女性狩猟者の組織が続々と誕生している。組織化することで野生鳥獣の肉(ジビエ)専門店の立ち上げや、革細工のブランド化を実現。男性社会の狩猟業界で、狩りをするだけでなく加工・販売まで手掛け、利活用を広めようと奮闘する。(高内杏奈)
商品開発 ジビエ店も
「低カロリー、高タンパク質の文字をパッケージに入れようよ」。昨年12月下旬、石川県穴水町で「全国狩女(かりじょ)の会」が、イノシシと鹿の肉を使ったレトルトカレーの開発会議を開いた。メンバーは、同県内と千葉県の女性狩猟者5人だ。
会は同町の狩猟者、福岡富士子さん(48)が2017年に立ち上げた。全国の女性狩猟者を訪問して知り合った仲間の他、インターネット交流サイト(SNS)を通じてつながった49人で構成する。
カレーは、県内の障害者福祉施設を運営する「生きがい工房」に肉を提供し、製造を委託。施設内のカフェでジビエカレーとして販売している。工房の奥田和也社長は「鉄分が豊富、肌に良いなど、美容の面から女性に提案してくれる。私たちでは思い付かなかった」と評価する。
18年10月には飲食店と提携し、同県七尾市の解体施設の隣にイノシシ料理専門店「狩女の里」をオープン。メンバーが解体したイノシシの肉を卸し、ぼたん鍋、しゃぶしゃぶなどジビエ料理のメニューを考案している。
「女は引っ込んでろ」という男性からの言葉が同会発足のきっかけだ。福岡さんは狩りに行きたいと手を挙げても認められず、地元の猟師に受け入れてほしいとひざまずいた。「悔しくて、何なんだよと叫んだこともあったが、男性が狩猟の歴史を築いてきたことは事実。どうしたら壁を崩せるか葛藤していた」と振り返る。「イノシシが撃たれ、解体され、調理される。いただきますの意味を改めて考えさせられた。命を生み出す女性だからこそ、命を無駄にしたくない」と利活用に燃える。
和歌山県猟友会は18年10月、会員の要望を受け女性部を立ち上げた。20~50代の約10人で構成。今年から本格的に始動する。イノシシと鹿の皮を使ったアクセサリーやジビエ料理で、有害鳥獣の活用を呼び掛ける予定だ。猟友会は「女性の活動により、狩猟を身近なものに感じてほしい」と期待する。14年には大阪府、16年には大分県でも女性組織が誕生している。…
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2019/1/9 日本農業新聞