シューベルト



「ロザムンデ」序曲

 序奏付、展開部の無いソナタ形式。しかし全然物足りなさを感じさせない。それは、第1、2主題そのものが面白いこともあるが、主題間のつなぎが、豊かに彩られているからだ。個人的には、第2主題の後に続く部分が大好きである。じつに豊かで楽しく、飽きさせない。全体的に快活であり、明るい。ミニ「ザ・グレート」といった雰囲気だ。つまり、これがシューベルト本来の管弦楽なのだろう。「未完成」は第2楽章で終わっていることもあって、じつはシューベルトらしくないのである。
 最後に少し苦言(?)を呈するなら、コーダ中間での少々気の抜けた部分が2箇所あることだ。あれが無かったら、もっとスゴい曲になっていたのになあと思う。


交響曲第9番「ザ・グレート」

 通し番号がよく変わるが、私の世代は「9」番が通りがよい。延々とやってる第1楽章、これまた延々とやってる第2楽章が面白い。第1楽章では、コーダもこれまた延々とやっている。さすがだ。第2楽章の詩情は、さすがシューベルト。第3楽章は形式上陳腐になりやすいが、シューベルトはトリオで朗々と歌ってくれました。第4楽章も長い長いと誰かがわめいたようだが、そんなことはない。歌心十分のシューベルトは決して裏切らない。これに匹敵するには、ドボルザークを待たねばならないのかと思う私です。
 天国的な長さなんて言いますが、あの「第9」よりは短いんですがね。つまり、そこでいうところの長いというのは時間的なものではなく、印象を指しているのだ。