妄想小劇場 第一回 「天子男ジャック×メリー天使」。(リクエスト-八魔鬼ングさん)
聖遊源において師匠である老天使・聖岩固の立派な天使になる為の厳しい特訓を受ける天子男ジャック。
聖岩固「こりゃ!何度言ったら解るんじゃ!投げる瞬間まで、相手から目を離すんじゃない!」
聖岩固「バッカモ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ンッ!!」
- 今日も今日とて修行は続きます。
-
男ジャック「いてて…。聖岩固さまももうちょっと手加減してくれたらいいのに…」
- メリー天使「やほー、天子男ジャック。げんき?」
- その日の特訓を終え、腫れ上がった肩をさすりながら愚痴をこぼしていた男ジャックに声をかけたのは幼馴染みのメリー天使です。
-
- 男ジャック「『げんき?』じゃねえだろ!見りゃわかるだろ!」
-
- メリー天使「ハイハイ、泣き言ばっかり言ってないで練習練習!」
男ジャック「うるせえな、わかってるって!むむ…聖コインつぶて!てりゃー!」
ビュビュビュッ!
的代わりのリンゴに向かって聖コインを投げつける天子男ジャック。
メリー天使「わわっ!すごいすごい!」
男ジャックの唯一の得意技、『聖コインつぶて』を見たメリー天使は歓声を上げます。
-
- メリー天使「すごすぎるよ天子男ジャック!」
-
- 男ジャック「………。」
そう言うと、メリー天使は的代わりの”リンゴ”を手にとってかじり始めます。
シャクシャク。
-
- メリー天使「全部外すな〜んて、なかなか出来ることじゃ無いわよね」
男ジャック「うるせえ!あっちいけ!」
ビュビュ!
ササッ!
顔を赤くした男ジャックは、メリー天使に向かって聖コインを投げつけますが、メリー天使はあっさりかわします。
メリー天使「あははっ!しっかりね、男ジャック!行こうドンキリ!ハイヨ〜!」
ひとしきり男ジャックをからかうと、メリー天使は愛馬にまたがり森の向こうに走っていきます。
-
- 男ジャック「ちくしょう、覚えてろ〜っ!」
-
そんな感じで、二人はケンカしたり仲良くしながら時間を過ごしていきます。
ある時は修行に励む男ジャックを、メリー天使は手にしたハープで応援したり。
男ジャック「それ、なんて曲なんだ?聞いてるとなんか元気がわいてくるぜ。」
メリー天使「(ポロロン♪)『聖者マーチ』よ。試練に赴く天使たちを応援するために作られた曲なんだって。(ポロロン♪)」
男ジャック「『マーチ』(行進曲)?ふーん…道理で。」
メリー天使「…男ジャック。私も応援してるから。がんばってね。」
男ジャック「お?おう。」
意味ありげな笑顔を浮かべるメリー天使の表情に、どきどきする男ジャック。
ドンキリ「ヒヒ〜ン」
二人の間に割り込むドンキリ。その目はまるで「俺のメリー天使に近寄るな」と言ってるようでした。
男ジャック「こ、このウマやろう…!」
ドンキリ「ヒヒーン?(やるかい?)」
男ジャック「おお、やったらーー!!」
メリー天使と男ジャックの青春トークの後は、いつもドンキリと男ジャックのケンカが始まります。
もう聖遊源ではお馴染みの光景なので誰も気にしません。
- メリー天使「いけー!どっちも頑張れ〜!」
やがて、悪魔たちが攻めてくると言うウワサが流れ始めた頃…
男ジャック「聖コインつぶて!とりゃとりゃとりゃーーっ!!」
ビシ!ビシ!ビシィ! 狙いはあやまずリンゴに命中し、砕け散ります。
メリー天使「でも、男ジャックの聖コインつぶても、だいぶ上達したよねー。」
砕け散ったりんごを残念そうに見ながらそう言うメリー天使。
男ジャック「へへ。まあな!」
メリー天使「…知ってる?男ジャック。あの話。」
男ジャック「悪魔が攻めてきているって奴か?ただのウワサだろ?」
メリー天使「ウワサならいいんだけど…もし、悪魔が攻めてきたら守ってくれる?男ジャック」
男ジャック「はあ?守る必要なんかないだろ?…解ったよ。嘘だって!守る!守るって!約束する!」
そんなある日、聖岩固は男ジャックに最後の試練を与えます。
聖岩固「よいか天子男ジャック。この試練さえ乗り越えれば、オマエももう立派な一人前の天使だ。
しっかりやってくるのだぞ。」
聖岩固が修行の仕上げとして出した試練。それは聖鳥の住む森に行って「金の卵」を手に入れてくるというものあった。
しかしその森こそは、遥か昔、生まれた直後の天子男ジャックが発見された場所なのでした。
様々な野鳥達が群れをなして飛びまわる森。『聖鳥の森』。
男ジャック「オイラが鳥嫌いなの知っててこんな所に行かすんだから聖岩固さまもひでえよなあ…」
野鳥「ギャーギャー!」
男ジャック「ひぃい!」
生まれたときに、誰もいない薄暗い森でたった一人で居た男ジャック。聞こえるのは悪魔の声に似た鳥の鳴き声。
そして時折見える木々のあいだを飛びまわる鳥の影。
それらが、男ジャックの心に無意識のうちに「鳥は恐ろしい」というトラウマを植え付けてしまっっていたのです。
- 恐る恐る森の中を進む男ジャック。
「金のタマゴさえ持って帰れば、オイラもやっと一人前の若神子として旅に出られるんだ。絶対に手に入れるぞ!」
途中、色々ありましたがようやく金のタマゴを産むと言われる聖鶏の巣に辿りつきました。
しかし、そこで男ジャックが見たものは、無数の黒い鳥と戦い合っている聖鶏の姿でした。
どうやら、黒い鳥たちも聖鶏のタマゴを狙っているようです。しかし多勢に無勢で親鳥は傷だらけになっていきます。
それを見た男ジャックは親鳥に加勢。「聖コインつぶて!てりゃてりゃてりゃーっ!」黒鳥たちを追い払います。
自分も傷だらけなりながら、なんとか金のタマゴを守り通した男ジャックは、
-
- 男ジャック「……さすがにこれを持ってくワケにはいかないか。」
- 男ジャックは、巣の中の親鳥にタマゴを返します。
男ジャック「試練は失敗でもいいや。オイラ、親鳥からタマゴを取り上げてまで一人前になんかなりたくないし。
でも、聖岩固さまは怒るだろうなあ…(゚・゚:)」
男ジャックが帰ろうとした瞬間、聖鶏が突然光を放ち「コケーッ!」男ジャックに語りかけます。
聖鶏『天子男ジャックよ…自分の欲望を押さえる心。そして弱きものを守ろうとする心。
この二つを合わせ持ってこそ、真の天使と呼べるのです…』
男ジャック「せ、聖鶏がしゃべった!」
雄雄しく翼を広げ、光り輝いた聖鶏はまるで伝説の鳳凰のようです。
男ジャック「聖鶏がしゃべった!」
聖鶏『天子男ジャック。これを持っていきなさい…(光り輝くタマゴを男ジャックに授ける)』
男ジャック「聖鶏がしゃべった!!」
聖鶏『…聞きなさい男ジャック。それは”小聖卵”。いつか、オマエの役に立つときが来るでしょう…』
男ジャック「小聖卵…。ありがとよ、聖鶏!(・∀・)」
男ジャックが卵を手に取ると同時に、卵の光は消え、聖鶏も元に戻る。「コケ!」
「やったぜ!これでオイラも一人前の天使だ!……ん!?あのケムリはなんだよ!?」
森を抜けた男ジャックは、聖遊源の方向から幾筋もの煙が上がっているのを見つけました。
「聖遊源の方角だ…悪魔たちが攻めてくるってウワサだったけど…まさか!」
転がるようにして聖遊源に戻った男ジャックが見たもの。
それはメチャクチャに荒らされて、破壊され尽くした故郷の姿でした。
大地に残る巨大な足跡が、破壊者の強烈さを物語っています。
「こ、こんな… メリー天使!聖岩固さま!みんなどこいっちまったんだよ!」
「て、天子男ジャックさまっツル?」
男ジャックの声に、物陰から恐る恐る顔を出したのはお守りの「豆ツル助」でした。
男ジャックは豆ツル助から、男ジャックが試練に出かけた直後に悪魔が攻めてきたこと、
聖岩固が負傷したこと、メリー天使が行方不明であることなどを聞きました。
男ジャック「ゆ、ゆるさねえ…悪魔ども…!よくもオイラの故郷をメチャクチャにしやがったな…!!
よくもオイラの仲間たちを傷つけやがったな……!」
怒りに燃えた男ジャックは、聖岩固の元へ行くと聖鳥の森での事を話します。
そして、一人旅の許可を得た男ジャックは「悪魔を一匹残らず消滅させる」為の旅へ出発するのでした。
- 「ごめんよ。メリー天使。オイラ、約束をやぶっちまった…オマエを守ってやれなかった…
だから、オイラは悪魔を倒す旅に出るよ。オマエみたいな奴を、これ以上増やさないためにも。」
彼がヤマト王子に出会うのはそれからしばらくしてからの事です…。
-
- <<「男ジャック×メリー天使」…終わり>>
-
-
-
-
-
-
-
(オマケ)
その後。虹層球に特攻する聖O男ジャックの前にメリー天使が現れたら、という設定で妄想。
橙色の光の中を進む男ジャックの耳にハープの音がかすかに響く。
男ジャック「あの曲は…聖者マーチ?…ははは。幻聴が聞こえ出すようじゃ、オイラももうダメかなあ?」
虹層球のO部パ−トを進む男ジャックは、自分が幻聴を聞いた、と思った。
右手はすでに橙色に染まり、うっすらと透明になりつつある。
迫り来る死が、自分に過去の記憶を思い出させているのだと思った。
橙色の光の中、聖者マーチの音色は、より一層強く聞こえてくる。
オマケに、とうとうメリー天使の幻まで見え始めた。
男ジャック「メリー天使…死ぬ前にもう一度だけ会いたかったなぁ。」
メリー天使「また泣き言?体ばっかり大きくなっても、中身は成長してないのね」
男ジャック「うわあ!?メ、メリー天使!???」
幻聴や幻覚ではなかった。
愛馬にまたがった本物のメリー天使が現れ、すぐ傍でハープを奏でていてくれたのだ。
男ジャック「なんで!?どうしてここに!?」
自分が死の光の中を飛んでいることも忘れる程、男ジャックは驚いた。
メリー天使「どうしてじゃないわよ!ずっと探してたんだからね!あー、やっと追いついた!」
メリー天使は、一気にまくしたてると、聖者マーチの演奏に力を込めた。
神曲の音色が虹層球の中に響き渡り、神帝たち-聖O男ジャックに力を与える。
聖O男ジャックは、自分の体に力が戻るのを感じた。いや、前以上のパワーすら感じる。
メリー天使「まったくもう!ちょっと意識不明でねむってるうちに無縁ゾーンだ、神帝だって!生意気よ!男ジャックのクセに!」
男ジャック「生意気って…オマエなあ…。」
メリー天使「オマケになに?死を覚悟で特攻?次界のために?そんなの、そんなのぜったいに許さないからね!」
男ジャック「メリー天使…。」
メリー天使「大丈夫よ!二人の力を合わせればこんな光の一つや二つ!」
O部パートはいよいよ中心部にせまり、その圧力はさらに高まる。
二人の周囲でも、二人を追跡してきた悪魔たちが次々と消滅していく。
メリー天使が奏でるハープの力がなかったら、二人も同じ運命を辿っていたかもしれない。
-
- 男ジャック「ありがとう、メリー天使。おかげでオイラ…最後まで頑張れそうだよ。」
メリー天使「な…なにいってんのよ!しっかりしなさい!」
必死に男ジャックを励ますメリー天使だが、その指先にも限界が見え始めていた。
男ジャック「聖鶏、いまこそ力を貸してくれ!」
男ジャックは、持っていた金のタマゴに理力で働きかける。
するとタマゴは強力な理力のバリアとなり、メリー天使を包みこむ。
メリー天使「あっ!ばか!何のつもりよ!!出しなさい!!」
男ジャック「オイラ、オマエには生きててもらいたいんだ。だから…」
メリー天使「そんなのって勝手よ!ズルイよ!まだ私、なにも助けてないのに!」
男ジャック「そんなことはないよ。オイラはもう何回もオマエに助けられたんだ。
ドンキリ…最後くらいはオイラの言うことを聞いてくれよな?」
ドンキリ「ヒヒーーンッ!」
男ジャック「いけ!ドンキリ!」
ドンキリ「ヒヒィーーンッ!」
パカラッパカラッパカラッ!
ドンキリは、大きくいななくとメリー天使を乗せたまま、虹層球の外に向かって駆け出した。
メリー天使「まって!お願い戻ってドンキリ!ドンキリ!私の言うことを聞いて!ドンキリ!」
ドンキリはメリー天使の言うことには耳を貸さず、一気に虹層球から離脱していく。
男ジャック「メリー天使のことは頼んだぜ…ドンキリ。」
メリー天使のハープの音が消えたため、虹層球の強力な光が再び男ジャックの体を蝕み出す。
だがしかし、もう誰にも男ジャックの前進を止める事は出来なかった。
男ジャックに、もはや未練は無かった。あとは、為すべきことを為すだけである。
天使も悪魔もお守りも、皆が平和に暮らせる世界を作る。
その使命の為に命を燃やし尽くすときが来たのだ。
その日、聖遊源で生まれた若神子はその身を虹へと変えた。
時に聖魔和合の数日前。虹層球での話である。
(オマケ・終わり)
(さらにオマケ・パンゲでの話)
森の大層と、ニンニ王から力を与えられパワーアップしたパン・ダンジャックは、
聖石烈隊のゴアラとパンドンに道案内され、アトランチン中核を目指していた。
ゴアラ「さあ勇気を出し〜 ♪ 目指すはアトランチン〜 ♪」
ダンジャック「なんだその歌?」
パンドン「ゴアラお得意の『ゴアラのマーチ』だパンドン!」
ゴアラ「スモーク膜〜目に染みてーも〜 ♪ なみーだこらえて〜 ♪」
ダンジャック「マーチ…。マーチか…」
パン・ダンジャックの脳裏に映る、少女の姿。
『私も応援しているからね!頑張って!』
少女の笑顔が胸に残る。名前も解らない。
でも、オイラは知っている。知っているんだ。
この戦いが終わったら、次界に戻れたら、彼女を探そう。
そして見つけるんだ。言えなかった言葉を言うために。
(オマケのオマケ・終わり)
妄想小劇場に戻る