県内で特定外来生物「クリハラリス」(タイワンリス)の生息域が拡大しているとして、日本哺乳(ほにゅう)類学会は二十八日、現状把握と駆除を急ぐよう求める要望書を県に提出した。
学会によると、クリハラリスは台湾や東南アジアに生息し、日本にはペットとして一九三〇年代に持ち込まれた。逃げ出した個体が野生化し、現在は関東から九州の山林に生息。在来種のニホンリスの繁殖に悪影響を及ぼすほか、農作物の食害、樹木をかじる林業被害が懸念されている。
県内では五〇年代に鎌倉市と藤沢市で野生のクリハラリスが初めて確認され、二〇〇〇年代に横浜市南部や横須賀市などに生息域が拡大。市町が独自に捕獲し昨年度は計四千二百匹を駆除したが、同年に横浜市北部でも確認されるなど生息域は拡大し続けている。
学会の担当者は「神奈川には十万匹近く生息している。事態の改善のために県が積極的に対策に乗り出すべきだ」と話し、県は「関係市町の担当者を集めた検討委員会をつくり、対策を考えたい」とした。(志村彰太
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000029310.html 2019/1/29 東京新聞
野生化した外来「リス」、果物も電話線もかじる 静岡
野生化した外来種タイワンリスの生息域が浜松市で拡大し、庭木の果物や樹皮をかじられる被害が出ている。農作物や林業への被害、在来のニホンリスへの影響も懸念される。市は被害対策を学ぶシンポジウムを開催するなど啓発に乗り出した。タイワンリスは台湾や東南アジアが原産で、国内に持ち込まれ、逃げ出すなどして野生化したとみられる。
静岡県にも生息域を広げ、県によると、伊東市から下田市にかけては、かんきつ類の食害やシイタケのほだ木がかじられるほか、電話線がかじられる被害が起きている。
浜松市では森林づたいに生息域を広げ、現在は北区を北限に計約1万匹が生息していると市は推計する。庭のミカンや柿をかじられたり、樹皮がはがされたりといった被害が報告されている。今後、全国ブランドの「三ヶ日みかん」や、スギやヒノキの「天竜美林」への被害が心配される。ニホンリスの餌を奪い、生息域を脅かす恐れもある。
市では「姿が愛らしく、住民が餌を与えたことで増殖につながったのではないか」とみる。そこで森林総合研究所多摩森林科学園(東京都)と共催で2月2日、タイワンリスの被害や対策を専門家らが説明する一般向けシンポジウムを浜松市中区中央の市地域情報センターで開く。
市環境政策課の担当者は「問題を放置すれば取り返しのつかない状況になる。かわいいだけでは済まされない」と話し、参加を呼びかけている。
https://www.yomiuri.co.jp/eco/20190129-OYT1T50031.html 2019/1/29 読売新聞