ブッシュ大統領の来日にちなむ一考察

ブッシュ大統領はイラン、イラク、朝鮮民主主義人民共和国を名指しして、「悪の枢軸」と攻撃しました。一方で、アメリカはCTBT(包括的核実験禁止)やABM(ミサイル迎撃ミサイル)条約を離脱して自国の軍事力を強め、臨界前核実験も実施しました。しかし、他国が軍事力を増強することには異常な反応を示し、断固反対します。その流れの中で飛び出したのが「悪の枢軸」発言でした。アメリカはまた、グローバル・スタンダード(世界標準)を世界中に広めようとしています。グローバル・スタンダードの実体は「世界経済のアメリカ化」です。アメリカは広大の土地と豊かな資源に恵まれています。また科学文明、消費文明の勝者でもあります。マネーもあれば、軍事力もある超大国です。

さらに、アメリカには自国を世界の中心と考える中華思想があり、加えて善悪、白黒の二元論に立っています。 また、I(私)を常に大文字で記すことに見られるように、個人主義(自国中心主義)に立脚しています。 そのためアメリカは常に「正常」、これに反するのは「異常」と考えます。これにとどまらず、「正常」を世界に広め、「異常」を抹殺する義務があると考えます。これは多分、イギリス文化の影響です。文化は多様であり、その善悪はここでは論じません。

しかしながら、国としての歴史が浅く、時空のフィルターを通過して築かれる深遠な文化がアメリカには涵養されていません。また、サラダボール国家といわれているように多様な人種、民族で構成されています。それにもまして、建国の事情が特殊なため、アメリカ文化は彼らが考えるほど「正常」ではありません。一方に富の過剰、一方に貧困、銃による犯罪、家庭内暴力、レイプなどアメリカの社会の土台は崩れつつあります。(日本は第二のアメリカですよ!)。

アメリカは世界中の富を集め、さらにそれを推進しようと考えていますが、彼らの思想、自由主義・弱肉強食の論理上、当然です。これに対する答えの一つが、あの同時多発テロでした。日本人はテロに同情し、その悲しみも怒りもアメリカ人と共有しますけれども-----。そのテロ後、特にアメリカには自由がありません。一つは、緊急時でも気軽に飛行機に乗ることができないし、コンサートに行くにも勇気が必要です。金持ちは鉄柵と鉄扉に守られ、怯えながら暮らしています。他の一つは、イラク攻撃への支持率の異常な高さです。アメリカに、かつてあった反対論が影を潜めています。

しっかりした反対論があってこその民主主義、そのように日本人はアメリカに憧れていました。日本人また、アメリカの自由、懐の深さにも憧れていました。今日でも日本人は、友好国の一番にはアメリカを挙げます。ところが、アメリカでは、資本家がマスコミを独占しているため、体制側に不利な情報は伏せられます。選挙は、ほとんどマネーで決まります。銃規制法案が通らないのもそのマネーのためです。これがアメリカ型民主主義の現状です。また、昔日の日本と同じくいまのアメリカには、極端な愛国心が蔓延しています。危険な全体主義的徴候です。異質なものを大きく抱擁した自由の国アメリカは、今はありません。

そのような中、20022月ブッシュ大統領が来日しました。アメリカを全面的に支持すると小泉首相は約束しました。興奮冷めやらず、かっかしている友人に「もう少し頭を冷やせよ!」とイソップの“北風と太陽”の寓話を語って聞かせるのが真の友人の取るべき態度です。へつらいは打算に過ぎず、取引です。わが国は決してイラク攻撃に、輸送だけであっても参加してはいけません。なぜなら、たとえイラクという国を地球上から抹消しても、全世界に平和はこず、果てしなき憎しみ、報復の始まりが来るからです。結局、アメリカが石油利権を手にして、喜ぶのが落ちです。

いま人類が直面している本源的・絶対的危機は、地球環境問題です。これに比べれば、「悪の枢軸」発言など些事に過ぎません。わが国には、すばらしい平和憲法があります。日本憲法は前文で「---全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」と宣言しています。餓死者のいない世界。この美しい水の惑星を守るための戦い。それに取り組むことこそ、憲法の精神に叶います。

 

この考えを書生論と、一蹴してはなりません。キリストは左のほほを打たれたら右のほほを!。釈迦は飢えたライオンに自分の体を!。これが人類の理想だからです。

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