エタノールブームについて
福の神?
『生活の質を変える』、これがこのサイトの究極の提言です。
しかしこの考えは短絡かつ唐突に過ぎるので、反発さえ感じている仲間(読者をこう呼びます)もおられると思われます。そこで約8万の仲間ならびに新しい仲間に向けて以下に誤解を解いていきます。
ガソリンに代わる燃料としてトウモロコシからエタノールは作られます。エタノールは再生産が可能でかつ温暖化を引き起こさないため、優れた燃料です。この点に着目し、期待をこめて騒いでいるのがエタノールブームです。
「大型車のガソリンタンクをエタノールで満タンに するには、人間1人が1年に食べる穀物が必要だ。すべての穀物をエタノールに代えても米国の自動車の燃料需要の16%程度しかカバーできない」と、ワールドウオッチ研究所の創設者レスター・ブラウン氏は語っています。つまり温暖化は緩和するものの、エタノールはガソリンなどに取って代わる燃料にはなりえないということです。
肉、牛乳、卵、ヨーグルト---などの食品はトウモロコシを飼料にした動物から作られます。もちろん、トウモロコシを直接食べている人々もたくさんいますし、トウモロコシを原料とした食品もたくさんあります。
トウモロコシが燃料に回ると、需要供給の法則が働き相場は確実に高騰します。やがて小麦や米のような穀物も上がり、世界的な穀物相場の高騰を招きます。
いま20億人の極貧層が地球にはいます。穀物価格の高騰はこの人たちの生活を直撃します。餓死者も確実に増えるでしょう。〔水の世紀---〕で述べたように1トンの穀物を作るには1千トンの水が必要です。豊かな国は穀物(水をつかって作られる)をどんどん買うが、貧しい国は買えなくなります。さらに、穀物を通じて水の奪い合いになる可能性も高いといえます。
このように石油不安の解消と温暖化の緩和を狙った米国のエタノール政策は、世界的な食料不足と水の奪い合いの問題をより顕在化させます。
生活の質を換える
地球は氷期と間氷期を繰り返しています。氷河期の寒い時期を氷期、暖かい時期を間氷期ということばを使います。このように地球の温度は寒暖を繰り返しています(これは温暖化は脅威ではないという人々のよりどころであり、アメリカのブッシュ政権も以前はこの説に立っていた)。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)報告書よれば人間活動の温暖化への関与の程度は、自然要因より10倍程度の影響を与えており、地球温暖化への人為的影響は「かなり高い」ということです。つまり、人間の大量消費が温暖化の最大の原因であるのは明らかです。
環境悪化・餓死・各種格差などを緩和するために、このサイトは作られいろいろ論じてきました。少数が富み99%が貧困にあえぐ社会は闇です。一方に飽食・肥満があり、片方に餓死者がいる社会は、いずれ神の怒り(自然淘汰)が下されるのではないでしょうか。
したがって、ある政策は全人類が幸福になれるかどうかという俯瞰の思想に立って決定されるべきだと考えます。なるほどエタノールを燃料として使う手段は、ある限られた範囲内ではすばらしい効果をもたらします。しかし穀物価格が上がるばかりでなく、生活困窮者は飢えにさらされ餓死者もさらに増えると予想されます。
しかもすでに見てきたとおり、燃料の節約効果は世界的に見れば、たかだか10%未満と考えられます。しかも世界の自動車生産と燃料消費量は増え続けていますから、たぶん数年でエタノール効果が台無しになるでしょう。バランスシートが合わないのです。
「この立場からいえば欲望の抑制こそが環境問題の本質である。人間圏が拡大できない以上、我々は今まで同様欲望を開放して生きられない」と東京大学(地球惑星物理学)松井孝典教授は、新聞で論じています。2000年以上前、老子は「欲望を少なくし、足るを知りなさい」と述べましたが、人間圏という思想を根拠にして教授はいよいよこの老子の絶対真理を再確認し、足るを知り、分を知るべきだと著書でも提言しています。
ところで、環境破壊を免れ人類を救う、絶対、唯一の手段があります。答えは簡単、地球を汚さないことです。資本主義経済は〔借金大国---〕などに書いたように大量生産・大量消費を善とする制度ですが、この枠組みを代える必要があるのです。
泥棒を3日やったらやめられなくなるといわれます。大量消費のわなから抜け出るのは、つまり生活の質を変えるのは容易ではありません(変えるのは不可能という前提に立って、人類は滅びると説く考えは正論だとは思う)。だが人は夢を見る動物です。
この夢を可能にするのが老子の【少欲知足】です(老子の哲理は、特に外国の哲学者・物理学者あるいは心理学者などから高く評価されています)。