恋を追っていた頃
とにかく一目惚れだった。
そんなことはじめてだった。
好きで好きで、毎日追いかけてた。
一緒にいられるだけで幸せだった。
なんとか思いを伝えようとした。
伝えたかった。
もう回りの人には打ち明けまくってたから、
今更私が打ち明けなくても、彼は私の気持ちをしってた。
デートも付き合ってくれた。
好きです・・好きです・・・もうどうしようもないくらい。
何度泣いてそう訴えたことだろう。
知ってた。わかってた。
彼が私を一人の後輩としてしか見ることができないことは。
それでも、気持ち止められなかった。
手を伸ばしても届かない人。
なのに、私にもう充分に優しくしてくれる人。
私の気持ちわかってて、
応えることできなくて、
でもそれをすべて承知の上で彼はとても優しかった。
それが辛かった、やっぱり私としては。
コンパがあるたびに、私は泣いてた。
なんだか泣けた。
すこし離れたところで、笑ってる彼を見て、涙がでた。
そんな私の隣に、気づけばいつも同じ人が座ってた。
いつも私が泣くのを、そっと許してくれた。
見守ってくれてた。
自然といつも、その人に相談した。
相談にのってくれた。
泣きながら訴える私の話を、いつも黙ってきいてくれた。
決定的にふられて、その後。
それでも心の整理がつかずに、相変わらず泣いてた私。
相変わらず話きいてくれてたその人。
その人が突然言った。
「俺じゃだめなのか」
その人にとっては、少しも突然ではなかったんだ。
あとでほかのたくさんの先輩に聞かされた。
「あいつ、おまえのこと好きなんだ。」
私にはあまりに突然のことだった。
いや、わたしがあまりにも鈍感だったのか。
少し考えたら気づくはずのことだったのかもしれない。
でもその頃の私には他の人のこと見る余裕なくて、
だから全然気づかなかった。
「ずっと好きだったんだ、初めて会ったときから。」
まだ恋の経験なんて少なかった私は、
その告白にかなり混乱した。
黙って話きいてくれたことも、
たくさんの涙を許してくれたことも、
そうか、そうだったのか・・・。
一体どんな気持ちで彼は私の話を、涙を見ていたんだろう・・。
でも結局、そうだったんですか・・・で、
気持ちがその人にいった、ということはなく、
私は例の先輩に振られ、
その人を振った形になってしまった。
卒業して、何年もたってから
それぞれの人にOB会かなにかで会うことがあった。
例の先輩は、相変わらず素敵だった。
もうひとりの人は、結婚して、当時一人目を妊娠中だった私に、
「幸せそうだね。」と言った。
それっきりもうまた何年もあってないけど。
それからかな、
私のたくさんの恋がはじまったのは。
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