松田昌音楽生活30周年記念全国縦断コンサート
2004/1/12 atイズミティ21大ホール


1.ユー・アー・マイ・サンシャイン(ピアニカ)
2.アンダルシア
3.春待人
4.旅芸人
5.ぼくのゆめ・わたしのゆめ
6.オーロラ
7.即興演奏
8.佐山雅弘さんピアノソロ
9.ブルーゼット(ピアニカ)
10.30周年メドレー
11.ロンドン橋のロンド
12.道
(アンコール)
ニューヨーク・パッション・ストリート
(曲名不明、3拍子のしっとりした曲・ピアニカ)

松田昌さんといえば、学生時代に沢山アレンジ譜とオリジナル曲を練習して、大きく影響を受けた存在です。
当時はフルベースのエレクトーンを練習するチャンスがなかったこともあり、弾けなかった苦い思い出もある「ニューヨーク・パッション・ストリート」、発表会で弾いた「バーニング」、ジャズを弾く楽しさを教えてくれた一連のジャズ・アレンジ譜。
コンサートはおそらく5回ほど行ったかと思いますが、最後に行ったのは多分10年ほど前ということで、久しぶりに味わう昌さんのコンサート。
ピアノは、一度は演奏を聴いてみたいと思っていたジャズ・ピアニストの佐山雅弘さんということで、とても楽しみにしていました。

意表をついて客席通路から現れた昌さん。ピアニカで「メリーさんの羊」を楽しそうに吹きながら歩き、子供の前では立ち止まってアドリブ。幕が開いてまたびっくり。ステージには100人ぐらいのピアニカを持った子供たち!彼らと昌さん・佐山さんによる「ユー・アー・マイ・サンシャイン」でコンサートは始まりました。
子供たちに向ける意味あいも強いコンサートなのだな、と感じました。実際、ピアニカ隊の子供たちは演奏後、ステージすぐ前に座り、その後も昌さんは彼らに語りかけるようにコンサートを進めていた、という印象を受けました。
賑やかムードで始まったコンサート、2曲目の「アンダルシア」はスペインをイメージした曲とのことで、チック・コリアの「スペイン」や「ラ・フィエスタ」を思わせる情熱的でドキドキするような展開。スペイン調の曲にヨワイ私としては、これは自分でも弾いてみたいと思いました。
阪神大震災にあった時の人々の助け合う様子にメロディが浮かんできたという「春待人」は美しくも優しいサウンドにホロリ。ミュージシャンは一年中旅が多く喜怒哀楽を旅と共に・・・という「旅芸人」には、ちょっと昔にチンドン屋が田舎町で演奏しているような、どこかなつかしく哀愁に満ちた映像が浮かんできました。「オーロラ」も、写真家の方のオーロラの映像と共に味わうと一層イメージが膨らみます。

「即興演奏」と聞くと、自由にのびのびとイメージを膨らませて・・・と分かっちゃいるのですが、やっぱりどうしても身構えてしまいます。長年プレイヤーとして大活躍している方の即興はどんな感じなのか?今回始まる前からとても気になっていました。
客席の子供たちと昌さんがジャンケンをして、勝った子供の名前(フルネーム)のイントネーションを主題のメロディにしよう!という面白い趣向。
勝ったのは小学1年生のかわいい女の子。フルネームはここでは記載しませんが名字4文字、名前3文字です。この7音を第1主題。そして、その子に昌さんが「好きな食べ物はなに?」と尋ねたところ、沈黙が続いた挙句に「ぶり!」と答えたことから(場内は大爆笑!)第2主題は「食べ物は?ぶり!」をメロディに。そして第1主題を優しい雰囲気で奏でて即興が始まったわけですが、第2主題の「食べ物は?ぶり!」のメロディになるとピアニカ隊だった子供たちは「ギャハハハ!!!」と大喜び、大笑い。
このフレーズが出る度に子供たちの笑い声が場内に響きわたるわけですが、曲が進むにつれ第1主題と第2主題が融合して曲として盛り上がっていくさまには次第に子供たちも黙ってひきこまれたように聴いていました。
そういった意味では「ロンドン橋のロンド」で、昌さんのサンバホイッスルのリズムを提示すると、客席のみんながそのリズムを手拍子で真似るという趣向も、参加している気持ちが高まって楽しくなりました。

従来からのファンとしては「30周年メドレー」が嬉しい限り。一時は毎日のように弾いていたのに昌さんの演奏を聴いたことがなく「一度聴いてみたい!!」と思っていた、ちょっとファニーなサンバの曲「クッキーダンス」が入っていたことも嬉しかったです。大好きでよく弾いていた「サンカントリー」も!
アンコールの「ニューヨーク・パッション・ストリート」にも、なんだか胸が熱くなりました。

ぎゅっと密度の濃いコンサート、佐山さんとの絶妙なコンビネーションやピアノソロも味わい深く素敵だったし、昌さんの子供たちに対する温かなまなざし、何より音楽の奥深さや楽しさが詰まっていて、いろんなことを考えながら過ごした2時間でした。

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