マリオネット
MARIO


激しい戦乱がつづくビックリマン世界の中、かろうじて平和を保っている世界があった。
その名は天地球。愛然かぐやが治めるお守りの聖地。

かぐやの守理力によって天地球は外界から完全に遮断され、秘密の入り口を通らなければ
中に入ることはできなかった。それが天地球を「聖地」たらしめている理由であった。

そこで暮らす一人のお守りの少年がいた。彼の名はチェーン徒。
名前の由来は生まれたときからその手につけられていた鉄球付きの二つの鎖。
彼は黎元老守のもとで他の仲間達と共に、平和な暮らしをおくっていた。

しかしそれも天魔界が攻めてくるまでだった。
ある日チェーンは、悪魔たちに追われていた聖幻源の老天使「幻老師」を救う。

その老天使から、天聖界では誰もが武器を取り戦っていること、
そして天地球も悪魔に狙われていることを教えられたチェーンは、黎元老守の目を盗み、老天使から戦い方を教わるのであった。

やがて襲ってきた天魔界の悪魔達にチェーンは立ち向かうが、あっさりと負けてしまう。
気絶したチェーンを守る為に悪魔たちに立ち向かい、死んでしまう黎元老守。
怒り、悪魔たちをその怪力で蹴散らすチェーンであったが多勢に無勢で敗れてしまう。

逃亡したチェーンは、今まさに命のともし火が消えかけている黎元老守と泣きながら最後の会話を交わす。
そしてその前に再びあの老天使が現れる。

黎元老守の遺言でその老天使に気をつけろと言われていた為、警戒するチェーンに
老天使はその正体を現わす。その正体は、「天魔界の頭脳」と呼ばれる男、「魔魂プタゴラトン」であった。

彼はチェーンを作ったのは自分だと言う。
プタゴラトンは力のみを信奉するブラックゼウスに従っていては両者が共倒れになることを知り、
ブラックゼウスを倒すべく天使と悪魔を組み合わせ、まったく新しい、そして強力な力を持った存在を創り出そうとしたのだ。

そしてついにサタンマリアとヘッドロココという理想の組み合わせを発見すると
魔力と理力を研究所で組み合わせ、チェーンを誕生させたのだ。

チェーンの手に嵌められた二つの鎖。それはチェーンの中に秘められた超理力と超魔力が暴走しない様に
つけられた封印であることを教え、今こそがその封印を解く時だと告げる。

「いまだってオマエになんか負けはしない!」
「空威張りは死を招くだけだぞ。」

虚勢を張るチェーンを容易く破るプタゴラトン。
あくまでも封印を解こうとしないチェーンにプタドラトンは衝撃の事実を伝える。

「天地球を悪魔たちに襲わせたのは自分である」と。

仲間達や黎元老守を殺された怒りを爆発させたチェーンの腕から鎖が弾け飛び、
チェーンの真の力が発揮される。

理力と魔力の融合した新たな力、「理魔力」を使い、プタゴラトンを追い詰めるチェーン。
和成光拳の裏バージョン、混聖魔拳(聖魔血破弾)を放ち、プタゴラトンを打ち破るとチェーンは天魔界を目指して飛び立った。


「ブラックゼウスがどれほどか知らないが、俺を怒らせたことを後悔させてやるぜ!」

 

登場人物

チェーン(鎖マルコ)

黎元老守
魔魂プタゴラトン
愛然かぐや

お守りたち


没アイデア

記憶を持たなかったマルコに黎元老守は死んだお守りの名前である「チェーン徒」の名を与え、
お守りとして天地球で暮らさせる事にした。そこで平和と愛の尊さ、力だけでは物事は解決しない事を教え、
ブラックゼウスの唱える”強いものがすべてを支配する”「弱肉強食」の世界が間違っている事を伝える。
人々の心は力だけでは統率できない。敬い、慈しむ心があってこそ統率できるのだ。
力が正しさなのではない、人は守るものがあってはじめて強くなる事が出来る。それが力なのだ!(再考の余地あり)

ある日、チェーン徒はいつものように黎元老守の書斎で勉強をしていた。
その時、ある本の中から落ちてきた一枚の写真。それには黎元老守と3人の見知らぬお守りたちが写っていた。
裏には名前が書いてある。

『黎元老守 天地球にて。もめん徒・独徒』

そして最後に書かれていた名前。

チェーン徒。

自分とおなじ名前のお守りの写った写真を見てチェーン徒は驚愕した。
このお守りがチェーン徒?そんなバカな!チェーン徒はボクじゃないか!
だが写真の中の姿と自分の姿は少しも似ていない。あえて言えば身に付けられたチェーンくらいのものだ。

このお守りがチェーン徒なら、ボクは…ボクは一体だれなんだ!?

だが『彼』は黎元老守を問い詰めたりはしなかった。
黎元老守がそうしたのなら、それなりの理由があると思ったからである。
黎元老守はその死の間際、『彼』にその事を告げる。今まで騙していてすまなかった」と。
「知ってた、知ってたんだよ黎元老守!ボクこそ、ボクのほうこそ黙っていて…ごめんなさい!
 わかっててボクは貴方に甘えていたくて黙っていたんだ!黎元老守!」

「…もっとオマエに色々な事を伝えたかった… オマエはワシにとって本当の孫じゃったよ…」

「ダメだよ…目を開けて…いかないで…じいちゃん… じいちゃん……!!!アアー!!!」

理力と魔力の奔流が『彼』の体から溢れだし大気を震わす。

老幻師「素晴らしい力だ…あとはこの注意力散漫な欠点さえ直せばすぐにでも仕事に取り掛かれよう。」


デビル四天王の一人では有るが、その忠義はただ魔胎伝ノアとその娘であるサタンマリアにのみ向けられている。
ブラックゼウスの背後にいるダークマターの存在を知り、それを倒すべく「天使と悪魔の力を併せ持つ」戦士の製造に取りかかる。
さらにはその製造目的は「新たなる悪魔軍の戦士」と偽る事により、捕虜の扱いについては一任されている。
ネブラ捕虜収容所から実験材料と偽り捕まった天使やお守りを少しずつヘブンシティに逃がしている。

『次世代の戦士』であるマルコをサタンマリアと聖フェニックスの因子から創り出したあとは天地球に送り、
そこでお守りとして育てさせた。長老・黎元老守はマルコのただならぬ力を感じ取り、その記憶を封印し、
お守り「チェーン徒」として育てさせている。

いよいよ決戦が迫った事を知ったプタゴラトンは、老天使「幻老師」に変装しマルコを回収すべく天地球に向かう。
(本物の幻老師は悪魔軍の襲撃によりすでに戦死している)
「悪魔に襲われている天使」を偽装するべく天使に変装したあと、わざと部下に見つかる様に徘徊した。(部下には言ってない)
自分の部下に襲われている自分(プタゴラトン)を、マルコが助けに来るとふんでのことである。

この予想はあたり、マルコ(チェ−ン徒)は天地球の不可侵の掟を破りプタを助けてしまう。
黎元老守に叱られるも、悪魔達の記憶は黎元老守の術で消されるのでいいだろうと反論するマルコ。
うまく天地球に潜入したプタゴラトンは、本性を隠したままマルコに接近し、世界の現状を教える。

荒れた世界の現状をきいたマルコは、自分の力を平和の為に使いたいと思うようになる。
そしてこの戦争の原因であるブラックゼウスを倒そうと思い始めるのであった。
平和を取り戻すために自分の力を使いたい、と言うマルコに、プタは内心笑いながら様々な事を教える。
魔力の使い方、理力の使い方、闘い方、そして理力と魔力を同時に使う方法をも。
急激に力を引き出された為に鼻血を吹き出すマルコ。

しかしマルコは心配をかけたくないと、黎元老守には黙ったまま力の使い方の練習を続けるのだった。

マルコの強力な成長を目の当たりにしたお守りたちは、老天使への信頼を深める。
そして、「オマエたちも強くなれる。悪魔よりも。天使よりも」という老天使の自説を支持するようになる。
老天使の考えた「お守り総天使化計画」、それは『天地球の秘宝』と呼ばれる天地球秘蔵のアイテム
『ジェラ珍抗体』を纏うことであった。そのスライムのようなアイテムが、使用者の体を包みこみ、莫大な理力を与えるのである。
「ジェラ珍抗体があれば、自分も悪魔と戦える!もう逃げたりしなくてすむ!」
ただ逃げるだけのお守り生活にウンザリしていた若手のお守り達には、特に支持され、熱狂的な集団も誕生する。
それはやがて、黎元老守や愛然かぐやの耳に入る。

「ジェラ珍抗体」は、誰にも使えるわけではなく、強者だけがまとうことが出来るという黎元老守の説得も
「ウソだ!幻老師はそんなことは言っていなかった!」と耳を貸そうとしないお守りたち。
そんな中、マルコは両者の間にたって仲裁を行なうが、「マルコは強いからそんなことがいえるんだ!」と避難される。
両者の溝は深まるばかりであった。

そんな時、アリババによって悪混鬼の手より救出された珍カーベルらニャンニャンガールズが天地球にやってきた。
珍カーベルは、同じ聖幻源の出身であり、聖幻球の老天使でもある幻老師との再会を喜んだが、
幻老師に化けただけのプタゴラトンは不自然な対応をしてしまう。
それを不審に思った珍カーベルは、深夜、黎元老守に相談にいく。

お守り達を焚き付けた件も含めて、
幻老師を真実を問いただそうという黎元老守と、そうしたほうがいいと頷く珍カーベル。

かしその二人の前に幻老師がまさに幻影の如く姿を現す。
「その必要はない…」
「幻老師殿!なぜここに!」
「まさか、聖幻源に生き残りがいたとはな…」
「やっぱり…貴方は!」
「予定を早めて正解だったようだな」


その晩、天地球に悪魔達の群が雪崩れこむ。
正体を知られたプタゴラトンが天地球を滅ぼすのと同時に、
マルコの力を実戦で鍛えるべく天地球への秘密の抜け道を教えたのだ。
たちまちのうちに戦火に包まれる天地球。

「マルコ!」
「みんな!たいへんだ!悪魔たちが!」
「わかってる!それよりマルコ」
「なに?」
(バキッ)
「うっ!」
「悪く思わないでくれマルコ。こうでもしないと、オマエはきっと邪魔をするだろうから・・・」


「おやめなさい!」
「今使わないで、いつ使うんですか!」

血気に流行ったお守り達の一部が、愛然かぐやを押しのけ、宮殿の秘宝を解き放つ。
解かれた封印より出現したスライム状の物体。
「こ・・・これがジェラ珍抗体?」
「こんなものが天地球の秘宝?」
好奇心でスライムを指先で突つくお守り。次の瞬間、スライムは彼を一瞬で飲みこんでしまった!
「うわあっ!」
「く、食われた!?」
「・・・いや、ちがうぞ!カラダから力がわきでる!ボクもパワーアップしたぞぉ!」
ジェラ珍抗体をまとい、パワーアップに成功したお守り達は、押し寄せる悪魔達と戦い始める。
どんな強い衝撃もその柔らかな体組織で受け流してしまうジェラ珍抗体をまとったお守りたちは無敵であった。
「いける!いけるぞ!」
「ボクたちだって戦えるんだ!!」

しかし・・・

「どうやら上手くジェラ珍抗体を手に入れてくれたようだな」
「あっ!幻老師さま!」
「我々では愛然かぐやの作り出した結界には触れることもできんからな」
「え!?」
「オマエ達はとても役に立ってくれた」
「だがオマエ達の役目はここまでだ。ハァッ!」

幻老師が聖球をふるうと、悪魔達が復活する。
いや、復活ではない。元々「やられてはいなかった」のだ。
お守り達は、幻老師の作り出した幻を相手に戦っていたのだ。

「ひ、ひるむな!これをまとっている限り、おれたちは無敵だ!」
「だ、だけど!」
「段々からだが重くなってきたよ・・・」


「黎元老守から何もきいていなかったのか?ジェラ珍抗体は誰にでも扱えるアイテムではない」
「強い力を持ったものだけが使いこなせることが出来るのだ」

次の瞬間、ジェラ珍抗体でパワーアップしたお守り達が、次々とジェラ珍抗体に「食われ出す」!
スライムの中に取り込まれ、じょじょに消化され始めていたのだ!

「チクショウ!だ、だましたな!幻老師!」
「だましてなどおらん。現におまえ達は強くなったではないか。…命を引き換えにしてな」
「うわぁーー!!」

ジェラ珍抗体を装備した者達は全員がスライムの一部と化し、残ったお守り達もまた、「エサ」を求め
動き出したジェラ珍抗体に飲みこまれてしまった。

いまや巨大な一つのスライムと化したジェラ珍抗体は、更なるエサをもとめ動き出す。
それを超念魔でコントロールし、手下の如く操りながら幻老師はマルコのもとへ。

「さて、わが愛しき我が子に会いに行くとしよう」

お守りしかいない天地球では悪魔達を防ぐ手だてはなかった。
一人、マルコのみがその力を発揮して悪魔達を蹴散らしている。
「宮殿が!」
燃える宮殿に駆けつけたマルコは、血を流し倒れ伏す黎元老守の姿を見る。

「マ、マルコ…こんな事なら、もっと早くオマエに真実を教えておくべきじゃった…」
「だめだよ…死なないで…!」
「マルコ・・・オマエとの生活は実に楽しかったなあ・・・いろんなことがあった・・・
  まったくフフフフフ・・・本当に・・・楽しかった・・・一年じゃったよ」
「じいちゃん…じいちゃん…!」

黎元老守が光に変わった瞬間、マルコの感情は爆発した。
両手にはまっていた鎖と鉄球が弾けとび、その真の力が解放されたのだ。

『素晴らしい… あとはこの注意力散漫な欠点さえ無くせば、すぐにでも仕事に取りかかれよう…』

マルコの背後に立る幻老師、いや、今やその姿は本性を現しつつあった。

「幻老師!よくも!!」

マルコの一閃で完全に正体をあらわすプタゴラトン。