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喫煙と疾患
「人間は死ぬのではなく、自殺するのだ」と、古代ローマの鉄人セネカは言っていますが、「緩慢なる自殺」を促し、あるいは「緩慢なる他殺」を引き起こす行為の背後には、「喫煙」が深く関わっています。
企業戦争の最中、タバコ会社はあらゆる手段を用いて売り上げ増を図ります。たとえば、アメリカ・ウィンストンの宣伝マンだったデービット・ゴーリッツは次のように告白しました。「たばこ会社の幹部と話した時、そのうちの一人が『あんなものは吸わない』といったのでその理由を尋ねると、彼は『われわれは売るだけだ。若者や貧しい人、ブラック、そして馬鹿な奴に買わせるのだ』と答えました」(伊佐山芳郎著『現代たばこ戦争』)。
この話の中には、人種差別・人間差別が顕わに、弱肉強食の魔性が赤裸々に露見されています。これがタバコ会社の実態であり、そこには化け損ねたタヌキの尻尾、「命よりマネー」の正体が如実に表れています。
[喫煙者] 喫煙により発症すると考えられる疾患を喫煙関連疾患と呼びます。喫煙関連疾患の主なものは9つに分けられ、そのうちたとえばがんは、さらに口腔がん・喉頭がん・咽頭がん・肺がん・食道がんなどに分類されます。
タバコの煙には、200種類以上の有害物質が含まれていますが、そのうちの代表的な3つを取り上げておきます。
1、「ニコチン」は血管を収縮させて、血液の流れを悪くするために動脈硬化を促進します。その結果、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患にかかりやすくなります。
2、「タール」には発がん性物質の代表として有名なベンツピレンを筆頭に、数十種類近くの発がん物質が含まれています。
3、「一酸化炭素」は赤血球中のへモグロビンと結びついて、酸素を身体のすみずみに運搬するという血液の大切な働きを妨害し、慢性的に脳細胞や全身の細胞に酸素欠乏状態をもたらします。さらに、ニコチンの血管収縮作用と重なって、心臓を養っている冠状動脈や脳血管の動脈硬化を促進します。
したがって、たばこを吸うと肺がんや喉頭がん・心筋梗塞・狭心症などに罹りやすくなります。非喫煙者と比較した喫煙者の死亡率(非喫煙者を1として)を多い順に並べると、喉頭がん32.5倍、肺がん4.5倍、口腔・咽頭がん3.0倍、食道がん2.2倍であり、毎日の喫煙本数が50本を超える人の肺がん確率は実に15倍です。
また、タバコを1本吸うごとに寿命が5分30秒短縮されているといわれています。1日20本吸う人なら、1日で2時間弱、1年間で約1か月分も寿命が短縮されることになります。
[ 間接喫煙] 非喫煙者が他人のタバコの煙を吸ってしまうことを、受動喫煙(間接喫煙)といいます。タバコの煙には喫煙者が吸い込む主流煙とタバコの点火部分から立ち上がる副流煙があり、副流煙は主流煙に比べタール・ニコチン・一酸化炭素などの有害物質が数倍多く含まれている。そのため、喫煙者の妻の肺ガン死亡率や3歳児のぜん息様気管支炎率は、タバコを吸わない場合に比べて約2倍も高くなっています。
喫煙が「緩慢なる他殺」といわれるゆえんです。
世界の潮流
[アメリカ] 米政府は米タバコメーカー各社を相手に、年間推定200億ドル(約2兆800億円)の賠償を求める訴訟を起こしました。肺がんなど喫煙による病気に絡んで米政府が負担しているあらゆる支出を算定基礎にしています。この訴えについて司法省は「タバコの中毒や有害性をあえて隠して生産販売を続け、組織的に違法な収益を得た」と主張しました。このほかタバコメーカーは各州からも訴えられ、相次いで訴訟に敗れています。
この流れを受けて、米タバコメーカー最大手フィリップ・モリスはこれまでの主張を全面的に撤回し、「タバコは有害。肺がんや心臓病を起こす」と認めるキャンペーンをテレビやインターネットで始めました。同社のサイトには「安全なタバコなど存在しない」「喫煙が肺がんや心臓病、肺気腫など重い病気を引き起こすことについて、医学会、科学界に動かしがたい合意がある」「タバコには中毒性があり禁煙は容易ではない」などが書き込まれています。
[世界] 世界各国のタバコ規制・対策の現状を見て行きます。
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フランス: タバコの警告文1、喫煙はがんの原因です。2、喫煙は心臓病・循環器病の原因です。3、妊婦さん:喫煙はあなたの子供の健康を損ないます。4、喫煙はあなたの周りの人を傷つけます。5、良好な健康のため、喫煙はやめましょう。
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アメリカ: タバコの警告文1、喫煙は肺がん・心臓病・肺気腫の原因であり、妊娠合併症の可能性があります。2、今禁煙すれば、あなたの健康への重大なリスクが大幅に低減します。3、妊婦の喫煙は、胎児障害・未熟児出産・低体重の原因となります。4、紙巻タバコの煙は一酸化炭素を含みます。
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EU: 2003年9月から、箱の正面に「喫煙は人を殺す」か「喫煙はあなたと周囲の他人に深刻な害を及ぼす」を表示しています。裏面には「喫煙者は早死する」など14四種類から選んだ文言を記載させています。
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WHO: 2003年5月、WHO(世界保健機構)総会で「タバコ規制枠組み条約」が採決されました。なお、医師経験のあるブルントランWHO事務局長は就任演説で「私は本日、はっきりとタバコは人ごろしであると言明する―」。と固い決意を述べました。
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日本: ずっとタバコ後進国の汚名を着せられていた日本も、その条約を受けて2005年7月から「喫煙は肺ガンの原因になります」など8種類の文言を指定し、一定期間ごとに2種類ずつ順番に表示させることにしています。
亡国の兆し
伊佐山芳郎によると今、JTの株式の70%以上を財務大臣が所有し、財務官僚のおいしい天下り先になっています。日本は世界で唯一、タバコを減らすことに反対してきました。なぜでしょうか。勉強秀才、財務官僚の反対理由を推測すると、@自己責任原則 A財政収入の確保だと思われます。果たしてこの錦の御旗に吹く風は順風か、逆風かを検討して行きます。
@「自己責任原則」について。世界の国々やWHOの対応にも現れているように、国民の命を守ることがより優先されています。にもかかわらず、いつまでも「自己責任原則」に固執するのは甚だしい時代錯誤であり、かつ真理に背を向けています。また、「自己責任原則」を主張するのであれば、少年にも自己責任を十分に果たせる理性が備わっているとの前提が必要ですが、その根拠に正当性はありません。勉強秀才たちは二重に錯誤を犯しています。
A 財政収入の確保について。財政収入が確保できるのであれば、国民や発展途上国(輸出しているから)の若者を死に追いやっても構わない。という考えは「狭量」の範疇を超えて、「異常」であり、「命よりマネー」というカルト教団の熱心な信者の態様です。それでも、もし財政収入がプラスになるのであれば、愛国心の過剰から生じた勇み足かも知れず、その心意気は、理解できます。ところが、「タバコ問題首都圏協議会」によれば、喫煙によるタバコ損失は年間7兆4000億円で、タバコ税収2兆2千億円をはるかに超えていますから、論理が成立しません。ならば、天下り先の確保が目的?ではと、背筋に冷たいものが走ります。
さて、1999年のタバコ増税騒動の際、与・野党を問わず「国民の命」についての論議はまったくなく、経済に及ぼす影響などのソロバン勘定にのみに終始しました。また、2003年10月21日、東京地方裁判所は「タバコの製造販売は違法ではない」との判決を下しました。まるで政府のちょうちん持ち、時代錯誤もはなはだしい判決でした。「喫煙は本人の意思や努力で禁煙できるのだから、結果は自らが負うべきだ」との考えです。だが、この考えを広げていくと、麻薬の害などもみな「自己責任原則」に矮小化されてしまいます。すでに見てきたように、あの「自己責任原則」の本場アメリカでさえも、命を(当たり前ですが)上位概念に置いています。判決はそのような世界の流れにも逆らっています。
上に見たように司法も行政も立法も、つまりわが国そのものが丸ごとマネー生態系の渦の中に、巻き込まれてしまっているのです。そして、いつの間にか、「命」さえも「マネー」の下位概念に位置づけされていたのですね。正常な状態にあれば、「命」は百倍も千倍も「マネー」に勝ると誰でも考えるはずです。というより、「命」と「マネー」を同じ土俵に上げること自体に、論理矛盾があることに気がつくはずでした。しかし―
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