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ビリヤード・プルプル
リニューアルオープンドキュメント
1997/7/31プルプルオープン前夜

 私事で恐縮ですがスガイビルB2ビリヤードプルプルは2000年8月1日を持ち3周年を迎えます。 みなさんは3年前は 球を撞いていましたか?撞いていた方、いない方それぞれだと思います。97年といえば日本がフランスワールドカップに行けるか否かと日本中が沸い ていた頃でした。

 私が現職に着任したのは95年12月、当時のプルプルは 二昔前のカラオケBOX14室、 ビリヤード13台でした。ビリヤードと いっても内10台が8フィート台、2台ガリオン、1台は なんと四つ球でした。幸いにビリヤードは94年夏ごろから徐々に営業的に 上向きになりカラオケはどん底にあえいでいるさなかでした。とりあえず私 の得意分野はこれしかない為四つ球には引退 して頂きブランズウイックと 入れ替えを行いこれで9フィートテーブルは3台とし当時の私の相棒 「 M」と日々営業を続け来るべきカラオケ撤去、全面ビリヤードを目指し図面 を引く毎日が続きました。

  皆さんは台単価と言う言葉をご存知でしょうか?1日の売上をテーブル台 数で割った数字です。 当時@7000円前後有りましたがここで大問題に直面しました。それはカ ラオケ14室撤去し 空いたスペースにテーブルを配置してもこの数字を維 持できるかと言うことです。維持できなければ大改装する意味が無いので す。企業は意味の無いことには投資しません。空いたスペースに配置出来る テーブル数は「10」現状が13、合わせて23ですから倍になっていない のにカラオケ分の売上を確保しなければ無く、最低2倍の売上が必要と試算 されました。

 さあこれから上を説得しなければなりません。同じビルの5階 にもカラオケがあり同ビルにカラオケ2つも必要かは顧客からみて不自然な のは明白ですが、ビリヤード単一フロア現段階で 台単価@7000円以上 を確保できるかの一点に絞られました。 それで当時の相棒Mと知恵を絞り、今までのカーペット、蛍光灯照明等 のスガイ(もうばればれ?)的な造りを捨て女の子を呼べる店作りに転換を 図りました。床は茶のフローリング様式、照明は全体的にやや暗めにし黄色 気味にし温かみをだし、お酒もグラスで出すようにする。ボールは全てブラ ンズウイックとし常連による球の取り合いをなくす。「花台」も無くす。花台に関しては 最後までその存在について議論しましたが結局無くしまし た。この件については次回書き込みします。台単価維持の説明も結局明確に 答えられないまま(稟議がとおらない場合二人で土下座も考えた・・マジ で・・しなくて済んだが)そしていよいよ97/7/8工事着工、、  またまた問題発生!! 

 97年7月8日に 工事着工となりましたがその日を前後に問題が発生しました。まず一つ、同 月25日にスガイコトニのグランドオープンが控えていました。当時会社上 げての大プロジェクト(?)年商10億をなんて息巻いてました。(ウソば っかり)我々の年商はせいぜい7〜8千万円を見込んでいましたから鼻から 相手にされていません。我々の稟議も後回し続きで当時コトニチームと我々 は同室の準備室にいましたが、お偉方の来る用件はコトニがほとんどで「あ れっ、お前らもここか?」なんていわれる始末でありました。我々のオープ ンは予定日は8月1日、こっちだって時間が無い早く稟議を回さんかい!と 内心 不満だらけの中で追い討ちをかける事態が起こりました。工事予算の削減、、これが二つ目です。  「今時、ビリヤードに掛ける金など無い!!」が当時の専務の言い分であ り、私の直上司は大抵の会社でも有るようにエレベーター式に私にそう伝え 以下の四つを受け入れろと命じました。

4つの条件
  1. フローリング床を止め従来のカーペットにせよ 
  2. 厨房設備を止め自販機によるドリンク販売にせよ
  3. 壁を一周するカウンターを計画から外せ 
  4. 4500万の工事予算を3500万に切り詰めろ

84
「Bに関しては受け入れますが@、Aに関しては店の雰囲気造りへの影響 は大きく、まして自販機では売上増は見込めないし利益も少ないので受 け入れられない」   
上司 
「お前、テーブル数が10台増えて台単価@7000円維持が本当に出来るのか?仮に確保出来てもそれじゃ廃止するカラオケ14室分の売上すら確保するのが難しいだろ?」
84
「現行のスガイのビリヤードスタイルではもう限界なのは明らかでしょ う。ここは立地性を生かしどこもやってないプールバースタイルにする ほうが絶対上がる!台単価だって10000円 はくだらない」 と大見得を切る、、、言っちゃった、、 
上司 
「、、、分かった@とAはそのままで行く、これから台単価7000円 から10000円まで500円刻みで月間の純利益の試算をしろ、これで説得する。ただし 上がらない場合は相当の風当たりだぞ。」 

以上のようなやり取りを経て早速試算をまとめ今度は社長、専務、上司、私 を含めての四者会談である。

社長 
「84君、どうしてテーブルが増えて単価が上がるか明確に説明してく れたまえ」 冷たげに、
84
「・・・・・・・・・・・・・・  」
上司
「えーっつ、春に行った出張をもとにプールバースタイルが集客に効果がある事をふまえて図面を引きました(汗)」
社長
「、、、、」 専務「今時にビリヤードがはやるのか?」 
84
「内心:じゃあまだあの変なカラオケやれってーのか?」 
社長
「、、資料通に行くのであればやりなさい。ただし失敗した場合はそれ なりの責任を覚悟するように」 


-----とほとんど恫喝まがいの了解を得やっとGOサインが出たわけであります。 余談ですが3500万 の工事費はその半分がトイレ、厨房、スプリンクラー、電気設備に使われる 為実際には1200万 位しか使えません。さあ、工事が始まり追加テーブル10台が旭川から搬入 され急ピッチで進み、 いよいよ1997年8月1日(金)を迎えることになりました。

オープンは AM10:00。

1997/8/1  プルプルオープン さらば花台

  売上分析、試算、予想がある程度つき、8月度で1日平均250名の来場がないと削ったカラオケの売上を確保しそれ以上の利益を出せないと言う結 論に達しました。この数字は私と相棒「M」の両肩に重くのしかかりまし た。それまでの13台時代では土曜日で120〜130人位です。当時の客単価(1日の売上をその日の来場者で割った数)は@750〜800、、こ れにはこれから導入予定の飲食売上が入っていないため、ある程度は伸びる ことが予想されたがとにかく平均来場数と客単価がどこまで伸びるか不安で した。 それともう一つの問題、「常連」対策。暇な時から来て下さった方々です が改装後は一般客95%、常連5%、、の構成になるのは明らかであり、 またそうならなければ売上目標は達成されません。図面引きの当初は受付前 に3台の花台を置き間隔も広く取るよう線を引いていましたが徐々に試算を 重ねるうちにそうはいかなくなってきました。日にちも押してきたある日 「M」とこんなやり取りがありました。 

M:
「花台どうしまひょ(実は彼、関西系なのである) 
84:
「残したいが迷っている」
M:
「受付前に置くと業務的に弊害が出ますよ」
84:
「そうだな、スタッフと話すし、スタッフだって常連さんとは知らん顔はできんわな」
M:
「受付の中にだって平気で入ってくる事も予想されますよ。どこかで内 と外をはっきりしないと一般客にも悪影響ですよ」
84:
「、、、」
M:
「常連さんの中には勿論いい人だって沢山いる、でも中にはどうしても 特別扱いを望む者もいます。ほんの一部の人のためにシステムを崩す わけにはいきまへん。それに第一受付けスタッフと前のテーブルでだべりまくって一般客はひいてしまいますがな」
84:
「それじゃあ、ブランズウィック11台(当時、00’8月現在19 台)全部花台にしよう。もちろん一般客が入っても、常連が入って も同じ条件の環境に近づけ、どこに入っても花台で撞いている感覚にしよう。それと受付け前1列は8フィート台 3台を入れて常連さんとの距離を保とう」
M:
「それでいきまひょか」 

 加えて申し上げますが、この「M」という男、全く私と正反対で二人でアク セルとブレーキの役を 交互にしてたもんです。実際彼がいなければリニューアルは出来なかったです。  

前日22:00までには作業を 終え、最初で最後の?スタッフ全員での飯を食べ眠れぬ夜を過ごした暑い夏の日でした。

 いよいよ8月1日(金)AM10:00オープン(今、思うとそんなに早 い時間にオープンさせることはなかった、、

時間帯:テーブル稼動推移

10:00〜12:00 一桁の稼動 

12:00〜14:00 10台くらい 

14:00〜16:00 15〜18台 

ときに17:30、、、初の待ち時間発生!!

その後も順調に待ちになったりならなかったりを続け、いよいよ明けて午前 4時レジ締め。 初日の売上、約301,000円、台単価@13,000円、客単価@1, 000円 翌日土曜日、330,000円(この際隠しても賢明なるたまビリの読者の 皆さんはおわかりのため書いてしまいます、汗)この二日間を終え、ここに いたる1年半の苦労?が全て飛んでいき、これまで我々のやり方に批判的だ った社内保守派にギャフンと言わせ(死語?)すっきりしたのでありまし た。

番外編ビリヤードというお仕事

 今回はビリヤード場からの視点からビリヤードを見てみましょう、ちょっとシビアな内容が含まれますが平にご容赦を、、、、

 みなさんはビリヤード場って儲かると思いますか?売上に対する利益率は30〜40%が平均だと思います。これって他の遊戯業に比べて格段に高い数字です。仮に月の売上が300万あれば従業員の給料、水道光熱費、その他の経費全部払っても90万から120万残るわけです、流行れば結構儲かります。ただ、最初の「箱(店)づくり」と「テーブル」等の購入に大きな経費が掛かりますがランニングコストはそれほど掛からないため立地条件(これが全てではない)が整えばビジネスとして成り立ちます。ゲーム台とチョット飲んで1000円使ったら、300円少々店に落ちると考えれば分かりやすいでしょう。

 それでは客単価を1000円として1日10万売上を立てるのには100名の来場が必要です。100名のお客さんに来てもらうためにはどんな来場構成が必要でしょうか?賢明なるたまビリの読者の皆さんはお分かりでしょうが90%が一見のお客さんでなければ成り立ちません。そうです、すくい上げのジャンプショットや背中にキューを回して撞いたり、女の子の前で慣れないマッセを連発する、両足は床から離れて撞く、カラーボールを撞く、くわえタバコで撞く、などアベレージプレイヤーからは眼も当てられない行為をする方々が一番お金を使ってくれる現実があります。私がかつての相棒とプルプルを造ったとき上記のような行為に関しては多少のことは大めに見ることにしました。なぜか?男は女の前で、ええかっこしーしたいのは古来からの事であり、それで「今日は楽しかった」と思っていただき「また今度来ようね!かっこよかったよ」で丸く収まればそれで良し、としたかったからです。お客さんに対しても上記のような行為をした場合でも一昔前は犯人扱いでしたが、お客の顔を立て、「そのような行為をされますと危ないですよ」程度にとどめることにしました。 

 さあこうなると残り10%のアベレージプレイヤー(いわゆる常連)の対応が大変です。上手くなればなるほど静かな環境を求めるのが常だからです。かと言って我々にしてみると同じ料金を頂いている以上お客さん同士での差はありません。(この差を設けると必ずトラブリます)対応としては撞きたい場所を選んでいただくとか、ボールは全部ブランズウィックにするとか、なるべく同じテーブル環境を造る、伝票を預かる程度位でしょう。
 常連さんは特別扱いを求めます。そしてスタッフはそうしがちです。(若ければ若いほど、、)こうなると平気でフロント内に入り込んだり、不遜な行動が多くなりますがこれは店側の姿勢の責任でもあり、お客とスタッフは球を撞くと言う世界は一緒でも一本の線は引かなければなりません。でないと伝票の遅切りや1時間で切って後はただ撞きなんてことは日常茶飯事になりかねないからです。私はこの件に関しては内のスタッフには口を酸っぱくして言っています。あともう一つ言っていることはお客との相撞きの際は「早く撞け」です。お客様は時間を買ってるわけであり 難球はいざしらずイージーさえもノロノロ撞いていては失礼だからです。  さてみなさん、店側にとって一番面倒なタイプのお客はどんな方だと思いますか?それは次回に続きます。


このコンテンツは、84さんからご提供頂きました。
BBSたまビリへの投稿をもとに編集、加筆した文章です。(KAN)