地球温暖化 3−1海面上昇

【あらすじ】

温暖化問題は、あらゆる環境問題の(みなもと)であり、シンボルでもあります。そこで、その要点を示しておきます。

                         人間は2本の前足を手とよび、火を使うことを覚えました。「神がつくりたまうた最大の魔物(まもの)は人間だ」いわれるように、知性を解き放された人間の欲望には限りがありません。

                         その欲望をみたすため、化石(かせき)燃料(ねんりょう)の使用が増え、二酸化炭素濃度の増加と温暖化をもたらしました。そのうえ、中国・インド・ロシア・ブラジルでは高い経済成長にともなって、化石燃料の使用量が激増しています。

                         温暖化の影響は―― 、@陸地では、自然環境の激変による洪水(こうずい)旱魃(かんばつ)の発生、食糧不足など。A大気では、大気圏の温度構造の変化による光化学スモックなどの発生。B海では、領土の喪失(そうしつ)、高波や津波の被害など。C生態(せいたい)(けい)では、気温の激変に伴う生物の絶滅・劣化など。-------です。

温暖化の問題点

太陽エネルギーの吸収とその放出がほどよく均衡(きんこう)しているおかげで地球の平均気温は約15℃に保たれています。太陽の熱を地表に通すが、熱が大気圏に放出するのを(さまた)げ、あたかも温室におけるガラスの役割を果たしているため、二酸化炭素(にさんかたんそ)やオゾン・メタン・フロンなどは、温室(おんしつ)効果(こうか)ガスと呼ばれています。 

火星はマイナス50℃の極寒(ごっかん)の地、金星は400℃の灼熱(しゃくねつ)地獄(じごく)となっているのは、この温室効果ガスの濃度の差によります。大気中にもし、このガスが含まれていなかったら地表の平均温度はマイナス18℃。ちょうどいい「湯かげん」の星、それが地球なのです。

ところが今、化石燃料の使用が急増しため、その「湯かげん」に異変(いへん)が生じつつあります。

200年前、産業革命が起きた時の二酸化炭素濃度は推定280ppmでしたが、第3次IPCC報告書によれば、2100年には540970ppmにまで達し、地球の平均地上気温は1990年から2100年までの間に1.45.8.℃上昇すると予測されています。(この歯止めのために京都議定書は作られましたが、最大の排出国アメリカの離脱(りだつ)により、あまり効果は期待できません)。

二酸化炭素のほか、地球温暖化の要因にはいろいろありますが、そのうちここでは、森林破壊について考えてみましょう。たとえば、シベリアの林地の地上や土中には、落葉や枝が二酸化炭素を含んだまま残っています。表土が伐採(ばっさい)により太陽にさらされ、あるいは火災により燃えると木や落葉・枝はその二酸化炭素を放出します。

さらに森林火災により永久(えいきゅう)凍土(とうど)がとければ、二酸化炭素の44倍の温室効果を持つメタンが大量に放出されます。

森林は光合成(こうごうせい)緑色植物が二酸化炭素と水から炭水化物と酸素を作る)により二酸化炭素を吸収し、酸素を大気中に放出するので「地球の(はい)といわれていますが、アマゾンに次ぐ「地球の肺」シベリアの森林は、いまでは二酸化炭素の排出源(はいしゅつげん)にさえなっています。

  温暖化の影響

[動植物の絶滅] 

 

前述IPCCの報告書の中で特に注目すべき点は、気温上昇の速さです。17世紀から19世紀は小氷河期と呼ばれ、わが国では天明(てんめい)天保(てんぽ)大飢饉(だいききん)が、ヨーロッパでも凶作が続きました。そのときの平均気温はわずか1℃低かっただけでした。短期間で1.45.8℃度という急激な気温変化は、過去の地球上では1度も起こりませんでした。

「地球の温暖化が進むと、約50年後には動植物の1835%の種が絶滅する恐れがある」という予測を、英国や豪州(ごうしゅう)など14の研究機関が共同で発表しました。欧州や豪州・アフリカ・中南米の約1千種の生物を対象に、生息域(せいそくいき)の変化などから各生物の絶滅の可能性を試算しています。

それによると1.8~2 ℃の中程度の 上昇の場合、寒冷な高緯度(こういど)や高地などに移動できたとしても約2割の種が滅びる恐れがあり、移動できない場合は3割が絶滅の危機に直面すると予測しています。

このように温暖化が生態(せいたい)(けい)に及ぼす悪い影響は、はかり知れません。

 

[健康被害] 

 

(おこり)はマラリアを表すことば、過去の日本にもハマダラカの媒介(ばいかい)による風土病(ふうどびょう)としてマラリアは存在しました。一説には、平清盛(たいらのきよもり)の死因はマラリアです。

地球の平均気温が3度上昇すると、現在マラリアが発生していない温帯地域で10倍以上の発生を見ると予想されています。サブサハラでは毎年、約60万人の子どもが(のう)マラリアを発病していて、患者5人に1人は死亡しています。  気温上昇はまた、他の感染症のデング熱や黄熱病・ウイルス性肝炎などの伝染病をもたらします。 

東京湾の底に眠っている古代のコレラ(きん)が、温暖化により目を()まして、悪さをするという恐怖のシナリオが「ビートたけしのこんなはずでは」で、放映されました。現に、九州大学での実験で東京湾の海水からその菌は発見され、増殖も確かめられました。番組は単なるコケオドシではありません。エイズや西ナイル熱など自然の逆襲(ぎゃくしゅう)を甘く見てはいけません。

 海面上昇 

 大気の温度が上昇すると、やや遅れて海水の温度も上昇します。海洋温度の上昇があれば、海水のぼうちょうを引き起こして海面を上昇させます。さらに、大気圏の50倍にものぼる海洋中の二酸化炭素の放出が始まれば、それが海水温の上昇を呼ぶという悪循環におちいるかもしれません。

03101日、米航空宇宙局(NASA)は巨大な氷山が南極のロス(だな)(こおり)から分離し、ロス海に流れ出す様子をとらえた衛星写真を発表しました。氷山は大分県並みの広さでした。このように、極地(きょくち)の氷がとけて海に流れ込んでも、海面は上昇します。

日本近海の水深1700メートルの平均水温は、地球温暖化などの影響で、1985年以降は上昇傾向が続いています。毎年夏から秋にかけて日本沿岸では潮位が高くなっており、たとえば、0310月には世界(せかい)遺産(いさん)に登録されている広島県宮島のイツクシマ神社のかいろうが冠水(かんすい)し、参拝が一時中止されました。

海面上昇はまた、海岸・低地の水没、海岸浸食の激化、河川と地下水への海水の浸入、潮の変化など悪影響をひき起こし、自然海岸や沿岸域の生態系をかく乱して、水資源の喪失(そうしつ)などさまざまな影響をもたらします。

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