チェーホフの「かもめ」を上演している劇場の楽屋で二人の女優が舞台メイクを続けている。 そこに主演女優のプロンプターだった若い女優が現われ、「かもめ」の台詞を語り始める。 やがて主演女優が戻ってくると、なんと「主役を返せ」と言い始めた。 |
![]() わたしは……かもめ。いいえ、そうじゃない、・・・ | ![]() 今夜のところは、お見逃しおたのんもうしてえ。 |
![]() ねえ、湖の向うに、家と庭がみえるでしょう。 | ![]() 海に棲むヒトデも、人の眼に見えなかった微生物も…… |
![]() まくらとニーナの役を交換しろっていうの! | ![]() しっかりして。 あたし……健康ですから。 |
![]() あなた、さぞわたしを憎んでらっしゃるでしょうね、 | ![]() 今晩は。 見、見えるの、あたしたちが。 |
![]() さあ、乾杯しましょう。あたしたちの長い長い夜のために。 | ![]() 音楽はあんなに楽しそうに鳴っている、 |
![]() それがわかったらねえ、それがわかったら…… | ![]() ありがとうございました! |
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