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失敗の原因
2002年8月に南ア・ヨハネスブルクで開催される環境サミット(持続可能な開発に関する世界首脳会議)の最終準備会議は6月8日未明、閉幕しました。進まぬ貧困克服に先進国への反感をあらわにする途上国、その途上国の自己責任を強く主張する米国、大半の争点で合意できず会議は失敗しました。
1992年、ブラジル・リオデジャネイロで開催された地球サミットで各国政府は世界規模で前例のない宣言をしました。それは「ニーズを満たすことができないような生態系とニーズを満たすことができないような資源しか残されていない惑星、この地球に私たちの子孫が生きていかなければならないという事態」を回避する。というものでした。
それ受けて「持続可能な開発」が合意され、「森林保全」「生物多様性の保全」「気候変動への対応」「進行する砂漠化の防止」および「アジェンダ21」の決議に結びつきました。しかし、現在世界中の湿地の半分がすでに破壊され、そのかなりの割合がリオ・サミット以降の10年間に起こっています。また、この10年間で、世界の二酸化炭素排出量は4億トンに、世界で絶滅に瀕しているサンゴ礁の割合は10パーセントから27パーセントに増加しています。さらに鳥類の12パーセントが絶滅の危機に瀕しています。これらは想像の範囲を超えるスピードです。
この10年間に世界経済は年間10兆ドル以上成長しました。反面、11億の人々が安全な飲料水を入手できず、1日あたり1ドル以下で暮らしています。準備会議における発展途上国の強硬姿勢の背景には、リオ・サミットで合意された先進国の発展途上国への援助不履行が隠されています。先進国は、当時国民総生産比0.33パーセントの援助を0.7パーセントに引き上げることを表明しました。にもかかわらず、実際には0.22パーセントまで下がっています。また「貿易を通じた持続可能な開発」も実現せず、むしろ途上国債務はこの10年間で34パーセントも増えています。
インドネシアのNGOの若者は「先進国はわれわれの国の資源を使い、繁栄してきた。発展途上国が資金問題で先進国に抵抗したのは当然だ」と語りました。この若者の発言こそ、後進国側の集約されたホンネです。2001年9月11日、米国で同時多発テロが起き、衝撃的な悲劇でした。しかし、テロは決して偶然だったとはいいきれません。少なくともそれを引き起こす下地があったと考えられています。インドネシアの若者の発言のなかに、それは秘められており、発展途上国間に通底する感情でもあると思われます。
アフガニスタンの多くの人々は助け合います。地球資源は人類共通の財産だと考えます。この社会では1人占めは悪です。彼らはアメリカを中心にする自己責任原則、弱肉強食、個人主義を必ずしも肯定していません。準備会議失敗の原因の根はここにあったのです。
新文明に希望を託して
1992年開催のリオ会議で人類は地球の有限性を認識し、それに基づいて京都議定書が作られました。地球資源に限りがあるならば、これまでのライフスタイルを変えなければなりません。特に大量消費を是とする文明の見直しは急務です。経済学など社会科学はもとより、哲学、宗教も再構築が要請されます。にもかかわらず、先進国中特に、アメリカが進めている経済のグローバル化は逆の方向に向いています。特に、ブッシュ大統領の「経済に影響を与えるから京都議定書に反対する」という考えは、わがまま丸出しであるばかりか、時代錯誤の極みでもあります。
多分、後世の歴史家は後進国アメリカ、と書き立てるでしょう。議長国、日本は京都議定書を批准し、財界も積極的理解を示しています。リサイクルやリユーズ・環境報告書など先進的に取り組んでさえいます。しかし、日本は常にアメリカの尻について行動して来ました。未来の歴史家は多分、日本の役割を『平家物語』の小松殿に見たてるでありましょう。
地球有限という絶対真理のもと新文明の哲学は「量」から「配分」へ、「個」から「共生」へ移ります。地球が35億年かけて貯め込んだ化石燃料を僅か数百年で使いはたし、くわえて、大気や水を汚染することは許されません。現代世代は、未来世代の生存を保障する責務もあります。そのためには循環社会へ移行しなければなりません。孫悟空がお釈迦様の手の平から逃れられないように、人類も太陽エネルギー依存から逃れることは絶対にできません。太陽エネルギーに依存した循環の中で生きていかねばなりませんが、それは他の生物と共生していく道でもあります。
さて、21世紀初頭の今日、世界は安定とはほど遠く、終末論さえ頭をかすめます。世界人口は15年ごとに10億人増加しています。貧困が人口増を生むからです。一方、先進国では、ますます消費文明に拍車がかかっています。消費を増やすことでのみ、豊かになれる経済制度は地球有限の哲理に反しています。いつか、必ずいきづまります。容器の中に生態系を作ってみましょう。有限な容器の中で増殖や減少を繰り返しつつ、最後にはすべての生物は消滅します。その理由は小学生にでも理解できます。にもかかわらず、この有限の地球上で人類は分け前争いに、うつつを抜かしています。先進国側の限りないmore
and more文明の見直しはもとより、自由貿易という名の搾取(貧困・人口増加を招く)をただちに止めるべきです。自分で自分の首をしめる愚かさに、もう目覚めてよい頃です。
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