「100万回生きたねこ」とは....


ここでは、フーミンも大好きな、佐野洋子さん作「100万回生きたねこ」を仮想体験したい。

佐野洋子 
 (ごめんなさい引用)1938年6月28日、北京に生まれる。武蔵野美術大学デザイン学科卒業後、1967年から一年間、ベルリン造形大学でリトグラフを学ぶ。帰国後、デザイン、イラストレーションを手がけながら絵本を描く。『おじさんのかさ』でサンケイ児童出版文化賞推薦、『わたしが妹だったとき』で新美南吉文学賞受賞。他に『わたしのぼうし』『100万回生きたねこ』『だってだってのおばあさん』『おれはねこだぜ』、エッセイ集『私の猫たち許してほしい』『アカシア・からたち・麦畑』『ふつうがえらい』等。絵本作家。

あらすじ(すみませんこれも引用)

 100万回の死と生を繰り返す、とらねこ。このねこが死ぬたび、その時の飼い主は悲しみにくれて泣いたのに、ねこ自身は1度も泣かなかった。なぜなら、ねこは自分が1番好きだったから、死ぬことなど全然平気だったのだ。
 そんなとらねこが、自分以外のねこを愛した。その時はじめて、大切なものへの愛しいと言う気持ち、大切なものを失うという悲しさを知ったのだ。

読む前のごたく(または「私はまだ読んでいない」)

 あらすじを知ってしまって書くのはイケない。でも書こう。100万回も生きている、ってことを知っているということは前世の記憶があるのか....いやいや、でもそれは、ここではどうでもいいことだ。
 さて、このネコさん、100万回め(?)の生を受けて何かを悟り、どうやら再び生きかえることはなかったらしいのだ。再びこの世に生きかえらないということは、宗教上では「人間にとって本当に大切なことは何なのか」を知りつくしたという涅槃寂静の境地を示すようなものである。さて、このネコさんはどんなことを経験し、どんな思いを胸に秘めたのだろうか。あらすじだけを読んでも、私にとって、これは読まねばならぬ、と思わせずにはいられない、第1級のお話である。
(2000.3.12)

[以下に筋が書いてあるので、読みたくない人はここでやめるように]




 今日は2000年3月18日。読んでしまった「100万回生きたねこ」。子供を図書館の幼児コーナーに連れて行き、ちゃっかり読んできたのだ。
 さて、「自分以外のネコ」を愛する前に、100万回の生を過ごすあいだ、この「とらねこ」さん、100万人の飼い主が「きらい」だったのだ。で、自分だけが好きだった、という。どうも100万回生きてきたことで悟っちゃったような感じ。それで、白い可愛いねこを好きになったとき「100万回生きてきた」ことに何度も言及するのだ。でも、白いねこは、そんなことには気を取られない。そして、子ねこがいっぱいできて皆育っていった。子供を立派に育てたことを喜んで、白いねこは死ぬ。その日、死の悲しみの中で、とらねこは100万回泣くのだった。100万という数にひっかけてある。
 とらねこは100万回の生を受けて100万回死ぬのであるが、死ぬたびに飼い主は泣く。その100万回の号泣を1回の生で体験したのだ。そして100万回泣いたあとに、自分も死ぬ。生きかえることなく。

 人間は前世(ぜんせい)を知らない。知らないほうがいいのだ。なぜなら、なまじ知っていると、過去の自分にとらわれて満足に生きていけないのだ。もし、前世が立派な人物だったら、今生(こんじょう)はそれを越えたくてもできなくて嘆き続けるかもしれない。前世に悲しいことがいっぱいあったら、今生は思い出して泣いて暮らすかもしれない。前世極悪人だったら、その経験を活用して、さらに極悪人になるとか....(?)。
 そう、彼女(白いねこ)は、とらねこが(何も得ることなく)100万回生きたことに、価値が無いと言っているのだ。では彼女にとって価値あることは何だったのか。人間だったら、こむずかしいことを書くかもしれないが、この絵本では「ねこ」。「白いねこ」にとって、価値あること(1度の生で、体験しなければならなかったこと)は何だったのか....。それは、もう上に書いた。子供を産み立派に育てることは、人間でも大変に価値があることだ。
 そして、「とらねこ」にとって、価値あること(1度の生で、体験しなければならなかったこと)は何だったのか。それは、愛する心、思い遣りの心を得ることだったのだ。それを体得したとき、生まれ変わることはなくなった(正確には、再び生まれ変わっても、過去の記憶は消えていました、だろう)。

 1度の生をこの世に受けて、あなたは何か価値のあるものを得ることができましたか。子供のみでなく、大人にも読めるというこの絵本の真髄は、こんなにも奥深いものだったのだ。



なお、フーミン出演の「お話ミュージカル 100万回生きたねこ」の編成は下記の通り
  ご案内&お話 :細川ふみえ
  バリトン   :鹿野章人
  フルート   :さかはし矢波
  ピアノ    :野平龍一(作曲者)
  弦楽四重奏  :石田泰尚とブレーメンの音楽隊
  演出     :大島尚志

    ※細川ふみえさんのホームページにある2000.2.27の演奏会記録から
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