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シナリオ
地球の平均気温は15度で、大気に占める酸素の割合は常に21%。ならば、地球を自立的に維持する機能―宇宙の真理―を、地球自身が持っているのではないか。と考えて、【地球は一つの大きな生命体】であるという「ガイア仮説」を、イギリス生まれの生物学者ジェームス・ラブロックは打ち建てました。ガイアは、ギリシャ神話の地の神です。
その巨大な生命体ガイア(地球自身)は、自身が生き延びる都合でこれまでに、多種多様な生物を創り出し、組み合わせ、あるいは滅ぼしてきました。もうそろそろ己の意思に逆らう邪悪な存在にすぎない人類を見限り、従順な生物との組み換えを検討し始めているかもしれませんね。
XX99年、国連による懸命の努力が実を結び、やっと世界の首脳のほぼ半数が出席して最後(結果的に)のサミットが開かれました。時は流れ、それから××年後、全地球は大量虐殺・大量死など未曾有の大波乱の中にありました。生態学者が警告したとおり、資源をめぐる戦争と壊滅的な環境破壊に遭遇したためです。
最後のサミットの後も、国益を楯に先進諸国、特にアメリカは環境保全を怠り、発展途上国への援助などの国際合意を破った上に、大量消費の生活慣習をさらに促進しました。その間、主に発展途上国で貧困化が進み、それが人口爆発を呼び、世界人口は110億を超えました。その相互作用により、森林破壊や砂漠化・農地の劣化・水不足・土壌汚染・大気汚染などが進んだのでした。
一方、温暖化は温暖化を呼び熱波や季節外れの台風・洪水が地球のいたるところで頻発します。また、海面上昇は3メートルにも達しました。ある出来事が起こったとき、その起こった出来事が次に起こる出来事に大きな影響を及ぼすことをフィードバックといいます。馬券に当たり、その勢いで買ったジャンボ宝くじが特等に当たるという好循環も、悪いことが悪いことを呼ぶ悪循環も同じ方向への働きであれば、それはポジティブ・フィードバックです。(逆に、反対方向への働きがネガティブ・フィードバック。馬券に当たったのが仇となって、人生が狂う場合がその例です)。
この悪循環のポジティブ・フィードバックの働きにより、温暖化はさらに促進されます。アメリカやカナダ・オーストラリア・中国などの穀倉地域で砂漠化が進み、人口爆発にもかかわらず、世界の食糧供給量はむしろ減少し、水不足も限界を迎えます。
自動車や工場等から排出される酸性雨やダイオキシン・環境ホルモンなどの毒性ガスは、地球をすっぽり覆い、みんなガスマスクを着用しています。
飢えた数億の人びとは食を求め、水を求め、緑を求めて国境を越えだします。大陸のどの都市にも数億の難民が蝟集し、略奪・殺人・暴力がはびこり、餓死者は数を知れず、伝染病が蔓延します。島国日本も例外ではありません。来る日も、来る日もやってくる難民を収容する施設も食糧もなく、日本中が無法地帯と化したのです。
この段階に至っては、もう環境保全などの努力は無意味。人びとは働かず、規律は糸のように乱れ、人類史上未曾有の地獄図がそこに繰り広げられ、文明は終末を迎えたのです。
適正地球人口10〜20億
昔、天が落ちたらどうしようと、寝ることもできず、食事も喉を通らないほど心配した人がいました。「シナリオ」は、その種のナンセンス物語でした。しかし、全く根拠のない架空の物語ではありません。専門家の考えを見ていきます。
●西澤潤一(元東北大総長、現岩手県立大学長)の説を中心にして、この項をまとめていきます。温暖化の主要因は、二酸化炭素濃度の増加です。
@化石燃料を燃やすと、閉じ込められていた二酸化炭素が大気中に排出され、悪循環の作用により、温暖化と二酸化炭素濃度がともに増加します。
A温暖化があれば、北へ移動して種の保存を森林ははかりますが、温暖化のスピードが速い場合、適応できない樹種は消滅します。また、焼畑や伐採・過放牧・砂漠化などによっても樹木は消滅します。大気中に酸素を供給し、大気中の二酸化炭素を吸収するので樹木は、二酸化炭素の缶詰といわれています。その樹木が消滅すれば、固定されていた二酸化炭素が大気中に放出され、同時に二酸化酸素の吸収が止まるため、温暖化はさらに促進されます。
B凍土(ツンドラ)地帯で森林破壊が進めば、凍土が溶け、そこに閉じ込められていたメタンガスが大気中に放出されます。メタンガスは二酸化炭素の実に44倍もの誘引力をもつ温暖化物質であり、その大量放出により地球温暖化はさらに加速されます。
C陸上の温暖化に伴い、やや遅れて海水温度も上昇します。海水温度の上昇が進めば、海中の二酸化炭素が泡状になって、一気に大気中に吐き出されます。最も危険なのは、その際メタンハイドレードが海水温度の変化に反応してガス化することです。これが恐れられている「悪魔のサイクル」であり、この事態にいたれば、大気中の二酸化炭素濃度は3パーセントを超え、人間は窒息死します。西澤潤一によると、その時点はわずか80年後です。
●松井孝典(東京大教授、専攻は惑星物理学)の定義によれば、ストック依存型人間圏(工業)とは人間圏の境界条件を人間の欲望に応じて変えることのできる人間圏です。したがって、人間圏が急速に拡大して行けば、地球システムのバランスは崩れます(このバランスの崩れを致命的なものにしないための対策が環境対策)。この20世紀型人間中心主義の文明が存続し続けることはありえず、人口増加・資源の枯渇・地球環境破壊などの相互作用により、この文明は100年もしたら崩壊するであろう。と彼は考えています。
●ポール・エーリック(米国の生態学者)は、人間が環境に及ぼす影響の大きさをつぎの方程式で表しました。環境に及ぼす影響の大きさ(I)=人間数(P)×平均的な人間が消費する資源の量で、豊かさ指数(F)×科学技術(T)です。エーリックはインタビューに答えて、おおむね次のように語りました。「今のアメリカ並みの食生活を全世界の人が続け、それに加えて生活の質を考えれば、10億人から20億人が地球にとって最適規模だ。今や地球はすでに満員状態だ」。
●ケネス・スメイル (人類学者)は、長期的に持続可能な地球の人口扶養力は、20〜30億人と考えています。そして、アインシュタインの提言「人類が存続するためには、新しい考えが求められる」を引用して、人口爆発は核爆発ほど瞬間的でも鮮烈でもないが、その最終結果は[核の冬]現象に勝るとも劣らない現実性と潜在的破壊力を持ちうる。と述べています。[核の冬]とは核戦争に突入した場合、粉塵が太陽光をさえぎり、全球凍結に至る状態を指します。
この4人のほか柳沢幸雄・及川敬貴など同憂の士は少なくありません。やがて、人類は数百年にわたる地獄の苦しみと未曾有の大混乱に遭遇したのち、フロー依存型文明(農業循環型)に辿りつくでしょう。この時点に至ってやっと人類は、アインシュタイン提言「新しい考え」を取り入れると思われます。そのときの人口は10〜20億、新文明の誕生です。
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