発売元:SCE
機種 :PlayStation2
◎ 操作説明さえも遊びにしてしまうアイデア性
◎ 一本調子を感じさせない出来の良さ
△ 決して万人受け出来ないプレゼンテーション
× もう少し自由度が高ければ(でも解けない人続出になるけど)
× 上と矛盾しているが謎解きとしての難易度は簡単すぎる?
× 開発に5年もかかっていたんでは元はとれないであろう(笑)
◎ 攻略本に頼らない人、気の長い人には1000%お勧め
友人が我が家に持ち込んだゲームなんですが・・・・
完全にハマりました(笑)
ゲームはとある時代にイコって少年(決して地球防衛隊のイコちゃんではない)が
村のしきたりで生け贄にされるために連れてこられた島(城でもある)から
脱出するっていう、よくある脱出系のアドベンチャーゲームです。
彼が脱出する為にはさまざまなトラップを解いていかなければならない。
そして、途中で出会った少女は何者かに狙われていて、その子を守るために
戦ったりしないといけません。
割とよくあるでしょ?こういう設定のゲームは。
でも、ものすごく面白かったんですよ。
まぁオープニングにイコ君(13歳、男、角つき)が生け贄として
孤島の城に連れてこられるんですが、
いきなり閉じられた部屋に放り出されます。
ゲームの中での操作説明は一切無し。
ゲームマニュアルを読んでも、操作説明は
「イコは右スティックを使うと辺りを見る事が出来ました。」
てな書き出し。
冒頭からかなり変です。このゲーム(笑)
実は、クリアーに必要な操作を一通り出来ないと、最初の部屋から出られません。
しかし、あくまで、操作説明はほとんどありません。
一応説明書には操作説明らしき物はありますが、どちらかというと操作説明をするための文章ではなくて、
「イコ」というゲームを雰囲気づけるための書物、と考えても良いと思います。
Boy meets Girl
ヒーローがいればヒロインもいます。
イコは言葉の通じない女の子に出会いますが、彼女は重要なファクターです。
彼女でないと開けられない扉がありますから、彼女はゲームのクリアーには不可欠です。
でも彼女は高い所から飛び降りたりする事はできません。しかも、直接操作する事が出来ませんから、
イコが手招きしてうまく誘導しないといけません。
女の子が行けない所で手招きすると
「ヤダ!」って言います。シバク(爆笑)
こっちが手詰まりの時は、ヒントになる物を指差してくれます。(ありがたや)
しかも彼女は得体の知れないもの(実は最後にわかるんですが)に狙われています。
彼女がさらわれてしまうと、ゲームオーバーなんで、無論助けるんですが、
プレイが続くうちに「ゲームオーバーになるから彼女を助ける」から
「彼女を守らないといけない」に変っています。
安全とわかっている時は手招きで彼女を呼びますが、
危険かも知れない時は彼女の手を握ってひっぱります。
実は「手を握る行為」というのが後々のストーリーのキーワードになっています。
おそるべし。
幼さの残る13歳の少年がたくましく見えてきます。
グラフィック的にはそれほど美しく作られたわけではないヒロインがはかなげでかわいらしく見えてきます。
多分、製作者サイドの計算の手の内でしょう。
それを不快と思わずにプレイヤーは受け入れる事ができます。
あと、グラフィックとか音楽とかになりますけれど、
グラフィックは多くのゲーマーが考えているような奇麗さはありません。
キャラクターのモデリングはちょっとのっぺりしているしね。
表情もそんなに多くはありません。
でも必要なところでは必ず表情を出していて、
しかもプレイヤーの心理と完全にシンクロしているのがすばらしい。
モデリングとしては「風景」に驚いてください。
海外のPC版のアドベンチャーをプレイしたひとならばそれほど驚くものでも無いんですが、
風景の作り込みにはかなり心血を注いでいて「壮大な空間」の表現に成功しています。
僕は以前から「ゲームの出来の善し悪しは『世界』を構築できるかどうかで決まる。」
と考えているのですが、「ICO」は世界の構築に成功していると思います。
音楽はね〜
ほとんど無いんですよ(笑)
今思い返しても、オープニング、エンディング、セーブ画面を含めても5つくらいしかないかな?
後は風の音や、鳥の声とかの環境音しかありません。
それでも原音が好きな僕はオープニングに痺れましたけれどね。
最近のゲームの音楽って原音を使っている傾向が強いですね。
(真・三国無双なんかもトリオを押さえたハードロックが主体ですし)
多分に利用できる容量が増えてきた(&圧縮技術が優れてきた)ので、
BGMとして原音がそのまま使えるようになったんだと思います。
んで、最近は気が付けばゲーム音楽のCDを買う事が多いのだけれども
この理由については別に機会にでも。
これ以上はネタバレになりますんで、興味がある人は店で手に持ってみてください。
パッケージを見た時は確実に躊躇するでしょう(笑)
そう、このゲームは多分売れていません(苦笑)
プレイした人の評価は非常に、というか異常に高いのですけれどね。
他の人の話を聞く限りはある程度のプロモーションはしていたそうなんですが、
僕はそのプロモーションを見た事がまったくありません。
CMでもみた事が無いし、雑誌でもみた事がありません。
思うに、「プロモーションをしくじった」可能性があります。
多分CMでも流しているでしょうし、雑誌でも掲載されたんだと思います。
ただし、CMは子供向け番組だったのかもしれないし、
雑誌もいわゆるゲーム雑誌でしか紹介されていないのではないかと思います。
このゲームを面白いと思う層は確実に高校生以上、はっきりいってしまえば
知的作業を面白いと思う人でないと面白いとは思わないでしょう。
そういう層の人達が子供向け番組を見る事は有り得ませんし、
このんでゲーム雑誌を買う事もないと思います。
ちなみに私はこの数年間ゲーム雑誌を進んで購入した事がありません。
だから「ICO」のプロモーションを知らなかったんだと思います。
もしも、あれがニュース番組で一日一回だけオープニングの一部を流すだけで
売り上げに差が出たんではないかと思います。
あと、僕がこのゲームに対して唯一持った不満が
「意外に行動の自由度が少ない」という事です。
例えば、本当はまったく意味の無い行為なんだけれども、
関係の無い建物の屋根に登って遠くを眺めるとかね。
そういう事も出来ればうれしかったんだけれども、
そこまで出来るようにはしていなかったみたいです。
自由度を与えるという事は非常に大変な事なので、
「出来れば」というリクエストにとどめておきたいと思います。
それとこれはどう考えれば良いのか・・・
ゲームの出来としてはかなり良いのですが、難易度としては実は簡単です。
僕の場合、アドベンチャーゲームの最高峰の難易度として記憶しているのが
PC88の時にプレイした「ラグランジュ−2」というこれも脱出アドベンチャーなんですが、
これを評価基準にしているので、とても採点が辛くなりがちですんで・・・。
あと、エンディングには賛否両論あるんですが、
これには言及しません。
但し、「悲しい終わり方にどうしてもしたくなかった」
と考えたであろう製作者の想いを否定したくありません。
そして、どんなエンディングであっても僕の「ICO」に対する評価は
最近のゲームの中では非常に高いというのもあります。
取り敢えず、なんか違うゲームをしてみたい人はお試しあれ。
★ 各リンク
「ICO」の公式サイトはこちら
http://www.i-c-o.net/
「ICO」のゲームの感想や攻略法、レビューはこちらのランキングサイトでもあります。
http://kyoichi.ceo-jp.com/ps2/soft/adv/ico/index.html
こちらでは制作発表会の模様が収められています。
http://www.jp.playstation.com/events/011106.html