There can be only one.
「一つしか(そこに)いられない。」
意訳すれば「一人しか残れない」「生き残るのは一人だけ」という意味。
これは僕が紡いだ言葉では無くて、「ハイランダー」というB級映画の台詞である。

はっきり言えば、なんらかの大会ってのは必ず「一番」を決める訳なのだから、
結局の所「勝った」のは一人だけであり、その他の全ては「負け犬」である。
今、猫も杓子も発狂熱狂しているワールドカップだって例外ではない。

多くの人は日本や韓国の勝敗が気になるだろうし、
イングランドやブラジル、イタリアがどのような活躍をするか期待しているだろう。
あるいは、すでに敗退したアルゼンチンやフランス、ポルトガルの事を考えているだろう。

俺とて日本に生まれ住んでいるから日本のチームの動向は気になるし、
共同開催国の韓国の勝敗は気になる。
でも、あまり世の流れにはあまり「ノレ」ていないらしい。

TVに出てくるサポーター(っていっていいのかなぁ、正直抵抗がある)
が「トルコとの対戦は2−0に日本!」って絶叫している人達を見て、
(そんなに気楽に言っていいのかよ?)と思う事もある。
で、日本が惨敗したら、同じ奴はやっぱり絶叫するんだろうな
トルシエ腹切りやがれ!!

あほ臭え
 

フランス大会では惨敗と言える成績であちこちで「岡田監督腹切れ」って聴けたけれど、
それを言っている時はフランス大会の地域予選で日本がフランスに行けるかどうかの崖っ淵まで
追いつめられていたのを忘れていたような気がする。
急遽監督になった岡田のおかげ(だけでは無い、と今でも信じているけれどね)で
予選突破できたんだから、彼の仕事は成就している筈。
それを棚に上げて大会の予選リーグ惨敗で「腹切れ」ってのはどこから出た言葉だ。

確かに日本は惨敗した。でも初めての大会で、実力を出し切れってのも無理な話だ。
だから、フランス大会ではあれが当時の日本の精一杯だと考える方が普通なのではないか、と思う。
俺はフランス大会では「初めての大会でプレッシャーもあったろうに良くぞ1点を取れた物だ」
と本気で思ったのだが・・・この考え方は控えめすぎるだろうか?
 

それほど熱狂的なサッカーファンではないので、たまに不思議に思う事がある。
多くの人は(全員ではない事は僕も承知している)は
サッカーの試合をまともにした事も無く、ルールさえも充分に知らず。
戦略を語り、選手を批評し、そしてちょっと勝てば「○○采配」と誉めちぎり、
負ければ「監督の資質が云々」「選手の技術が云々」という。

そんなもんかしらねぇ、と思いながらちょっとだけ距離を置いて、戦いを見るようにしている。
今日は「日本=トルコ」戦、日本にはがんばって欲しいとは思う。
でも「何がなんでも勝て!」は見る側としてはあまり無い。
「良い戦いが出来ると良いね。」が順当なところか。
 
 

あ、慣れていないサッカー話なんで非常に散文的になるんだけれども、ご勘弁。
ヨーロッパ勢が次々と負けているんだけれども、その一つの原因として
この時期のアジアの高温多湿な気候で、ヨーロッパ勢が体力を消耗しているのではないか
と考えている人が何人かいる。
ゆやあ「バテている」訳だね(苦笑)
全く誰だい、こんな時期にこの地域でワールドカップを開くって決めた奴は(爆笑)
実は僕もその一人だし、実は日本で戦った経験がある「妖精」ストイコビッチもその点を指摘している。
で、その点をある人に話したら「プロなのにそういう事は理由にならんでしょう」といわれた(笑)

でも実際の所ワールドカップはシーズンオフに行う大会だから、本来ならばシーズンオフで体を休めている選手が
調整をして出場するのだから、やっぱりちょっとした事で体調を崩す可能性は高い。
実際、どんなゲームも「後半20分前後で動きが鈍くなり・・・」という表記が見られる。
下馬表では今回の大会では、「フィジカル(体力)で勝負が決まる」と言い切る解説者もいる。
そうなると、今大会はドイツかブラジル、もしくはセネガルか?(爆笑)
本当はアイルランドを気にしていたんだけれどPKで負けちゃったからねぇ(涙)
 
 

16日の「スペイン=アイルランド」はちょっと気にしていた戦いだったので見れなかったのを後悔した。
アイルランドはもともとどんな選手が出場しているのか、全く知らないんです(爆笑)
で、僕が好きなスポーツはラグビーなもんで、その横好きでアイルランドを気にしていたんだけれども、
録画中継を見ていた時に、実際にすばらしい戦いをしていたのがうれしかった。
スター選手が不在のチームがここまでスペインを苦しめるとは誰も思いもしなかっただろう。
#スター不在ではFWのロブ・キーンやDFのスティーヴ・ストーントン、ケニー・カニンガムに失礼ですな

決して華麗ではないし、技術的にはスペインに太刀打ちできないアイルランドは、
しかし、基本に忠実な戦い方をして、最後の最後までモチベーションを保って戦った。
予選リーグでも先制され、それに追いついて引き分けに持ち込んだ「負けないチーム」の戦い方である。
その戦いは韓国の観客にも感じ入るものがあったらしく、スタジアムはアイルランドの応援一色になった。

そして23人目のプレイヤーであるサポーターもすばらしかった。
本来の23人目のプレイヤーであるロイ・キーン(本来の主将!)は監督との衝突により大会に来ていなかった。
もともとラグビーの世界でもアイルランドって決して強い方ではないのだけれども、サポーターがすばらしい。
彼等は自分の応援するチームが点を取れば喜び、取られればため息をつき、勝敗に関係なく選手を称える。
負けが決まった時、サポーターは選手を称え応援歌「You'll never walk alone」を合唱したと聞く。

You'll never walk alone
リバプールサポーターの愛唱歌。
リバプール以外にもスコットランドのセルティック、
日本のFC東京でも歌われている。
アイルランドがなんでリバプールの愛唱歌を?と思われるかもしれない。
何ででしょうね(笑)その辺り、サッカーに詳しくないんで知りません。
でもこの歌は、試合前に選手を称え、勇気づける歌として、
そして試合後は選手を称える歌としてプレミアリーグでは歌われている事が良くある、という事から
アイルランドの選手はプレミアリーグの選手が多い事、
そしてアイルランドは(対立してはいるが)英国圏の国である事も関係があるかもしれない。
この歌は、試合前に選手を称え、勇気づける歌として、歌われ、
そして試合後は選手を称える歌としてプレミアリーグでは歌われている事が良くある、という事から。
アイルランドの選手の健闘を称える意味を込めた歌だったと思われる。
対訳を見つけては来たんだけれども、ここでは英詩だけを書いておきます。

When you walk through a storm
Hold your head up high
And don't be afraid of the dark.

At the end of the storm
There's a golden sky
And the sweet, silver song of a lark.

Walk on through the wind
Walk on through the rain
Though your dreams be tossed and blown.

Walk on, walk on
with hope in your hearts
And you'll never walk alone
you'll never walk alone.

Walk on, walk on
with hope in your hearts
And you'll never walk alone
You'll never walk alone.
 
 

それともう一つ聴いた話、すでに帰国したデンマークについてです。
デンマークは和歌山にキャンプ地を張っていたので知っていた話なのだけれども、
彼等は練習を見に来てくれた人全てに公開し、サインにも気軽に応じていました。
カメルーンやクロアチアのような目立った地域交流ではなかったのだけれども、「ちょっと良い話」です。
で、このナイスガイ達には出来の良すぎる話があります。

5月に一度目のキャンプの時も彼等は練習中のサインに気軽に応じていたんだそうですが、
その練習時間中にサインを貰い損ねた小学生が二人いたそうです。
で、普通なら諦めるんでしょうが、やっぱワールドカップの選手のサインは欲しいですよね(笑)
一人は母親の自転車の乗せられて、一人は自ら自転車をこいでチームのバスを追いかけたそうです。
子供二人(と母親)がホテルまで結局の所追いかけたんですが、無論バスには選手はいません。
でも、小学生に気がついた監督が笛を吹いて選手を呼び集め、全員でサインをプレゼントしたという事です。
負けた翌日の朝、チームは帰国したんですが、その時も沢山の人が見送りに来たそうです。
 

ワールドカップは大会だから結局「勝つのは1チーム」。
そんな事は折り込み済み。でしょ?
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2002/06/18