無題3-03
ぼくは明夫くんの家によく遊びに行ってたんだ。
明夫くんの家はぼくの家から15分くらい歩くので
よく遊びに行ってた。
明夫くんの家の裏には小さな山があるんだ。
きのう、あきおくんとあの山に登ってみようよ。
って約束した。
なんとなく冒険するみたいでどきどきしてる。
遠足のリュックにあんぱんとジュースを入れて、
ぼくは明夫くんの家に行った。
明夫くんは何も持ってなかった。
”ぼく、あんぱんとジュース持ってきちゃった。おなかすくといけないし”
”ぼくはいいや”
そう明夫くんは言うけど、
ぼくはいつもおじいさんに
人に見せて自分だけ食べちゃだめって言われてた。
”じゃあ、半分こしようよ!”
”ほんと?ありがとう(^O^)”
明夫君はとってもうれしそうだった。
ぼくたちは出発した。明夫くんの家の裏のたんぼの細い道を歩いて行った。
山に入るちょっと前に沼に着いた。
明夫くんは、
”昔、ここで子供がおぼれて死んだんだって”
”どしゃくずれっていうのがあってつぶれてめだま飛び出てたんだって”
”そんなこというなよおおおお”
こわくなったぼくは走って沼のところから逃げた。
よく考えたらおぼれしんだりつぶされたり、って
なんかめちゃくちゃな話だけど、ぼくはとてもこわかった。
山の中は空が木の間からちょっと見えるだけで
ちょっとくらかった。
明夫くんとぼくは好きな女の子の話とかしながら
のぼっていった。
明夫くんはずるいんだよなあ。
ぼくが話したら話すって言っておいて、
自分は言わないんだもん。
”ねえ、ちょうじょう行ったら海見えるかなあ?”
”きっと見えるよ!”
道なんかない山の中をとにかく上に向ってぼくたちはのぼった。
たくさんたくさん歩いて、やっとちょうじょうについた。
海は見えなかった。
でも、ぼくたちの学校と、明夫くんの家とぼくの家は見えた。
”ぼくたちの家ってあんなにはなれてるんだね”
ほんとにふしぎだった。
あんなにはなれてるのにいっしょに見れるなんて。
ぼくはやくそくどおりあんぱんをはんぶんにして、
ジュースはかわりばんこに飲んだ。
たおれてる木に座って、ふたりで食べたあんぱんはとてもおいしかった。
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