書籍:「みかんとひよどり」 近藤史恵 著

ジビエをテーマにした、ふたりの男の友情物語。『みかんとひよどり』

 自宅マンションの庭の木にやってきてはピーピー、ヒヨヒヨと愛らしい声で鳴く。ヒヨドリは野菜や果樹を食い荒らす害鳥として嫌われる向きもあるが、私にとっては癒しを与えてくれるかわいい野鳥だ。
 けれどジビエとしておいしく味わうことができるなんて、本書『みかんとひよどり』を読むまではまったく知らなかった。
 主人公はパリの最高級グランメゾンで修業した経験を持ちながらも、帰国後は成功とは程遠い挫折の日々を送っている料理人の亮二。「好きなジビエが食べられる店を出したい」と熱望するオーナー・澤山柊子に誘われ、京都・洛北にあるフレンチレストラン「レストラン・マレー」のシェフになった。自分らしいジビエ料理を作りたいが、材料の確保がままならない。そんな中、二代前から猟師という大高との出会いを得て、彼はますますジビエに魅せられていく。
 ジビエとは、狩猟によって食材として捕獲された野生の鳥獣のこと。「夏の猪」「ヤマシギのロースト」「小鴨のソテー サルミソース」「鹿レバーの赤ワイン醬油漬け」など、章タイトルからもわかるように、本書では、猪や鹿、鴨やヤマシギなどの肉を使った料理が登場する。それぞれの狩猟方法や肉の特徴なども描かれていてジビエ初心者にもわかりやすい。… 詳細はリンク先へ …

https://kadobun.jp/reviews/633/93f3bb03
2019/2/25 カドブン

2019年03月06日