり、全32作品との細かい比較と、詳細な制作方法での比較と、絵の具の顔料などの比較、などによるしかないのはないでしょうか?ただ、フェルメールの同年代に、フェルメールと同じ描き方をした画家は、いないと思います。


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