「プタゴラトンは何故”聖魔和合”を研究していたのか?」
(おち先生版「スーパービックリマン」第六巻より抜粋/小学館)
はい。上のセリフはシルヴァ・マリアがプタゴラトンを問い詰めたときに出た言葉です。
上のコマのすこし前、悪魔軍と戦った彼女は、そこで天使と悪魔、両方の力をもつ戦士「バイオミュータント」と出会います。
そして以前、プタゴラトンが研究していたのも聖魔の力を融合させること(聖魔和合)であると知っていた彼女は、
プタゴラトンが何らかの形で関係しているのでは無いかと思い、問い詰めたのです。
まあ結局、悪魔軍に聖魔和合技術のデータが渡ったのはプタゴラトンの助手をしていたドクターカノンの仕業だと解ったのですが、
今回注目にしたいのは、そこではありません。
「プタゴラトンが聖魔和合の研究をしていた」と言う点です。
なぜか? やはり、天使の力を利用してより強い悪魔を造る為でしょうか?
いいえ、それはありません。当時のプタゴラトンは、悪魔ヘッドの証であるヘクサゴンも捨てていました。
そして悪魔の魂である「魔魂」の名も捨て去っていたのです。
そんな彼が、いまさら悪魔の為に協力するでしょうか?
わたしが思うに、プタゴラタンが聖魔和合の研究を始めたのは、ずうっと、ずうっと前、スーパービックリマンが始まるよりも、
新ビックリマンが始まるよりも、久遠エリアでの聖魔和合よりも前、
そう、それは表層界が分裂したすこし後にまで遡ると思われます。
前述の「少女ノア」「表層界の友情」で語りましたとおり、聖魔の争いが起こり、表層界が分裂したとき、
魔胎伝ノアは、激しく悲しみました。悪魔であっても、彼女には源層界存心という、天使のような心が宿っていたからです。
そして自らの力で聖魔を一つにまとめ、再び平和な時代を取り戻す為に
全力をかけて悪魔の導き手として「サタンマリア」を、
そして天使の導き手として「卑弥太夫」の双子の娘を産み出したのです。
聖魔それぞれを導いた二人が力を合わせることで、再び聖魔が一つになった世界「ハーモピース」が復活できるはずでした。
しかし、その思惑に気づいたスーパーデビルによって「卑弥太夫」は封印されてしまいます。
スーパーデビルは聖魔に一つになられては、全世界を支配するという、自分の野望の妨げになると考えたからです。
卑弥太夫を人質に取られた形になった魔胎伝ノアは、(天使を産んだことをネタに脅迫された可能性もありますが)
聖魔和合を自分の手で作り出すことは不可能になってしましました。
サタンマリアと卑弥太夫の二人が揃ってはじめて、ノアの聖魔和合は達成されます。
しかしながら天使側の指導者となるべき卑弥太夫が封印されてしまった今、
サタンマリアは「悪魔たちを導く」という使命を果たすために戦いつづけることとなります。
その後、神帝を始めとする多くの天使たちを導いたアンドロココと一つになり、
聖魔和合を為したのも、偶然ではなく、必然であったのではないでしょうか?
脱線しました。ノアの話に戻ります。
さて、聖魔和合に失敗して落胆したノア。そんなノアの無念を晴らすために行動を開始した男がいました。
それが魔魂プタゴラトンです。
彼は、ノアの為に「聖魔和合」を為そうと決意したのです。
それが、旧ビックリマンにおける彼が聖魔和合を研究し始めた理由です。
そして聖魔和合とは天使と悪魔が一つになることである、と考えた彼は、
まず天使の力と悪魔の力の融合という課題に取り込むことになります。
天使が悪魔に、悪魔が天使に自由に変身することが出来るようになれば、聖魔の垣根が取り払えると思ったからです。
もちろんスーパーデビルには「天使の力を吸収できるようになれば今よりもっと悪魔は強くなる」とか
適当な建前を言っておいて資金提供&行動の自由を手に入れます。
さて、彼がまず目をつけたのが、ノアの生み出した悪球悪魔、『悪根鬼』たちです。
彼等は、天使の聖因子をコピ−することにより、理魔力を持った新しい体を作る能力を持っています。
(さらには天使の技を悪魔風にアレンジして使うことも出来る…これを『魔再現』と呼びます)
彼らの理力コピー能力を研究したプタゴラトンは、天使を悪魔に変える方法を発見します。
それこそ、源層界の住人である「創聖使」だけが使えたという「魔洗礼」だったのです。
この辺の妄想は、10弾で魔胎伝ノアと悪根魔が登場し、
11弾でワンダーマリアとゴーストアリババが登場したことから産み出されました。
魔洗礼されたアリババ神帝を発見したワンダーマリアは、彼を『巨魔霊』ゴーストアリババとして配下に加えますが、
この際、ゴーストアリババをいとも容易く操ることが出来た影には、プタゴラトンのサポートがあったのではないか…と思います。
もしくは、悪根魔を研究していたプタゴラトンが、ワンダーマリアによって発見されたゴ−ストアリババを
調べることで、神の技術「魔洗礼」のデータを得ることが出来た、という可能性もあります。
さらにプタゴラトンの研究は進み、次なる魔洗礼の実験台としてヤマト爆神が選ばれます。
天使を悪魔にする魔洗礼が、より強い力をもつ天使ヘッドにも通用するかどうか確かめるためです。
(本当はヘッドロココが良かったのでしょうが、ロココは次界直前でいきなり消滅してしまっていましたからね。)
歴史によると、だいたいこの辺で旧ビックリマンでのプタゴラトンの目立った活躍は終わり、
あとは久遠エリアでワンダーマリア軍として戦っていたという記述が残るだけです。
おそらくは戦死、もしくは魔胎伝ノア、そしてプタゴラトン自身の念願であった真の「聖魔和合」を見届けた後、
悪球エリアかどこかに消えたと思われます。
そして、やがて彼は復活します。スーパービックリマンの世界に。
そこでもまた、彼は聖魔和合についての研究を進めることになりますが、
今回は「平和のため」ではありません。聖魔両方の力をもった強い戦士を作り上げるためです。
何故か?それは聖魔の力をもった戦士たちの力で、真に倒さねばならない敵…超聖神を倒すためです。
漫画版スーパービックリマンにおいて、彼は異聖メディアから超聖水をもらった、と言っています。
それはとりもなおさず彼が異聖メディアに会ったことがあるということに繋がります。
ならばそれは何処で?何故?
おそらくは聖神ナディア・魔胎伝ノアと共に、悪球エリアでだと思われます。
そこで彼は世界を破壊しようとしている存在…巨魔界神ザイクロイドアノドが、超聖神そのものであるということ、
アノドが悪魔に力を与えることで復活しようとしていること、そして今度こそアノドを倒さねばならないということを知らされたのだと思います。
そしてその為には古の聖戦士4人の生まれ変わりであるフェニックス・ティキ・マリア・アスカの力だけでなく、
その他の力…アノド同様「聖魔の力」を持ちえた戦士が必要であると知るのです。
本来なら、聖魔和合の申し子であるマルコがいればそれで良いのですが、残念ながらマルコはスーパービックリマンには
登場できませんでした。その辺の謎はいずれ別の機会に語るとして、マルコがいない以上、聖魔和合の戦士は存在しません。
そこでプタゴラトンは、以前(旧ビックリマン時代)から研究していた「天使と悪魔の合体技術」の研究を再開し、
聖魔両方の力をもった存在を生み出そうとしていたのだと私は思います。
そしてその結果、生まれたのがリトルミノスであり、サラジンであり、ドリーメイジャスなのだと思います。
「なぜ、最強の悪魔に天使の心が残っている?殺し合いをするなら、血に餓えた狂戦士でいい。
俺たちは、聖魔の力をもつ本当の意味を、まだ解っていないのかも知れん…」