イノシシが東北地方で生息域を広げている。「絶滅」と判断されてきた北東北でも目撃件数が増え、農作物被害も出ている。イノシシ対策はこれまで、被害が多かった西日本で重点的に実施されてきたが、専門家は「このままでは東日本でも甚大な被害が出かねない」と警告する。亥(い)年(どし)の年頭、「イノシシの北上」を考えた。
「我々にとってはまったく新しい動物で専門家もいない。今のうちに対策をしなければ被害が大きくなってしまう」。長年、イノシシの「空白地域」だった秋田県の自然保護課の担当者は危機感をあらわにする。
環境省によると、1978年の調査では宮城県南部が生息域の北限。当時は30センチ以上の積雪が70日以上続く地域や、森林面積が40%以下の地域では生息が確認されず、北陸や北東北などにはいなかったという。しかし、2014年調査では北陸などでも確認され、分布域は1.7倍に拡大していた。40年以上イノシシを研究する農業・食品産業技術総合研究機構の仲谷淳専門員は「雪深いと動きにくくはなるが、豪雪・寒冷地帯で生きられないわけではない」と話す。78年時点ではたまたまいなかっただけのようだ。
山形県は03年発行の「レッドデータブックやまがた」で「絶滅」に区分したが、02年1月に天童市内で1頭捕獲されて以降、目撃・捕獲数が増加。17年度時点で、県内に3200頭(推定)生息しているという。
秋田県では、12年2月に県南部の湯沢市内で初めて目撃された。17年度の目撃は43件だったが、今年度は1月21日までに69件。目撃現場も北上しており、「7~8頭の親子連れの目撃情報もあり、すでに定着していると考えられる」(同県自然保護課)。さらに北の青森県でも、南部の深浦町で17年8月に初めて確認された。同県自然保護課によると、今年度は目撃情報が12月までに13件に上る。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190131-00000008-mai-env 2019/1/31 毎日新聞
いないはずの野生イノシシ 田子、大鰐に 青森
青森県で絶滅扱いとされている野生のイノシシが2018年に田子町と大鰐町で相次いで撮影されたことが21日、分かった。
県にはこれまでもイノシシの目撃情報が寄せられているが、県によると、個体が撮影されたのは17年8月の深浦町の事例のみ。
繁殖力が高いイノシシは農作物を荒らしたり、人に危害を加えるおそれがあるため、県は将来的な捕獲を視野に、イノシシの管理対策を盛り込んだ第2種特定鳥獣管理計画の策定を検討している。
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https://www.toonippo.co.jp/articles/-/142269 2019/1/22 東奥日報社