僕は無手順のPC通信からの履歴をひも解くと、
300bpsの頃から通信しています。
300bpsですよ300bps。
3Mbpsじゃないよ。(笑)
今の人、300bpsの通信速度なんて想像できないでしょ。
どれくらいのスピードかというと、
文字が表示されるよりも一文字一文字を読み上げるスピードの方が
断然速いって世界です。
まぁ、実際にコミュニケーションとしてのPC通信を始めたのが2400bps。
その時でも多くの人の文章を書き上げる能力(文章を考える&テキストを書くスピード)って
通信速度を上回っていなかった様に思います。
これは現在でもそう。

ブロードバンドっていわれる時代になっても、そのブロードバンドを何に使うかと言うと、
動画や音声データの配信とかね。
まぁデータ量は増えているけれど、情報量そのものは増えているわけではない。
(結局伝えたい情報量は一緒、という事ですな)
まぁ、ブロードバンドでテキスト送られてもそんなの全部読める人いないと思うけれどね(笑)
僕が通信速度その物にあまり拘りが無いのはこれが理由な訳です。

私の特性なんですが、
1分どころか10秒でもデータをダウンロードが終了するのを待つのは嫌いなんです。
まぁ、まさしく今、この文章書きながら、
OS/2のPTF(総容量30Mbyte)をダウンロードしているんですが。
何かしながら終了を待つ、ってぇのは耐えられる。
たとえダウンロードに1週間掛かったとしてもね(笑)
だがMP3とかのダウンロードを終了するのを、
ただ待つってのは本当に耐えられない(笑)
たいていの場合は何かしながらダウンロードって事になるんですわ。
まぁ、多くの人はそうだと思うんだけれどね。

高速の回線は要らない・・・、とは思いません。
やっぱり早ければなんだかんだと楽ですし。
うちの場合、ADSLはまだ届かない(多分、この先も通らないと思いますね)ので
CATVって事になるんですけれどね。
それでも近所の人はみんな速いって言っていますし。
でもね、試算した時に、コストが現状より2千円アップって聞くと、考えちゃいます。
その2千円に見合う恩恵を多分得られない様に思っていたからなんです。

この辺り、人に話してもなかなかわかってもらえないし、
そもそも自分がそう思う理由もよく分かっていなかったんですが、
最近になって思わず膝を打つ記事を読みました。
その記事を書いていらっしゃった人が書くには、
「インターネットの速度は上がってきたが、いまだに重要な情報は伝達されない。」
という事なんですね。

例えば、この前の明石の花火大会の事故が在りましたよね。
遺族の方(その人も花火大会に行っていた)が安否を確認するのに何時間も掛かったという話を覚えています。
それも一個所(例えば管轄の警察署)でその確認が取れるのを待っていた訳では無くて
近くの救急指定の病院を一つ一つ問い合わせてやっと確認が取れた、という事なんです。

これを言うと誤解を招く可能性があるんだけれども。
視聴者の多くにとっては個人の安否の確認は、あまり意味が無い事です。
でも当事者にとってはこれほど重要な情報は無い。
(そして誰でもその「当事者」になり得る可能性がある
でも、いまだにそれらの情報の入手方法って変わってないですね。

よく話をする中で「回線だけ速くなってもねぇ、サーバーが遅くては」
っていうのを話す事が多いんですが、上記の例の場合は、
回線とサーバーが速くても駄目で、サーバーに入力されるまでの速度
(物理的な情報伝達の速度、といえば良いのかもしれません)
まで要求されちゃうんですね。

そこまでを見渡した時、実はブロードバンドって、
まだ本来のブロードバンドの能力を全く発揮していないのでは、
って思うわけなんです。
情報の入力から出力までの効率を上げないと
情報の伝達速度は速くならない。
「帯域が上がっても速度は上がっていない」
そう感じるんです。

それと、経験を交えて書くと、
重要な情報にはコスト(金額、という意味だけではなく、労力も含む)が掛かる
というのは、無手順の頃から通信をしている僕には常識になっています。
だけれども、インターネットって奴が普及してからは格差は大きくなってきたな、と。
「どうでも良い情報はいくらでも入ってくるが、一番重要な情報はまるで得られない」
考えてみりゃ、インディーズのMP3を聞いたり、映画のプレビューを見るのは
(悪くないと思うけれども)どうだって良い事かもしれませんなぁ(笑)無くても困らんし。

一番重要な事は「今、何がなぜ起こっているか」だと思うんですけれどね。

いろんな所でいろんな人を見ていると、
そういった・・・・情報に対する欲求がものすごく落ちてきているんではないか
そう思うんです。
 

これを書いている時に思い出したんですが、
阪神淡路大震災の時にね、長田区のど真ん中に住んでいた知り合いが居たんですけれど、
なんとか連絡が取れましてね。(この頃は加入者そのものが少なかったために
携帯電話で容易に連絡が取れた・・・・昔の話です。)
何か欲しい物は無いか?と聞いたんです。

「食い物を山ほど、水を山ほど」
まぁ、ここまでは予想できた。
「ThinkPadのバッテリーを充電して持ってきてくれ」

「当たり前だろ(笑)」
??
「いろんな情報を流さないといけないし、入手しなくちゃいけないからな」
そいつ、被災者でもありながら、ボランティアをして、さらに
眠る時間を惜しんで、通信していたんですな。
感服し、そして恐ろしい奴だ、と思ったものです。

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2001/08/01