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温暖化の メカニズム
地表による太陽エネルギーの吸収と地球からのエネルギーの放出によって地球の平均気温は、約15℃に保たれています。大気中の成分のうち、二酸化炭素やオゾン・メタン・フロンなどは特に、温室効果ガスと呼ばれています。太陽の熱を地表に通すが、熱が大気圏に放出するのを妨げ、あたかも温室におけるガラスの役割をこのガスが果たしているからです。火星はマイナス50℃の極寒の地、金星は400℃の灼熱地獄となっているのは、この温室効果ガスの濃度の差によります。大気中にもしこのガスが含まれていなかったら、地表の平均温度はマイナス18℃。地球は丁度いい「湯かげん」の星なのです。
ところが今、その「湯かげん」に異変が生じつつあります。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の2001年予測によると、地球の平均地上気温は1990年から2100年までの間に1.4〜5.8.℃上昇します。二酸化炭素は温暖化に最も影響を及ぼす温室効果ガスであり、主に、石油・石炭など化石燃料の燃焼によって生じます。いま、化石燃料の使用量は増加の一途を辿っており、特にBRIKS、中国・インド・ロシア・ブラジルは高い経済成長.に伴って使用量が激増しています。
200年前、産業革命が起きた時の二酸化炭素濃度は推定280ppmでしたが、第3次IPCC報告書によれば、2100年には540〜970ppmにまで達すると予測されています。(この歯止めのために京都議定書は作られましたが、最大の排出国アメリカの離脱により、あまり効果は期待できません)。
地球気温の変化は太陽や大気・海・雪氷・森林・土壌などの絡みによりもたらされますが、そのうちここでは、森林破壊について考えてみましょう。たとえば、シベリアの林地の地上や土中には、落葉や枝が分解されずに(二酸化炭素を含んだまま)残っています。表土が伐採により太陽にさらされ、火災により燃焼がなされると木や落葉・枝は二酸化炭素を放出します。また森林火災により永久凍土が融解すれば、二酸化炭素の44倍の温室効果を持つメタンが大量に放出されます。アマゾンに次いで地球の肺といわれているシベリアの森林は、今では二酸化炭素の排出源にさえなっています。
温暖化の影響
[動植物の絶滅] 前述IPCCの報告書の中で、特に注目すべき点は気温上昇の速さです。17世紀から19世紀は小氷河期と呼ばれ、わが国では天明・天保の大飢饉が、ヨーロッパでも凶作が続きました。そのときの平均気温は僅か1℃低かっただけでした。
宇宙時間はゆっくり流れます。15万年前の気温変動も2万年かけて5℃上昇しているに過ぎません。短期間で1.4〜5.8℃度という急激な気温変化は、過去の地球上では1度も起こりませんでした。温暖化が生態系に及ぼす影響は計り知れません。
「地球の温暖化が進むと、約50年後には動植物の18〜35%の種が絶滅する恐れがある」という予測を、英国や豪州など14の研究機関が共同で発表しました。欧州や豪州・アフリカ・中南米の約1千種の生物を対象に、生息域の変化などから各生物の絶滅の可能性を試算しています。それによると1.8~2 ℃の中程度の 上昇の場合、寒冷な高緯度や高地などに移動できたとしても約二割の種が滅びる恐れがあり、移動できない場合は3割が絶滅の危機に直面すると予測しています。(種の絶滅については第3章「生物の多様性」を参照してください)。
[健康被害] 清少納言『枕草子』は、「ねぶたしと思ひて臥したるに、蚊の細声に名乗りて、顔のもとに飛び歩く。羽風さえ身の程にあるこそ、いと憎くけれ。」と記しています。その蚊が、ハマダラカだったら大変です。ハマダラカはマラリアを媒介するからです。瘧(おこり)はマラリアを表すことば、過去の日本にも風土病としてマラリアは存在しました。一説には、平清盛の死因はマラリアです。
地球の平均気温が3度上昇すると、現在マラリアが発生していない温帯地域で10倍以上の発生を見ると予想されています。サブサハラでは毎年、約60万人の子どもが脳マラリアを発病していて、患者5人に1人は死亡しています。運良く生き残っても、学習障害や運動障害・言語障害・聴覚障害・麻痺・てんかん・脳性麻痺などさまざまの神経障害が残ります。気温上昇はまた、他の感染症のデング熱や黄熱病・ウイルス性肝炎などの媒介性伝染病をもたらします。
東京湾の底に眠っている古代のコレラ菌が、温暖化により目を覚まして、悪さをするという恐怖のシナリオが「ビートたけしのこんなはずでは」で、放映されました。現に、九大での実験では東京湾の海水からその菌は発見され、増殖も確かめられました。番組は単なるコケオドシではありません。エイズや西ナイル熱など自然の逆襲を甘く見てはいけません。
海面上昇
大気の温度が上昇すれば、やや遅れて海水の温度も上昇しますが、それは海水の膨張を引き起こして海面を上昇させます。03年10月1日、米航空宇宙局(NASA)は巨大な氷山が南極のロス棚氷から分離し、ロス海に流れ出す様子をとらえた衛星写真を発表しました。氷山は大分県並みの広さでした。このように、極地の氷が溶けて海に流れ込んでも、海面は上昇します
気象庁によると、日本近海の水深1700メートルの平均水温は、北太平洋中部海域での海上風の長期化や地球温暖化などの影響で、1985年以降は上昇傾向が続いているという。毎年夏から秋にかけて日本沿岸では潮位が高くなっており、たとえば、03年10月には世界遺産に登録されている広島県宮島の厳島神社の回廊も冠水し、参拝が一時中止されました。
海面上昇はまた、海岸・低地の水没、海岸浸食の激化、河川と地下水への海水の浸入、潮汐の変化などの悪影響を惹き起こし、自然海岸や沿岸域の生態系をかく乱して、水資源の喪失などさまざまな影響をもたらします。
海洋の温度が上昇すれば、海洋中に融解している大量(大気圏の50倍)の二酸化炭素が放出され、それが気温の上昇、海水温の上昇を呼ぶという悪循環に陥ります。
2本の前足=手の災い
地球温暖化問題は、あらゆる環境問題の根本であり、象徴でもあります。そこで、復習を兼ねて地球温暖化問題の要点を示しておきます。
★ なぜ地球は暖まるか:人間は2本の前足を「手」と呼び、火を使うことを覚えました。「神が造りたもうた最大の魔物は人間だ」といわれているように、知性の制御から放たれた人間の欲望には限界がありません。この欲望が温暖化をもたらしています。
★ 何によって温まるか: 温室効果ガス、特に化石燃料の燃焼による二酸化炭素濃度の増加。
★ 影響は: @陸地では、自然環境の激変による洪水や旱魃の発生、食糧不足など。A大気では、大気圏の温度構造の変化による光化学スモックなどの発生。B海では、領土の喪失、高波や津波の被害など。C動植物は、気温の激変に伴う絶滅・劣化など。
以上、地球温暖化は「森林破壊」「砂漠化」などと相互作用し、ますます増幅し、複雑化して、地球環境を悪化させます。
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