猛禽類の減少 科学的裏付けある対策を

 科学的な裏付けのある保護対策を早急に始めなくてはならない。
 ワシやタカ、フクロウの猛禽(もうきん)類だ。世界各地の500種のうち、18%が絶滅の危機にひんしていることが分かった。
 国際的な鳥類保護団体バードライフ・インターナショナル(本部・英国)などの研究グループの調査である。国内でも調査対象となった34種のうち14種で数が減っている。中には北海道に生息するシマフクロウなど3種の絶滅危惧種も含まれている。
 猛禽類は生態系でトップに位置することも多い。数が減れば全体に悪影響が出る。
 減少の原因は生息地の破壊や捕獲など、さまざまとされる。小手先の対策では効果は限定されるだろう。詳細に原因を分析して、思い切った対策をとるべきだ。
 調査では、数が減る傾向にあるのは全体の52%、292種に上る。絶滅の恐れがある種が18%103種となっている。増加傾向は9%、49種にとどまった。
 国内ではサシバやチョウゲンボウ、チゴハヤブサなどの減少が確認された。絶滅危惧種はシマフクロウのほか、オオワシとカタシロワシである。
 チョウゲンボウは、県内では中野市の十三崖が集団営巣地として国天然記念物に指定されている。ここでも草木の繁殖や主食とするハタネズミの減少を主な原因として営巣数の減少が続いている。
 市教育委員会によると、1950年ごろには20ほどあった営巣数は一昨年、昨年と連続して一つしか確認されなかった。
 市教委は生息環境を改善するため、崖の整備に取り組んでいる。新たな巣穴を掘るほか、既存の巣穴の周囲の植物を除去する。効果が出るまで数年かかる見込みだ。地道な取り組みが今後も必要になるだろう。

 オオワシは鉛中毒や風力発電の風車への激突で死ぬケースが増えているという。
 鉛中毒は、体内に狩猟の鉛弾が残ったシカの死骸を食べて発生する。オオワシだけでなく、絶滅危惧種のイヌワシやクマタカでも同じ被害が起きている。
 北海道では大型獣の狩猟で鉛弾の使用や所持が禁止されている。それでも被害は減らない。本州のハンターが持ち込んでいるとみられる。代替品の普及も始まっている。鉛弾の使用を全国的に禁止することも検討する必要がある。
 風力発電も環境影響評価などで、衝突を回避する対策をより強く求めていくべきだ。
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2019/1/22 信毎web

2019年02月07日