無題1-03
部屋へ戻った和樹は長い出張生活の疲れからか、
すぐにも眠ってしまいたい気分だった。
だが、出張中の身の上でメッセンジャーをONにしないと
裕子に何を言われるかわからない。
やってもいない浮気を疑われるのも嫌なので、
メッセンジャーに繋いだ。
まだ、裕子はONにしていないようだった。
よっぽどオフラインメッセージだけを送って寝ようかと思ったが、
30分だけでも待つ事にした。
コーヒーを淹れてぼおっと待っていると、
keiからメッセージが来た。
『こん♪久しぶりね』
keiは27才のやはりチャット友達だった。
『お。久しぶりだね』
『ほんとよお。何してたの?』
『何って仕事だよ』
『忙しかったんだ?』
『忙しいというか、この一ヶ月ずっと出張してたんだよ。あちこち。』
『ほんとにー?女巡りの旅してたんじゃないでしょうね?』
『(ーー;)何言ってんだよ・・・』
『だって、和樹もてるでしょう?』
『もててないって(^_^;)ほんとに出張だったんだよ』
『じゃあ。もう帰って来たんだ?』
『いや。今日で最後だから、まだホテル』
『そうなんだ?どこなの?』
和樹は地方都市の名を告げた。
『え?そこってsakiのいるとこじゃない。引っ張り込んでるんじゃないのお?』
『(^_^;)まだ言うか。確かに会ったけど、コーヒー一杯飲んで帰ったよ。』
『あやしー(;¬_¬)』
『(笑)何もないって。大体あいつには彼氏いるじゃん』
『じゃあ。あたしとも会って♪』
『んー。そっちに行く用事は今のとこないしなあ』
『じゃあ。用事作って♪』
『(^_^;)そんなに簡単に用事なんて作れないよ』
『冷たいなあ・・・』
裕子からメッセージが来た。俺はkeiとの話を打ち切る事にした。
『ごめん。疲れててさ。今日はもう寝るよ』
『そっか。。。うん!いいよ。おやすみ(^O^)』
『うん。おやすみ』
keiとの話を打ち切った俺は裕子にメッセージを送った。
『コンバンワァッ ヾ(≧∇≦)〃 ゆうこ』
『遅かったわねえ。返事』
『いや・・・ちょっと・・・』
『誰かと話してたんでしょ?』
『まあね』
『誰と話してるの?』
『いや、もう切ったけどさ。keiだよ。』
『へ〜〜〜〜〜〜〜〜』
『(^_^;)別になんでもないぞお』
『だってあの子なんか和樹の事好きみたいじゃん』
『そんな事はないよ』
『あるわよ。だってあの子そういう態度だったわよお。
この間チャットで見た時』
『もうやめようよ。こんな話さあ。せっかく話してるのに』
『そうね。切ったのなら、許してあげる。
今週は会えるかなあ?』
『うん、大丈夫。行くよ。久しぶりだしね』
『(*^o^*)』
『ほんと、最後に会ったのは出張前だから1ヶ月半ぶりかな?』
『そおよお。でもいいの♪今週会えるんだし』
『そうだね(^O^)あ。悪いんだけどさ』
『なに?』
『今日は眠いからもう寝たいんだけど・・・』
『keiと話すんじゃないでしょうね?』
『(^_^;)違うよ。ほんとだってば』
『まあ。いいわ。信じてあげる。おやすみ♪』
『うん。おやすみ♪』
あの様子だとやっぱり今日ONにしないと危なかったな・・・
和樹はそう思いながら眠りについた。
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