葉芸品の選別

  雪割草の葉芸品というと、変形葉と斑入り葉の2系統に分けることができると思う。もちろん両系統の形質を備える二芸品もあるわけで、それはそれでまた価値のあるものであり、交配により作出してみるのも面白いだろう。

  ここでは、斑入りの実生について2例ほど触れておくことにする。雪割草の斑入りと言ったとき、雪割草を始めて日も浅いと、よく間違えるのが、葉模様との違いである。葉模様とは一般に規則的に入るガラのことで、いわゆる「斑」とは違う。もともと雪割草には葉模様を持つものがあり、それによって産地が特定される場合もある。確か弥彦近辺の雪割草がこうした葉模様を持つようである。「斑」の場合は不規則に入るガラで、砂子斑、散り斑、掃込み斑、本斑などという言い方がある。他に、葉に覆輪の入るものがあり、これは糸覆輪などと呼ばれ、いわゆる「斑入り」とは一線を画するように思う。


葉模様 糸覆輪

  上記写真の左が葉模様であり本来の「斑」ではない。この個体は瀬戸内産の実生株である。右が糸覆輪の葉になるが、昨年の葉(今年の葉に隠れた深覆輪)と今年の葉では覆輪の出方が違う。その年の作によって覆輪の出方が違うという話を聞いたことがあるが作年の葉で固定してくれればよかったのだが、多分、今年の葉で固定してしまうだろう。



  今回の小話の主役は上記2個体である。出は能登と聞いており、その実生株とのこと。我家に来たのは左の親株で、右が我家での実生株になる。親株も当初はもう少し斑が目だっていたように思うが、今は消えかかっている。右は実生3年目の選別株で、5月5日時点の状態状態である。後冴えで綺麗にガラが乗った。



  左が親株であり、千葉産の実生株と聞いている。右が実生1年目のカイワレ葉で、本葉が出てきているが、親に出ていない赤い色素を持つ。親株も若いころは本葉に紅が差していたが、今は消えてしまっている。実生株での紅の固定を望みたいところである。