上等な
暇つぶし
痛くて痛くない タン瘤の話
※この文章は
小樽・後志エリアタウン情報誌
「月刊ラブおたる」に掲載されています
前回「お持ちしましょうかお化け」の話を書いたら、おもしろいと言ってくれた人2人で、他は品がないと言うような反応ばかり
運河の泡のごとくあちらこちらより吹き出てきた。
ならば今度は春の日差しに似た仄々とした話としたい。
秋晴れのある日、花子ちゃんと太郎くんは鎮守の森で仲良く遊んでいた。ドン栗を拾うのも飽きちゃった太郎くん、花子ちゃんに「テレビでやってるみたいにチューをしよう」と言ったら、花子ちゃん 真っ赤になって怒り、きっと睨んで「母ちゃんにいいつけてやる」と叫ぶといなや太郎くんを突き飛ばし、クルッと後ろを向くと一目散に走りだした。
一方太郎くんは突き飛ばされたはずみに、横の木に思いっきり頭を打ちつけ、目から星が散った。頭にそっと手をやると、そこにはポコンと大きなタン瘤が出来ていた。
さわっていると急に瘤が痛くなり、大きな声で泣きながら家へ帰った。
あれから何年経ったろう。大人になった2人がある日、町の通りでばったり出会った。
太郎は花子がとても美しく見えた。思わず花子の方へ歩み寄った太郎は「花ちゃん、まだチューは終わってないよ」と言ったら
花子は「太郎ちゃんは矢っ張り馬鹿ね」と言ったが、今度は怒らず笑っていた。
太郎はなんとなく嬉しくなり、昔のたんこぶの辺りをなでてみた。もちろん瘤は無かったが、とても楽しい気持ちであった。
痛くて痛くない タン瘤のお話である。