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小さなハンターたち
小さくて無意味に見える生物も、全て重要であり等しく生きる権利を持っている。捕食のために45度の角度で水中に飛び込む鳥がいる一方に、45度の角度で空中の獲物を捕らえるカエルもいる。生物はみな必死に生きているのです。
たしかに、人間はこのような生態系、食物連鎖の上位にいます。しかし、そのさらに上位に微生物がいるともいえます。風邪や院内感染などはもとより、全ての疾病は微生物の仕業だからです。この映像は、懸命に生きている小動物の捕食のあり方を通して、平等で、共生し、支え合っているすべての生物に暖かい眼差しを向けています。
砂丘の秘密
政府の海岸線道路の建設計画に地元住民は抗議をしました。だが、護岸工事は実施され、その護岸はあくまでも高く厚くびくともしません。いわゆる科学の勝利、科学が自然を征服したのです。ところが、ほどなくして美しかった砂浜は消え、その後にはごつごつした醜い岩の連なりのみが残り、加えて砂が押し寄せてきて港も使えなくなりました。専門家によると、この現象は当然の出来事だというのです。
スペインでは、高波の被害を防ぐために砂丘をコンクリートの護岸で固め、内側には学校などモダンな建物群を建設しました。しかし、波はやすやすと護岸を乗り越え、被害は以前より広がりました。最後は、護岸を元の砂浜に戻すことで決着を図りましたが、このような流れは、オランダ・アメリカ・ドイツ・イギリスなどにも広がっています。
海面より低い国土を有するオランダの専門家は、砂丘について「自然に逆らわないのが原則だ」と語りました。どうやら物理的自然にも、生態系に類する法則性があるようです。
地球交響楽第4番―ガイアシンフォニー
以上が入選作品の中の2点でした。これに続いて特別プログラムが上映されました。登場人物は4人です。
ジェームス・ラブロック: 生物物理学者。1919年イギリス生まれ。地球は一つの大きな生命体である、という「ガイア理論」の創始者。イギリス・コーンウォール地方で地球をやさしく語る。「地球はそれ自体が大きな生命体である。すべての生命・空気・水・土など有機的につながって生きている。これをGAIA(ガイア)と呼ぶ。」――
人体の体温は熱くても寒くても、常に36.5℃度を保っている。また地球の平均気温は20℃で、大気に占める酸素の割合は常に21%を保っている。この当然のことに疑問を抱くのが天才たるゆえんです。――人間が体温を一定に保つ機能を持っているならば、地球も地球気温を一定に保つしくみ持っているはずだ。と考えて生み出されたのがガイア仮説。ガイアはギリシャ神話の土地の神(地球自身)です。
彼は科学を否定しません。が、誤った科学あるいは誤った科学観は否定します。ラブロックによれば、偉大な発見はすべて直感で決まり、その直感を自分に解からせるために2年、他人に理解させるにはさらに1年かかります。つまり感覚あるいは霊性が主役で、理論づけは後処理に過ぎません。彼が神を、否定も肯定もしない理由はこの点にあるのではないでしょうか。
ジェーン・グドール: 野生チンパンジーの研究家。子どものための環境教育活動家。1934年イギリス生まれ。40年前、26歳の時、人類学者ルイス・リーキーの薦めで、母と共にたった二人でタンザニアのジャングルに入り、チンパンジーの観察・研究を始めた。生命に対するやわらかく広い視野からの研究は、霊長学会に多きな変化をもたらした。今は、野生動物の保護、熱帯雨林の保護、子どもたちの教育プロジェクトに全身全霊を捧げている。動物の心・愛・信仰・霊性・進化・科学、等々のテーマを語る。――
仕事に限界を感じ始めた若かりし頃のある日、彼女は森の中で1匹のオスのチンパンジーと遭遇します。長い時間が経過した後、やっと彼女の手のひらの餌にチンパンジーの手が伸びます。と、その瞬間、チンパンジーは餌を払いのけ彼女の手を握ります。グドールはその時、チンパンジーと言葉で意思を伝えあうことはできないが、テレパシーで話すことができると確信します。彼女の原点はここにあり、科学過信を厳に戒めます。(チンパンジーの遺伝子の98%は人間と同じ、輸血することもできます)。
ジェリー・ロペス: 伝説のサーファー。1948年ハワイ生まれ。毎年12月、ハワイ・オアフ島のノース・ジョアでは、高さ20フィートを超える津波のような巨大な波が立つ日がある。この巨大な地球の力は、99%人間に死をもたらすおそろしい力である。しかし、残された1%に人の生命と調和する道がある。彼は、その道を、自分の身体の内側から選び取ることができる。静かに、まるで何事もないかのように海に入ったかと思うと、強大な波の壁に美しい一本の白線を描きながら滑り降りてきて、また、何事もなかったように、静かに去っていくのだ。――
ロペスは大波の中(空洞)に入ったとき、すべてを忘れます。思い出そうとしてもその前後はともかく、記憶がよみがえらない。彼は、それを仏教の「空」ではないかと考えています。ロペスはまた、ボードを精魂込めて磨く。ボードに魂が入ると信じているからです。初期の宇宙飛行士は、すべてある種の霊性を感じました。臨死体験のある人も、例外なく霊性を信じるようになり、またオーストラリアで宇宙人に誘拐された体験者すべてが、環境問題に関心を示すようになります。
自然環境(地球生命)の神秘に目覚めたからではないでしょうか。それはまた、ロペスの「空」「魂」と同じ「なにか」ではないか。異常体験や生と死のはざまで人間は、隠れた遺伝子、霊性をよみがえらせるように設計されているのではないでしょうか。
名嘉 睦稔: 版画家。1953年沖縄・伊是名島生まれ。風の伝言(イアイ)を聴き、鳥と話す。樹の精霊(キジムナ)は兄弟で、海に素潜りで20メートルはゆく。三線はほとんど彼の肉声であり、沖縄空手の達人で、神話を語らせれば、右に出るものはいない。もし、風が地球(ガイア)の心の運び手であるなら、彼の身体を通って吹きぬけてきた風=作品の中に、遠い祖先の伝言、小さな花の言葉や鳥たちの叫び声、太陽や月からのメッセージさえ聴くことができる。21世紀に生まれ育った子どもたちへの風からの伝言を伝える。――
名嘉は花や葉の色がなぜ違うのかと考えます。そして、神の仕業に違いないと確信します。“しあわせ”は無限にあって、けっしてなくならない。だから、遠慮しないで多くの人々が、“しあわせ”を取り込んで欲しい。と、彼は心底念じています。
この4人は共に変人であるがゆえに、偉人でもあります。共通して彼らは、魂・霊性を尊ぶ心を失っていません。と同時に、他の2点の入選作品と共に科学過信を戒めています。
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